「彼氏の母親が、私の歯ブラシでトイレ掃除」30歳女性、交際相手の両親が“毒親”で破談に

子どもに対して、過干渉や暴言・暴力などで支配したり、逆に無関心で構わなかったりして毒になる親、通称“毒親”。交際していた男性の親が毒親だったために結婚寸前で破談に至ったという女性に話を聞きました。

彼の両親と面会。思わぬ説教をされて

都内在住で結婚願望があった会社員のチエ(30歳・仮名)。
会社員のサトル(27歳・仮名)とは、2年2カ月の交際のすえプロポーズを承諾したが、先方の両親との関係が原因で破談になったと振り返る。

遡ること約1年前。プロポーズは受けていないものの結婚も視野に入れて付き合っていたサトルが、帰省中の実家から「親が反対している」と連絡をしてきた。
チエは交際への理解を求めるために、面会を設定してもらった。サトルとは互いに意思を確認していたので「話をうまく収めてくれるだろう」と期待していた。

当日、待ち合わせたレストランに着くと、かっちりした服装をしたサトルの両親が待ち受けていた。チエが挨拶すると、母親は突然「どういうつもりで来たんですか?」と口を開いた。

この時の母親の話により、チエは様々な事実を知ることになった。

よく遊びに行っていたサトルの部屋には、500㌔以上離れた実家から両親が頻繁に掃除をしに来ていた。母親は、部屋に落ちているチエの長い髪の毛や、整髪剤などを見るたび「掃除もしないし、自分の存在をアピールしてみたいで、あなたに怒りを感じていた」と続けた。両親が掃除しているとは、チエは知るよしもなかったが、「この子は掃除ができないんだから、部屋がきれいになっていたら親がやってるって、普通に考えれば分かるでしょ」。そう母親に責め立てられた。
チエは掃除しようとしたこともあった。でもサトルが「自分でやるから、やらないで」と言ったから、信じて任せていたのに……。

中でも、母親から聞いた歯ブラシについての話が、今でも忘れられない。

ある時、サトルの部屋に置いていた、お泊まり用のチエの歯ブラシが見当たらなかった。サトルが「間違えて捨てたかも」と言うので、新しい歯ブラシを買いに行ってもらったのだが……。実は、チエの歯ブラシは母親によるトイレ掃除に使われていた。母親は悪気もなく「掃除に使った歯ブラシを、元の場所に置いておこうと思ったけど、さすがにかわいそうだから捨ててあげた」と言い放った。

同席していたサトルは終始、うつむいて黙ったまま。
「普段はあれだけ大切にしてくれるのに、どうしてこの人は何も言ってくれないんだろう」と、チエは泣きながら謝ることしかできなかった。

一方的に振られた後の復縁。プロポーズを受けたものの

別れを決意したチエだったが、サトルに引き留められ、一時は交際を続けた。しかしその後、サトルから「両親のことでチエに、つらい思いをさせるのが嫌だ」と一方的に振られた。
婚活を再開しようとしたチエ。「結婚願望があるんだから、落ち込んでいる時間はない」。そんな時、サトルから連絡があった。「両親と距離を置くから、復縁しよう」。詳しく聞くと、「母親から『結婚の相手は年下か同い年、大卒以上…』と条件を告げられ、ほとほと嫌になった」と言うのだ。チエは大卒だが、サトルの3歳上で当時は29歳だった。
サトルへの気持ちが残っていたチエは、再び交際することに決めた。その1カ月後に、指輪を渡されプロポーズを受けた。チエの気持ちは固まっていた。
そして数日後に、自分の両親にサトルを紹介すると、母親は「向こうさんが反対してるなら、いい気持ちはしない」と言いつつも、二人の意思を尊重してくれた。

一度は諦めたサトルとの結婚が、すぐそこにある――。
うれしくなったチエは、転勤したサトルに合わせ、自身も異動を希望した。

そんなある日、「母親が睡眠薬を大量に飲んで入院した」とサトルから連絡が来た。チエとの結婚が受け入れられずに及んだ行為だった。

サトルは「もう無理だ。結婚の話は無しにしたい」。両親と縁を切るつもりだったけど、親を殺したくない、と続けた。
「お詫びをして終わりにしたい」と、チエへの“謝罪の場”として設けられた席に現れた父親は、かつて母親が行ったチエへの非難と同様の態度をとり続けた。
この時もサトルは、うつむいて黙ったままだった。

自身の両親や会社を巻き込んだうえでの、突然の破談。チエは数週間、食欲不振や倦怠感に悩まされ、会社を休まざるを得なくなった。
「申し訳ないと思う気持ちがあるなら、せめて慰謝料を払ってもらいたい」とサトルに伝えたLINEもブロックされ、連絡が取れなくなった。

何でも素直に聞く彼。今なら分かる気がする

振り返ると交際中にも、おかしなところはあった。
一緒に旅行することになってもプランを立てられない。くたびれて似合わない服は、高校生の時に買ったものだった。
「年下だから仕方がない」と思いつつも、自分から主体的に動いた経験が少ないように感じたのだ。
チエが問題点を指摘すると、旅行の計画を考え始めた。ダサい服を一新しようというチエの提案にも嫌がらずに応じてくれた。
素直なところは好きだったが、何でも“言いなり”なように見えた。

その理由が今なら分かる気がする。親の意見が強すぎて、サトル自身にはっきりした意見がないのだろう。

振り回されて気づけば30歳に

チエは気づけば30歳になっていた。

別れから復縁、プロポーズ、突然の破談まで半年近く振り回されて、「ただただ、疲れた」という気持ちしかない。
早く結婚したいし、そのためには婚活しなきゃならないことも分かってる。けど、また関係を一から始めると思うと、気が重い。20代後半の貴重な時間を無駄にした、という思いが拭えない。

しばらく婚活は、お休みするつもりだ。

1989年、東京生まれ。不登校・高校中退から高卒認定を取得し大学へ。新聞の記者・編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理。