本という贅沢 年末特別編

さとゆみ#127 『独学大全』『0メートルの旅』『三行で撃つ』年末年始に読みたい書籍3選

隔週水曜日にお送りする、コラム「本という贅沢」。今年は、年頭には想像さえしなかった激動の1年となりました。そんな2020年もまもなく終了、新たな年が始まります。コロナ禍の静かな年末年始に、読んでおきたい3冊を書籍ライターの佐藤友美(さとゆみ)さんが紹介します。

●本という贅沢127 『0メートルの旅』(岡田悠/ダイヤモンド社)・『独学大全』(読書猿/ダイヤモンド社)・『三行で撃つ』(近藤康太郎/CCCメディアハウス)

年末年始だからこそ、読みたい本がある

みなさん、ゆっくり休めていますか?
2020年は、どえらい一年でしたね。そんな年も、もうすぐ明ける。

今年最後のコラムは、年末年始に読みたい本、3選です。

いま、読みたい本、と書きましたが、文字通り「読みたい本」の紹介です。実はこれまだ私も、全3冊とも、最後までは読めてない。

というのも、この3冊、大事に大事に、毎日ちょっとずつ読んでいる本なんですよ。年始のお休みが明けたころまでには、完読していたいと思いながら。

というわけで、みなさんと一緒にリアルタイムで読みたい3冊を、今回は選書しましたー。

2020年、旅ができなかった私たち。でも、家の中でもできる旅がある(らしい)

この本は、私が大好きな、ダイヤモンド社の今野さんが編集した本。
今野さんの本は、それがビジネス書であれ、子育て本であれ、とにかく新しくて面白い。今まで見たことがあるような本は、一冊もない。あと、読書が「体験」になっている本が多いです。
と、その信頼感だけで、まず、買っちゃうのですが、この本もまさにそう。

南極からはじまって、部屋の中まで。
「旅をする」とは、いったいどういうことなのか。
「日常を剥がす」とは、いったいどういうことなのか。
それが描かれているのです。

だから、うん、いまこうやって本を開いているときにも、旅はできるし、むしろ遠くまで旅できる。
そんなことを「体感」させてくれる本。

ちなみに、この本は絶対に紙の本で買いですね。
旅の物理的距離が遠くから近くになっていくに従って、紙が変わっていくという、凝ったつくり。これもやっぱり、読書という旅を、五感で体験しているなと感じさせてくれます。

学び始めにぴったりだった(はずの)2020年を、うまく活用できなかった人に。つまり、私に。

こちらは、いま、売れに売れている『独学大全』。
ええと、今年私が買った本の中で、一番重かったですね。本文だけで752ページ、1043グラム。(ちなみに2位は『世界標準の経営理論』994グラム、3位は『ウォークス』581グラム)

この厚さの、いや、厚さだけじゃないよ、このぎっちぎちに詰まった内容の本を、2800円で買えてしまう日本、いい国すぎる。

『独学大全』という名のとおり、自分で学ぶためのありとあらゆる方法が、書かれている本。帯には「独学の百科事典」と書かれているけれど、まさに。
2020年って、家ごもりの時間も長かったし、何かを学びはじめるにはぴったりの年だったと思うんですよね。
私の周りの友人たちも、資格とったり、体鍛え始めたり、料理しはじめたりと、いろいろスタートしていた。
私も、1ヶ月くらいは、レアジョブで毎日、オンライン英会話していたよ。

でも、一念発起して学び始めても、なんかね。私の場合、仕事以外のことって、なかなか続かないんですよね。本当に続かない。
そんな人に(つまり、私に)、ぴったりな気がします。この本。

百科事典と書かれているけれど、対話形式で進むこの本は、読み物としても純粋に面白いですよん。
来年こそは、と言い続けて、40年。本日も、来年こそは、と思っています。

読むことが好きな人が、書くことの裏側を見たとしたら。多分もっと読書が楽しくなる

最後にご紹介するのは、文章術の分野におそらく金字塔として刻まれるであろう、『三行で撃つ』。
これ私、出張中の書店で見つけて読み始めたのだけれど、読み始めたら家に帰るのが嫌になっちゃって、滞在をのばして、ホテルでずっとこの本を読んでいました。

仕事がら、「文章の書き方」本は、ずいぶん読んでいると思うのだけれど、これはもう、最終兵器きた感、ある。

それくらい、書くことに関しての奥義が極まっていて。
なんというのだろう、これを「文章“術”の本」というと、言葉がすごく軽すぎて。そうじゃなくて、「文章“道”の本」とでも言えばいいかな。
うまくいえないけれど、文章講座に通っている感じじゃなくて、道場に稽古つけてもらいにいってる感じがします。
書くことは、善く生きることにつながる。書き方を考えることは、すなわち、生き方を考えることなのだと知ることができる。

ちなみに、巷ではこの本、「ライター殺しの本」と言われていて。これを読むと、書くことが怖くなる。自分の浅はかさに、消えたくなる。
少しでも、書くことに本気になったことがある人なら、この本の凄まじさの前で平身低頭してしまうと思う。

なーんて書くと、敷居高い感じになっちゃったかな。いや、違うの。ごめん。専門書じゃないの、ぜんぜん。

この本をtelling,で紹介したのは、これ、本を読むことが好きな人が読んだら、きっとたまらんだろうと思ったからなんです。
この本に書かれている「文章の奥義」を読んだら、今後の人生ずっと、深く深〜いところまで読書を味わえるようになると思うんですよ。
それって、わりと一生モノだと思う。

もちろん、書く人たちにも、おすすめです。
このコラムで、130冊くらいの本を紹介してきて、必読という言葉を初めて使うけれど、書く人においては、必読だと思う。
最初は心、えぐられるかもしれません。書くことに対して怖気づくかもしれない。でも、私は、めちゃくちゃ、わくわくしたんだよなー。

世界は、まだ、広い。空もまだ、高い。
巨人の肩を借りて、もっと高く飛ぶぞ、もっと飛べるなって思ったよ。

というわけで、年末年始、みなさんの読書ライフが素敵なものでありますように。
2021年も、また、遊びにきてくださいねー。

●佐藤友美さんの新刊『女は、髪と、生きていく』が発売中です!

佐藤友美さんのコラム「本という贅沢」のバックナンバーはこちらです。

・病むことと病まないことの差。ほんの1ミリくらいだったりする(村上春樹/講談社/『ノルウェイの森』)
・デブには幸せデブと不幸デブがある。不幸なデブはここに全員集合整列敬礼!(テキーラ村上/KADOKAWA/『痩せない豚は幻想を捨てろ』)

・人と比べないから楽になれる。自己肯定感クライシスに「髪型」でひとつの解を(佐藤友美/幻冬舎/『女は、髪と、生きていく』)

年間10冊以上を担当する書籍のライターとして活動。ビジネス書から実用書まで幅広いジャンルを担当する。自著に『女の運命は髪で変わる』『道を継ぐ』など。