「危険なビーナス」5話。複雑な家系図が更にややこしく!まだまだ裏がありそうな使用人兼執事の君津は誰と繋がってるんだ

東野圭吾原作のラブミステリー「危険なビーナス」。主人公の獣医師・伯朗(妻夫木聡)のもとに、「弟の妻」を名乗る謎の美女・楓(吉高由里子)が現れ、異父弟・明人(染谷将太)が失踪したことを聞かされる……。今回もドラマオリジナルのストーリーメインで進行。複雑な家系図がさらに更新され、そろそろ事件の本質が見え始めた5話を振り返ります。

視聴率10.9%で二桁安定の「危険なビーナス」第5話。今週もドラマオリジナルのストーリーメインで進行したが、矢神家が掘り下げられ、かなり原作の本筋に戻ってきた。中盤を迎え、やっと物語が動き出した。

新たな情報でややこしい家系図が更新

医学会の名家・矢神家の遺産争いが描かれる今作。その家系図は複雑そのもの、前当主・康之介(栗田芳宏)には前妻と後妻がいて、その妻たちがそれぞれに子供を産み、そしてその子供の結婚相手に連れ子がいたりと、だいぶこんがらがっている。スマホに家系図を出しておきながらのドラマ鑑賞がオススメ。

さらに複雑化してますが、基本の家系図。鑑賞のお供に

そんな複雑な家系図が第5話で更新された。なんと、養子の佐代(麻生祐未)が康之介の元愛人だったことが発覚。さらにさらに、もう1人の養子である勇磨(ディーン・フジオカ)は、康之介と佐代の間に出来た息子だったのだ。

佐代が艶っぽく勇磨にボディタッチするシーンは何度も描かれてきたが、それは恋人関係のものではなく、親子の愛情表現だった。佐代からしたら勇磨はこの世に残る唯一の肉親。裏切りだらけの今作だが、ここの絆だけは信用できそうだ。とはいえ、勇磨は平気で親さえも裏切りそうな雰囲気を持っているが。

また、家系図には載らないが、矢神家に出入りしている2人の素性も明らかになってきた。寝たきり状態の康治(栗原英雄)の専属看護師・杏梨(福田真貴)は、祥子の夫・隆司(田口浩正)と不倫関係を持つが、隆司ともども祥子に弱みを握られ、祥子一派に。序盤からかなり怪しく描かれてきた杏梨だが、「実は…」みたいな展開はもうなさそうだ。

一方、使用人兼執事の君津(結木滉星)は祥子と不倫関係。第5話では、祥子、隆司、杏梨、君津の4人で康治の殺害を企てた。杏梨と違って殺しに躊躇いがなく、まだまだ裏がありそうな雰囲気。波恵(戸田恵子)の指示で楓(吉高由里子)の素性を調べたりもしているので、矢神家において誰のコマとも言い切れない。祥子との不倫関係も、誰かの指示で動いている可能性すらある。

いいように使われる珍しいタイプの主人公

第5話では、伯朗(妻夫木聡)の元に「今夜、康治が殺される」と書かれた手紙が届く。幼いころに伯朗は、母の再婚相手だった康治が動物実験していたことを知り、心を開けずにいた。これ以上矢神家にかかわりたくないと考える伯朗は、康治を守るために危険を冒す義理はないと考えていた。

そんな伯朗を、波恵が焚きつける。焚きつける、と表現したのは、波恵に裏がありそうだからだ。波恵は祥子による康治殺害計画に気付き、伯朗に「今夜、康治が殺される」の手紙を送っていた。それでも康治を助ける踏ん切りがつかない伯朗に家族アルバムを見せ、康治がいかに伯朗を大切にしていたのかを伝えた。

back numberの主題歌 「エメラルド」が流れ、康治の元に駆けつける伯朗は、祥子らの暗殺計画を阻止することに成功する。「お父さん」とは呼べなかったものの、親子の溝が埋まる感動的なシーンだ。しかし、どうにも波恵が引っかかる。

波恵はなぜ、兄である康治を自分で守らなかったのだろうか?「酸素注入機を止める」という殺害方法であることを知っていたのであれば、自分で見張るか、誰か殺害計画に関係のない人物を康治の部屋に配置すればよいだけ。それなのに、思い通りに動くかもわからない伯朗をけしかけるなんて、あまりにも不確実だし効率が悪い。

もしかすると波恵は、康治殺害を止めることが目的ではなく、伯朗を味方に引き入れることが目的だったのではないだろうか。めんどくさく動き回る伯朗に、自分は仲間であると錯覚させたかったのだ。そう考えると、勇磨が言った「1番厄介な人(波恵)が動いたな」というセリフがしっくりくる。

前話でも伯朗は、気弱ながらもピュアな性格で隆司の不倫問題を解決して見せた。覚悟を決めたシーンは、テーマ曲「エメラルド」も流れるし、4話最大の見せ場だった。しかし、伯朗の覚悟は、祥子の計画通りだったことが発覚した。今回も伯朗は、波恵の思惑通りに動いた。こんなに悪に手のひらで転がされる主人公も、主人公が活躍するクライマックスシーンをただのフリにしてしまうドラマも珍しい。

楓の失神問題、なんで急に起き上がった?

今回楓は、康治殺害を止めるべくベッドの下に潜り込むも、あえなく祥子にスタンガンで失神させられている。いつもチョロチョロしている楓だが、この話では珍しく蚊帳の外だった。不自然なのは、楓が起き上がって康治の元に駆けつけたことだ。

通常なら、計画を知られた祥子一派は、殺害が終わるまで楓を隔離するはず。地下室に閉じ込めるなり、どこかに縛りつけるなりしないと、失神させた意味がない。なのに楓は、起き上がって自由に動いている。殺害に失敗したことで祥子が解放した可能性もあるが、仮にも殺人未遂、計画を知る楓をそんなにあっさりと解放するだろうか。

つまり、別の誰かが楓を解放していることになる。失神の現場に立ち会い、その処理も任されていたはずの君津が実行犯だとは思うが、君津が自分の意思で動いたとは考えづらい。君津の後ろに祥子以外の人物がいるとしたら、それは波恵、もしくは勇磨と佐江だ。このどちらかが、今回の顛末を見届け、余計な事件に発展させないために楓を解放したのだ。

いよいよ事件の輪郭が見えてきた印象。11月15日放送の第6話の予告では、縛られた明人(染谷将太)の姿が。縛られる明人は以前の予告でも登場し、それは伯朗の妄想だった。今回こそ妄想とか想像とか、変なスカし方をしなければ、物語は一気に核心に近づきそうだ。

次回はこちら:「危険なビーナス」6話でやっと主人公になった妻夫木聡、ディーン・フジオカの活躍にも期待

■危険なビーナス

1:「危険なビーナス」1話。ややこしい家系図を説明します、顔と名前だけでも覚えていってください

2:「危険なビーナス」2話。怪しい吉高由里子。「私の正体は誰でしょう?」と問いかけているみたい

3:「危険なビーナス」3話。ディーン・フジオカの前で妻夫木聡が乙女に?大っ嫌いなのに本音が出ちゃう

4:「危険なビーナス」4話でやっと本編がスタート。妻夫木聡の妄想は、予告詐欺ではないかもしれない

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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