有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」5話。聞いてほしいこと、言えないこと。草野球シーンは林遣都の腕の見せどころ
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- 前回はこちら:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」4話「年を重ねたことを劣化とかいいやがって、冗談じゃないから」
受け入れる側の荷物
ダブルデートの場で真人(林遣都)に告白した桃子(有村架純)。しかし真人は返事をせず、困ったような笑顔を浮かべるばかり。悩む桃子は親友のみゆき(奈緒)にことの顛末を報告する。
5話は「聞いてほしい」ことと、「でも言えない」ことが交錯する話だった。
真人は「一生忘れない」とつぶやくほどに桃子との日々が楽しく、だからこそ、まっすぐに好意をぶつけられても自分の前科という過去をなかなか打ち明けられないでいる。みゆきは桃子が誰より大切に思っている弟の一人、和輝(髙橋海人)と「恋人を前提とした仲良し」になっていることを桃子に話そうとするが、これまで弟を第一に考えてきた姿を見てきている上、いま恋に悩んでいる桃子を前にすると口に出せない。
そんな中で、率直な思いを口にしたのが意外にも桃子のおじで保護司として真人と関わる川上(光石研)だ。真人と桃子が一緒にいるのを偶然見かけた彼。真人の母・貴子(和久井映見)の元まで訪ねていって、「真人を好きで信じているが、桃子にこれ以上何かを背負わせたくない」「別れてほしいわけじゃないが、一人では抱えきれない」と伝えるのだ。
ドラマの展開としては、川上が「認められない」と二人の恋の障壁になる方がよほど楽だ。悪役になってくれれば、視聴者は彼を憎むことができる。けれどもそうはならなかった。若者と同じように悩み、そして抱えきれず共有した。
貴子は明るく振る舞うが、帰りに泣き崩れる。悩みを打ち明ければ当事者は楽になるけれど、受け入れる側はその分荷物を背負うことになる。川上は決して悪い人ではない。けれども彼が素直に気持ちを伝えたことで、貴子はまた深い悲しみにさらされてしまった。
「相手をわかりたい」という姿勢
真人について話す桃子に対してみゆきは「簡単にわかるよとかは言えないけど、でもわかりたいと思うし、あなたがうそを言ってないのはわかるし、大げさに自分に酔って言わないのも知ってる」と言葉をかける。日南子(小池栄子)は沙織(紺野まひる)の語る”幸せ”について「ちゃんとわかりたい」と聞く姿勢を見せる。この世界では、何かを話すとき、相手がきちんと聞いてくれ、理解してくれる。
真人はかつての彼女による嘘の証言で正当防衛が成立せず、服役することになった。面会に行った貴子が「彼女に話を聞く」と伝えるが、真人はそれを拒否した。真人は彼女の裏切りの真意を「聞けなかった」ことで罪を負ったとも言える。
そして現在、「言えない」ことで桃子をやきもきさせていた真人は、とうとう自分の過去を語る。真人は関係を終わらせる覚悟で話したみたいだけれど、川上が心配したように、これから桃子は彼の過去を背負っていくのだろうか。
聞いてほしいことと言えないことが交錯するなかで、桃子とみゆき、日南子と沙織のように言葉を尽くした対話もなされているこのドラマ。けれど、相手に何かを伝える手段は、言葉だけではないことも描かれている。桃子の三人の弟がこっそり「姉ちゃんの好きな人」を探しに行ったとき、顔を知らなくてもいきいきと働く姿を見て真人をすぐに見つけることができた。この弟たちと真人との関係性が、後半の希望になるのかもしれない。
密かにいちばん理解ある存在
5話では、映画「バッテリー」でデビューした林遣都の腕の見せどころ! な草野球シーンがあった。揺れ動く気持ちのぶつかり合いが主軸でありながら、こういう気持ちいいシーンがあるのはドラマの醍醐味だ。
もうひとつ、4話で語られた和輝とのエピソードといい今回といい、みゆきは元気のない人にすぐおでんを食べさせるようだ。それにしても駐輪場で長時間だべっても排除されるわけではなく、それどころかおでん鍋ごと持って行っていいと言ってくれるコンビニ、すごく理解ある相手なのではないだろうか。
■「姉ちゃんの恋人」
1:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」1話。コロナ禍の今と似ている!2020年の私たちのささやかな幸せ
2:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」2話。家族だからこその気持ちと反対の会話
3:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」3話。誰かに気にかけられる、その瞬間があることが幸せ
4:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」4話「年を重ねたことを劣化とかいいやがって、冗談じゃないから」
「姉ちゃんの恋人」
関西テレビ・フジテレビ系列 毎週火曜夜9時
脚本:岡田恵和
演出:三宅喜重、本橋圭太、宝来忠昭
プロデューサー:岡光寛子、白石裕菜、平部隆明
主題歌:Mr.Children「Brand new planet」(トイズファクトリー)
出演:有村架純、林遣都、奈緒、髙橋海人(King & Prince)、やついいちろう、日向亘、阿南敦子、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、スミマサノリ、井阪郁巳、南出凌嘉、西川瑞、和久井映見、光石研、紺野まひる、小池栄子、藤木直人ほか
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