『35歳の少女』2話。見た目は大人、頭脳は子ども。柴咲コウは、逆「名探偵コナン」

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柴咲コウ主演、遊川和彦脚本のドラマ『35歳の少女』第2話。

序盤からとんでもない事件連発で視聴者をあ然とさせることも多い遊川和彦のドラマだが、『35歳の少女』第1話は、ひとまず登場人物の顔見せといった感じの比較的穏やかなスタートだった。

まあ、のっけから10歳の少女が事故に遭い、25年間の昏睡した後に目覚めるというだけで十分とんでもないが。第2話では25年振りに目覚めた時岡望美（柴咲コウ）が現実と向き合い、（望美にとっての）25年後の世界で生きていく決意が描かれた。

もっと深掘りしようがありそうだけど……

第2話の冒頭、いきなりショッキングだったのは望美の生理。
事故前、まだ初潮を迎えていなかった望美は、股間の染みに気付き「死んじゃうよぉ～う」と泣き出してしまった。

子どもの身体がいきなり大人になってしまうというシチュエーションは、漫画などでは時々見かけるが、ここまで真っ正面から生理を描いた作品は見たことがない。確かに、子どもがいきなり35歳になるというのはそういうことだろう。

男子生徒と女教師の恋愛、同性愛、特別養子縁組など、その時々のタブーといえるようなテーマにも果敢に挑んできた遊川和彦。「今回のドラマでもすごいところに斬り込んでいくんだなぁ～」……と思っていたら、この件は母・多恵（鈴木保奈美）の「これは生理だから！」のツッコミで終了。

いくらでも深掘りしようがありそうなのに、小ネタ扱いか!?
それに、25年前の10歳でも生理についての知識くらいさすがに持っていそうなもんだが。

頭の中10歳とおじさんの恋は成立するのか？

見た目は大人、頭脳は子どもという、逆「名探偵コナン」状態の望美。
頭の中はまだ10歳なので、かわいい服が着たいし、子ども用の遊具で遊びたい。お子さまランチだって食べたいのだ。しかし母・多恵は、望美に35歳らしさを要求して、子どもっぽい言動は認めてくれない。

25年振りに再開した親友も変わり果てていた。かつて語り合った“夢”のことなどすっかり忘れ去り、普通のおばさんに。
表面上は望美の境遇に同情しつつも、SNSには「25年間眠っていた彼女は今、リアル浦島太郎状態。本当にかわいそう。私だったら生きていけない」なんて感じの悪い書き込みをしている。

幼なじみの広瀬結人（坂口健太郎）だけは妙に優しくしてくれているが、果たしてどういう感情なのか……？

望美は結人にとって初恋の相手だったというが、高い服を買ってやったり、お子さまランチに付き合ったり（年齢制限ないのか!?）と、現在の行動も恋愛感情からくるものに見える。
好きだった10歳の頃のピュアネスをそのままに、見た目が柴咲コウになってたら、そりゃあ恋愛感情もわいてくるだろうけど。

一方、頭の中10歳の望美から見た結人は、どうがんばっても“親切なおじさん”くらいのポジションではないだろうか。
元・教師だった結人が、教え子感覚で望美と接することができればいいが、このふたりの認識の違いは、後々トラブルを生みそうだ。

遊川ドラマなのに素直に終わった!?

中学、高校、大学、20代と、人生の楽しそうな時期を全部すっ飛ばして35歳になってしまったことに絶望し、もう一度事故を起こすことで過去に戻ろうと考えた望美だったが、結人の
「25年も眠ってたんだから、お前には誰よりも人生を楽しむ権利がある。やりたいことをやる権利がある。大きな勇気を持ってこれんな色んなものをいっぱい見て、聞いて、考えるんだ。成長しろ」
という言葉で、あることを決心する。

それは、自宅に豆腐を買って帰るというもの。
そもそも事故に遭った原因は、望美が自転車に乗ってすき焼きに入れる豆腐を買いに行ったこと。

すき焼きなのに豆腐を買い忘れてしまった多恵。「お豆腐食べた～い」と駄々をこねつつ買い物は望美に押しつけた妹・愛美（橋本愛）。自転車のブレーキが壊れていると気付いていたのに修理を忘れていた父・信次（田中哲司）。

それぞれが、「望美が事故に遭ったのは自分のせいだ」という後悔の念を抱きながら25年間を過ごしてきたのだ。重い！
豆腐を買い忘れた、買い物を押しつけたは不可抗力だとしても、ブレーキの故障を放置していた信次は「まあまあお前のせいだぞ！」という感じもするけど……。
豆腐に対してトラウマを持っていた家族。愛美に至っては、好きだったはずの豆腐を25年間も食べることができなかったのだ。

しかし望美の
「豆腐は悪くないから。マナちゃんも悪くないから。パパも悪くないから。ママも悪くないから」
という言葉で、過去を吹っ切り泣きながらみんなで豆腐をむさぼり食う。ひとり一丁ずつ！　……いや、醤油くらいつけないのかよ!?　とは思ったけど。

従来の遊川ドラマだったら、ここで誰かが「豆腐が食べたかったわけじゃなくて、すき焼きに入れて食べたかったのよ！」みたいな身も蓋もないことを言って場をブチ壊したりしそうなところだが、

「私、成長するね！」

と望美が決意の言葉を述べて、いい雰囲気のまま終了。
こんなストレートな感動ドラマを作るなんて、望美以上に成長したね、遊川和彦!?
まあ、ここからいくらでもちゃぶ台をひっくり返せそうなので、まだまだ油断はしていないけど。

柴咲コウの女児演技がドすごい！

望美の事故が原因で壊れてしまった家族を再生していくドラマかと思っていた本作だが、第2話にして家族が和解してしまった。
ここからは望美の言葉通り、彼女自身の“成長”を描いていくのだろうか。
それにしても柴咲コウの“頭の中10歳”演技が相変わらずすさまじい。
心の声は、子役が声をあてているのだろうけど、柴咲自身のセリフも10歳児かと思ってしまうような幼児口調＆トーンを完璧に使いこなしている。

ノーメイク……ではさすがにないだろうが、ほぼすっぴんのように見える顔を全力で使って「うわぁ～ん」と泣いたり、ニッコニコと満面の笑みを浮かべたり。かなり振り切った演技だ。
ただ、実際の10歳女児はもっと大人びていて、「せっかく大人になったんだから、大人っぽい服を着てメイクをしたい。なんならタバコやお酒も経験しい！」なんて、ませた行動を取りそうだけど。
とにかく、ここから望美が成長していくにつれ、“35歳の少女”が“35歳の女性”になる過程を演じ分けていってくれそうだ。

次回はこちら：柴咲コウ「35歳の少女」3話。鈴木保奈美演じる過干渉母親が「過保護のカホコ」とリンクする

■35歳の少女

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