「35歳の少女」5話。坂口健太郎が女子高生・柴咲コウと同棲開始

柴咲コウが5年ぶりに民放ドラマ主演で話題の「35歳の少女」。10歳の少女・望美は不慮の事故が原因で長い眠りにつき、25年の歳月を経て、奇跡的に目覚めます。長年眠ったままだった望美は、心は10歳のままなのに、体は35歳……しかも家族はバラバラに。問題を抱えている望美の家族たちにそれぞれの転機が訪れた5話。望美はなんと結人(坂口健太郎)同棲することに。ただし、このままハッピーエンドになりそうもないかも!?

柴咲コウ主演、遊川和彦脚本のドラマ「35歳の少女」第5話。
25年の眠りから覚めた時岡望美(柴咲コウ)は、精神的に女子高生くらいにまで成長。恋に恋するお年頃だ(今時の女子高生はもっとえげつない恋愛してそうだが)。一方、問題を抱えている望美の家族たちにそれぞれの転機が訪れる。

ニコニコしながら闇を抱えていた父

もっとも激動だったのが父・進次(田中哲司)。客に寄り添うようアナログな営業は時代遅れということで早期退職を勧められ、それを断ったところ青森支社へ飛ばされることになってしまった。

家庭では、再婚相手・加奈(富田靖子)の連れ子・達也(竜星涼)から、整形をするための100万円を要求されているが、仕事がどうなるか分からない状況でそんな大金を出せるわけがない。
仕事と家庭の板挟みで、じょじょに追い詰められていく進次。陰気な登場人物の多い本作の中で、いつもニコニコしている貴重な人材だったが、その裏には結構な闇が隠れていたようだ。
青森転勤となり、おそらく収入も下がる。そんな状況で引きこもりの息子に100万円も渡すわけにはいかない! ……と決心したものの、荒れ狂う息子に怯えた妻が既に100万円を渡した後だった。
声を荒らげる進次だったが、これに加奈が逆ギレ。

「結局、アナタは私の事なんかこれっぽちも愛してないのよ。アナタはむこうの家族の方が大切なのよ。まだ前の奥さんのことが忘れられないのよ!」

再婚相手の加奈は、もともと進次が多恵(鈴木保奈美)と結婚する前に、父親から勧められてお見合いした相手だったと明かかされた。そのお見合いは断って多恵と結婚し、望美の事故もあって多恵と離婚した後、加奈と再婚しているのだ。……うーん、この第二希望感。
再婚前の家族とちょくちょく会っているというだけでも現妻としてはまあまあイラッときそうだが、そんな経緯があったとしたら、ますます心中穏やかではない。

部屋中の物をぶん投げて、厄介引きこもりの達也すらうろたえるほどの剣幕でブチギレる加奈。
家に居場所がなくなった進次は、仕事で扱っている引き渡し前の新築物件に忍び込んで泥酔してしまう。

遊川和彦ドラマでよくある、一番ダメなタイミングで、一番やっちゃいけないことをやらかしちゃうパターン!早期退職どころかヘタしたら懲戒解雇。多めにもらえるはずの退職金もパーだ。
しかしそれ以上に、物件を購入予定だった家族がかわいそう。注文住宅だったら目も当てられない。建売だったらいいな……。

自殺した生徒の墓前で無神経すぎるよ!

父・進次がゴロゴロと転落している頃、望美は結人(坂口健太郎)との(一方的な)恋愛に夢中だった。
しかし精神年齢10歳で再会した当初は・おじさん・と認識していた結人。精神的に高校生になったとしても35歳相手じゃそこそこおじさんだと思うが。
キスをせがんだり、グイグイ迫っても受け入れてもらえなかった望美は、かつて多恵からもらった恋愛アドバイス、

「(大好きな人ができたら)その人の話を沢山聞いてあげなさい。そうすればきっとアナタがどんなに相手の人のことを大切に思っているか分かってくれるから」

を実践。すると、結人が教師を辞める原因となった、いじめを苦に自殺してしまった生徒の墓へ一緒に行くことに。いじめを見抜くことができなかった結人が墓前で謝罪をするのは分かるが、その後はずーっと自分語り。

「先生はあれから自分をごまかしてきた、もう夢や希望なんて持っても意味がないってヤケになってた……」

望美がさらに乗っかる。

「先生がもう一回教師やることを許してくれないかな?」
「沢山の子を救ってくれると思うんだ、だから応援してくれないかな?」

まあ、言いたいことは分かるけど……。最悪、自己満足するために墓前で報告するのはいいとしても、死んだ生徒のお母さんもその場にいるんだよ!? 無神経にもほどがある。
生きていれば、立ち直った教師と一緒にやり直しようもあるけど、生徒は既に死んでしまっている。今さら結人が立ち直ろうが、他の生徒を救おうが、知ったこっちゃないだろう。お母さん、よくキレなかったな……。

とにかくこれで踏ん切りをつけた結人は、代行業を辞めて再び教師を目指すことになる。
……のはいいとして、なぜか流れで望美との同棲までスタート。ちょっと前まで精神年齢10歳だった人と!?

「望美、好きだよ」
「今、生まれて一番不安だけど、一番幸せ……」

じゃないだろう。いつの間にそんなことに!?
そして、いきなり両方とも無職での同棲スタート、ものすごく不安だ。

望美は『アルジャーノンに花束を』状態になるのか?

25年間の昏睡状態を経て精神年齢10歳で目覚めてから、男と同棲するほどまでに成長した望美(精神的に女子高生だとしても早いよ!)。
目覚めてからどれくらいの時間が経っているのかは不明だが、10歳→中学生→高校生へと急速に成長している。この調子だと意外と早く実年齢である35歳に追いついてしまいそうだが……問題は35歳になった後。

精神的にも同い年になった結人と、足並みを揃えて幸せに暮らしていく……。あたりがハッピーエンドなのだろうが、同じく遊川和彦脚本、柴咲コウ主演のドラマ『○○妻』での、いきなり妻が死亡した最終回を考えると、すんなりハッピーエンドにはなりそうもない!?
急速に成長してきた望美が『アルジャーノンに花束を』のように再び幼児退行していって昏睡状態に戻ってしまうなんて展開もあり得そうで怖い……。

いや、もはやそれくらいハードな展開が見たい!

次回はこちら:柴咲コウ「35歳の少女」6話「みんなを幸せにする!」と言いながら家族をブチ壊す望美

■35歳の少女

1:「35歳の少女」1話。ギャン泣き「うわぁ~ん」“頭の中10歳”な柴咲コウの演技にネットざわざわ
2:『35歳の少女』2話。見た目は大人、頭脳は子ども。柴咲コウは、逆「名探偵コナン」
3:柴咲コウ「35歳の少女」3話。鈴木保奈美演じる過干渉母親が「過保護のカホコ」とリンクする
4:「35歳の少女」4話。セーラー服を着た中学生・柴咲コウが反抗期に

1975年群馬生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れすぎています。
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