【グラデセダイ58 / かずえちゃん】あなたの2020年は?
●グラデセダイ58
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- 前回はこちら:【グラデセダイ57 / Hiraku】アメリカの政権交代が私たちに与えたもの
今年も残り僅かとなり、2020年最後のtelling,のコラムを書いています。
毎年この時期になると「あぁ今年も早かったな」と一年を振り返り、そして来年はどんな年にしようかなと思いを巡らせるのが恒例になっています。
読者のみなさまにとって、2020年はどんな年でしたか? そして2021年はどんな年にしたいですか?
今年最後のグラデセダイどうぞご覧ください。
僕の2020年を一言で表現するなら「変化」だったと思う。
以前、コラムにも書いたのでご存知の方もいるかもしれないが、2019年の3月からアドレスホッパー(拠点を持たない生活)をしながら全国を巡る生活を送っていた。
このアドレスホッパーというライフスタイルは、僕にとってチャレンジであり、発見であり、そして新鮮で、心地よく、性に合ったスタイルだったと感じる。
基本的に、行く先々でホテルに宿泊し、撮影、講演、取材などをしていた。仕事はホテルの部屋やカフェやコワーキングスペース。2013年から約3年間暮らしたカナダは「自分らしく生きる」ということを教えてくれたし、もうひとつ「日本のことを何も知らない自分」にも気づかさせてくれた。
そんなこともあり、全国を巡りながらのアドレスホッパー生活は、日本の文化、自然、食、ヒトなど、改めて自分の生まれ育った国を見つめる時間でもあった気がする。
※唯一行けていないのが秋田県。コロナが落ち着いたら必ずいきたいと思っている。
【3月】
そんなアドレスホッパー生活も新型コロナウイルスの影響で終わりを迎え、地元福井に拠点を構えた。
家を借り、必要最低限の家具や家電を揃え、Wi-Fiを契約し、久しぶりに我が家と呼べる空間での生活が始まった。
これまでの仕事はオンラインに切り替わり、撮影や講演、飲み会までもがオンラインに変化していった。
【6月】
オンラインサロン「かず部屋」を起ち上げた。
※オンラインサロンってなに?って思った方は是非、過去のコラムをご覧ください。
コロナ禍のなか、人に会うことや外出することがこれまでのようにできなくなり、気持ちが滅入ることもあったが、自分にとって「かず部屋」が居場所になったことは確かだ。
「繋がる」という行為をオフラインだけでなく、オンラインでも作ることができたのはとても大きな変化だったように感じる。
【8月】
約7年ぶりに会社員になった。
2013年に仕事を辞め、カナダ生活を約3年半、2016年に帰国してYouTubeを始めたので、約7年ぶりの就職となる。
現在、働き始めて4ヶ月ほど経つが、以前の会社員時代には感じることのなかった「楽(らく)さ」を感じている。
この「楽さ」とは仕事の内容や量ではなく【職場で過ごす時間】そのものだ。
一目瞭然、その理由は「ゲイであることを隠さなくてもいい環境がある」ということ。
以前、自分のセクシュアリティを隠して、というかバレないように気を張りながら仕事をしていた頃には感じることのなかった「楽さ」を実感している。
この会社での自分の役割は、決してカミングアウトを推奨することではない。
まずは「知る」キッカケを作り、一人でも多くの方々に自身の言動や行動を「見つめる」機会や場を作ることだと思っている。
そして自身の経験を活かし、共に変化し続ける課程を大切にしながら頑張っていきたいと思っている。
【9月・12月】
地元でLGBTQの勉強会を開始した。
今年1月、高校の同窓会で友人と久しぶりに再会したことがキッカケだった。
その友人が生まれ育った福井県の池田町というところは、総面積の90%が山地であり、特別豪雪地帯の指定を受けているとても雪深く、とても自然豊かな町である。
65歳以上の方の割合が福井県内で最も高く、年々過疎化が進んでいる町でもある。
そんな池田町で9月と12月にLGBTQについて一緒に考える勉強会を開催した。
20代の頃、福井は小さい町だから仕方ないって自分に何度も言い聞かせ、噂とか周りの目とか世間体とか色んなものを気にしながら生きてきた。
大好きだけど、いつもどこか生きづらさを感じていたこの町で、自分のことを話し、その話をじっと見つめて聞いてくれる方々の目を見ていると、なんというか、過去の自分を少しずつ肯定できるような、なんだか優しい気持ちになれた。
伝統や文化を繋いでいくことはとても大切だと思う。
しかし、時代の流れと共にカタチを変えながら繋いでいくこと、そして価値観や環境も時代に合わせて変化(アップデート)していくことがこれからはもっと大切なのではないかと思う。
そして自分のなかにある、地元への思いが少しずつ変化していることも感じた。
振り返ると、2020年は本当に色んなことがゴチャゴチャに詰まった激動の年だったと思う。
様々なことが大きく変化するなかで「当たり前が当たり前でなくなる」ということを身をもって感じた気がする。
そして常に自問自答し続け、自分を見つめた一年だった気もする。
今年、新型コロナウイルスが我々に与えた恐怖や不安、そして奪われた多くのものを決して忘れることはないだろう。
そして同時に、新型コロナウイルスが変えたこれまでの日常や価値観などから学び、感じ、考え、気づいたことも本当に数多くあった。
・・・・・
間もなく2020年も終わりを迎えます。
皆さまにとって2021年が幸多き一年となりますよう心からお祈りし、コラムを終えようと思います。
そして常に感謝の気持ちを忘れずに生きたいと強く思います。
一年間、本当にありがとうございました。