熱烈鑑賞Netflix<国際女性デー特別編>

「初恋」「友情」「結婚」「出産」「才能」人生の大事なシーンで選びたいNetflix「女性の傑作ドラマ」5選

3月8日は「国際女性デー」。1904年ニューヨークで婦人参政権を要求したデモを起源として、1975年に国連がこの日を制定しました。これまでさまざまな役割を担ってきた女性たちの活躍や勇気、決断によって今があります。そこで今回は、世界最大の動画配信サービスNetflixで見られる映画、ドラマのなかから、女性が活躍する傑作をピックアップ。ドラマの見どころに合わせて、人生を考えるヒントになる名言も。

●熱烈鑑賞Netflix<国際女性デー特別編>

「初恋」「友情」「結婚」「出産」「才能」の5つのキーワードで、Netflixオリジナル作品から、女性が活躍する傑作ドラマ・ベスト5をセレクトしました。
ドラマの見どころと共に、人生を考えるためのヒントになる登場人物の名言も紹介。

 

【初恋】「アンという名の少女」最初は大嫌いだったギルバートとやがて

アンとマシュー/Netflixオリジナルシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中

L・M・モンゴメリ原作の『赤毛のアン』の世界を現代的かつハードにアレンジして「裏赤毛のアン」「ダークアン」とさえ呼ばれた傑作ドラマ。

舞台は、カナダ・プリンスエドワード島のアヴォンリー村。グリーンゲーブルズ屋敷に住むカスバート家のマシューとマリラが男の子の孤児を養子に迎えようとするが、手違いで赤毛の少女アンがやってきてしまう。
原作にはない新エピソードや、新しい登場人物も加えられ、視点はシビア。ジェンダー、人種、格差、アイデンティティなど現代的な問題が描かれている。

もちろん、紫水晶、いちご水、石板割り、花だらけの帽子、ふくらんだ袖への憧れ、お化けの森、物語クラブ、スペリング対決、マリラの初恋など、原作好きなら映像で観たいと思うシーンは、ガッチリ押さえている。
最初は思いっきり嫌いだったギルバート・ブライスとの関係性の変化も、3シーズンかけてじっくり描かれる。石板で思いきり殴ってしまったギルバートを、アンは嫌い続けるが、じょじょに彼のいろいろな面を知って、気持ちが動いていく。

ハードな現実も描かれる物語だが、暗くはならない。それは、アンがどんなつらいことがあっても、想像力を使ってそれを前向きに乗り越えていこうとするからだろう。

「この道のりを楽しむことにする。今までだって楽しもうと心に決めれば楽しめたから」
I've made up my mind to enjoy this drive. It's been my experience that you can nearly always enjoy something if you make up your mind firmly that you will.
■孤児院にもどされることになり、マリラとふたり馬車に乗ったアンの言葉。

「アンという名の少女」 原題:Anne with an “E”
https://www.netflix.com/jp/title/80136311
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット 原作:L・M・モンゴメリ
出演:アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)、マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)、マシュー・カスバート(R・H・トムソン)、ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)

 

【友情】「ファイアフライ通り」運命は違っても少女時代に誓った友情は永遠

大人になったタリー/Netflixオリジナルシリーズ『ファイアフライ通り』独占配信中

派手で奔放、すぐにその場の主役になってしまうタリー・ハート。地味でまじめだがちょっとドジなケイト・マラーキー。少女時代に出会ったふたりの30年にわたる友情を描くドラマ。

タリー・ハートは、自分のテレビ番組を持ち、МCとして華々しく活躍している。が、母親に捨てられたときのこと、嫌がったのに男にねじ伏せられたことを幾度なく思い出す。ケイトは、離婚し、娘も自分から離れていきそうな気配に焦っている。ふたりは、たびたび喧嘩し、すれ違いながらも、ずっと一緒にいて、少女時代に誓った永遠の友情を思い出す。

時系列をめまぐるしくシャッフルした大胆な構成によって、恋、友情、仕事、結婚、家族、死など、人生のすべてを詰め込んだ新鮮かつ骨の太い物語だ。

「あなたは孤独じゃない、ケイト。決して孤独じゃない。一生、やっかいな私と生きるのよ」
You're not alone, Kate. You'll never be alone. You are fucking stuck with me forever.
■離婚して夫も離れていき、娘も自分から離れていってしまいそうな気持になっているケイトに、タリーが言う言葉。

「ファイアフライ通り」 原題:Firefly Lane
https://www.netflix.com/jp/title/80994340
制作:マギー・フリードマン 原作:クリスティン・ハナ
出演:タリー・ハート(キャサリン・ハイグル)、ケイト・マラーキー(サラ・チョーク)

 

【結婚】「マリッジ・ストーリー」離婚を通して、結婚とは何なのかを照らす

ニコール(スカーレット・ヨハンソン)とニコール(アダム・ドライバー)。まんなかは、息子のヘンリー(アジー・ロバートソン)。Netflix映画「マリッジ・ストーリー」独占配信中

「マリッジ・ストーリー(結婚物語)」というタイトルだが、ドラマはずっと離婚を描く。
演出家のチャーリー、女優のニコール。結婚していたふたりは、離婚調停を、おだやかに話し合いで進めようとしていたが、ひょんなことで弁護士を立てることに。

お互い気にもしなかった行動を、弁護士は悪いところとして攻撃してくる。酔っ払って階段を踏み外しそうになり肩を貸して支えたという「良き夫婦」に見えるシーンも、離婚調停の場では「階段でよろけるぐらい飲酒しているダメな母親」ということにすり替わる。

幸せだったはずの結婚生活までも、現在から振り返るとそうではなかったのではないかと思えるようにもなってくる。離婚を通して、結婚とは何なのかを照らす物語だ。

「ここに君の居場所があるんだって。それで、彼には言いにくかったけど、それでも、そう、これが私。私の人生。くだらなくても私自身の仕事」
Here's this bit of earth that's yours, and...I was embarrassed about it in front of him, but it was also like...yeah, this is who I am, and this is what I'm worth.
■「いまの状況をもう少し話してもらえる」と弁護士に言われて、ふたりの関係を語るニコールの言葉。

「マリッジ・ストーリー」 原題:Marriage Story
https://www.netflix.com/jp/title/80223779
監督:ノア・バームバック
出演:ニコール(スカーレット・ヨハンソン)、チャーリー(アダム・ドライヴァー)、ノラ・ファンショー(ローラ・ダーン)

 

【出産】「私というパズル」出産をめぐる残酷な運命を乗り越える選択

助産師を呼んで自宅出産をしようとするマーサ・ワイス(ヴァネッサ・カービー)/Netflixオリジナルシリーズ『私というパズル』独占配信中

陣痛が6分おきに来てる。順調だ」 夫が助産師に電話する。だが決まっていた助産師は、他の出産に立ち会っていて来れないという。
2時間6分の映画作品。

冒頭の自宅出産シーン、部屋のなかを縦横無尽に移動するカメラによって、その場にいて参加しているような気持になる。タイトル「Pieces of a woman」が現れるまでの自宅出産シーンの長回しがおよそ30分。とてつもない臨場感に、観ているこちらもぐったりと疲れて、一時停止して休憩を入れてしまったほどだ。

その後、大きな悲しみを抱えきれない彼女の心情も、余計な説明はなし。断片を積み重ねていくことでリアルに伝えてくる。橋、リンゴ、曇り空、雪、象徴的なアイテムもさりげなく配され、観る者の心を揺さぶる傑作。

「俺は君のパートナーだ。チームだ。話し合おう」
I'm your partner, yeah? It's a team thing. Can we please talk, Martha?
■妻とふたり、どうにか乗り越えようと声をかける夫の言葉。

「私というパズル」 原題:Pieces of a Woman
https://www.netflix.com/jp/title/81128745
監督:コルネル・ムンドルッツォ 脚本:カタ・ヴェーベル
出演:マーサ・ワイス(ヴァネッサ・カービー)、ショーン・カーソン(シャイア・ラブーフ)、エリザベス・ワイス(エレン・バースティン)

 

【才能】「クイーンズ・ギャンビット」男性優位社会を蹴散らす天才少女の痛快

チェスの天才ベス・ハーモンが男社会のチェス大会を勝ちあがる/Netflixオリジナルシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』独占配信中

Netflixのリミテッドシリーズの最高視聴記録をあっという間に更新し、辛口のRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)で97%と高評価、チェスセットの売り上げも急増。記録破りの大ヒットドラマ『クイーンズ・ギャンビット』。
孤児で赤毛の少女ベス・ハーモンが発揮するのはチェスの才能だ。男性優位のチェス世界で、勝ち進み、のしあがっていく。

ルールが分からなくても見ごたえのあるチェス対局の演出、ベスを取り巻く人間模様を断片的に描く構成の妙。ぐいぐい勝ち上がるたびに豪華になるファッションとホテルの美しさも見どころ。

チェスが良いのは、フェアなルールにもとづいて勝ち負けがはっきりするところだ。女だと侮っていた男どもが、ベスにチェスで負けると、あっという間にその偏見を後悔する。自分の才能をうまく発揮できずに死んでいった実母や養母も描かれ、その弔い合戦のようにも見えるベスの人生は、男性優位社会を蹴散らすバトルでありながら、自分自身との戦いでもある。

「64マスが世界のすべてだから。そこでは安心できた。だって自分でコントロールできるし支配できる。予想もつくし。たとえ傷ついても自分のせいだし」
It's an entire world of just 64 squares. I feel safe in it. I can control it, I can dominate it. And it's predictable. So, if I get hurt, I only have myself to blame.
■ベスが、意地の悪いインタビュアーに聞かれて答える場面の言葉。

「クイーンズ・ギャンビット」 原題:The Queen's Gambit
https://www.netflix.com/jp/title/80234304
監督:スコット・フランク 原作:ウォルター・テヴィス
出演:ベス・ハーモン(アニャ・テイラー=ジョイ)、ウィリアム・シャイベル(ビル・キャンプ)、アルマ・ウィートリー(マリエル・ヘラー)、ベニー・ワッツ(トーマス・ブロディ=サングスター)

ゲーム作家。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「はぁって言うゲーム」「記憶交換ノ儀式」等。デジタルハリウッド大学教授。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。
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