「危険なビーナス」3話。ディーン・フジオカの前で妻夫木聡が乙女に?大っ嫌いなのに本音が出ちゃう
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- 前回はこちら:「危険なビーナス」2話。怪しい吉高由里子。「私の正体は誰でしょう?」と問いかけているみたい
視聴率11.7%と好調維持の「危険なビーナス」第3話。豪華キャストによる緻密な演技や、原作が東野圭吾ということで人気を集めているが、いったいこれはどういうドラマなのだろうか?
「吉高由里子演じる“謎の美女”と30億の遺産をめぐる壮大な謎解きに挑む!」とか「危険なラブサスペンス」と謳われているが、今のところ謎が多すぎて、制作陣が描きたい謎と視聴者が気になる謎の焦点が合っていない気がする。
東野圭吾は、「原作で描ききれなかった“遊び”の部分をドラマに期待したい」といった旨のコメントを残しているが、その遊びの部分で目が散ってしまっている印象だ。30億の遺産、明人(染谷将太)の行方、楓(吉高由里子)の正体、それぞれが繋がっていくのは想像できるが、本筋がなんなのかがちょっとわかりづらい。
ちょっと寄り道、気になるのはそこじゃない第3話
第2話のラストで楓(吉高由里子)が何者かに階段から突き落とされた。第3話では、楓が突き落とされる前に嗅いだシャンプーの香りを元に犯人を探す。楓は名探偵ばりの行動力と発想力で矢神家の面々や少しでも関わりのある女性の匂いを嗅ぎまわり、真相にたどり着く。
“一話一殺”とでも呼ぼうか、このドラマは矢神家の怪しい登場人物の素顔を一人ずつ暴いていく流れのようだ。今話でターゲットになったのは、祥子(安蘭けい)と隆司(田口浩正)の娘で明人に思いを寄せる百合華(堀田真由)だ。他とは違い、遺産目的ではなく、情で事件を起こしそうなちょっと特殊なパターンの人物だ。
結論から言えば、百合華は犯人ではなかったが、これがきっかけで周りからは明人と百合華が付き合っていたように見えていたこと、明人が百合華に合鍵を渡していたこと(仲のいい親戚としてかもしれないが)、楓が明人の好みではないことが発覚する。
髪の匂いから真相に辿り着き、複数の美女たちの思いが描かれ、伯朗(妻夫木聡)が楓への気持ちを勢い余ってぶちまけてしまうなど、1時間のドラマとしてはかなりクオリティが高かった。しかし、第3話の収穫は「やっぱり楓って明人と結婚してないんじゃね?」ぐらいしかなく、連続ドラマとしての進展はほぼ皆無だ。
これまでにも楓は怪しい態度や言動を繰り返しているし、2話の時点で勇磨(ディーン・フジオカ)が楓が元CAと嘘をついていることも突き止めてしまっているのだから、視聴者が欲しいのは、「楓怪しくね?」ではなく、30億の遺産問題の進展。「クオリティは高いんだけど、そっちじゃない」が率直な感想だろう。せっかくクオリティが高いのに、制作陣が見せたいものと視聴者の見たいものがちょっとズレてしまっている気がする。
ディーン・フジオカが妻夫木聡を乙女にする
ディーン・フジオカ演じる勇磨の存在が本当にありがたい。こいつが出ると、ミステリアスな雰囲気のお陰でちょっとくらい焦点がブレても「名家・矢神家の謎と30億の遺産」というドラマの本質がくっきりと浮かび上がる。
さらに、敵ながらに悪としてのポリシーが垣間見えるから、視聴者にも伯朗にも「あ、こいつは今回関係なさそう」と思わせる絶妙な説得力を持っている。今話で言うと、「楓を突き落とした事件」に無駄な混乱を持ち込まないのだ。だから、勇磨が百合華の友人を伯朗らに紹介してもすんなり受け入れられる。主人公にヒントを与えるストーリーの進行役まで担っちゃっているんだから、本当に便利なキャラクターだ。
さらにさらに、伯朗の本音を引き出す役目まで請け負っている。勇磨が楓を食事に誘うと、中学生みたいな恋愛観の伯朗は必死で止めに入る。しかし勇磨は「3人でどうだ?」と大人の余裕だ。警戒しながらもついていく伯朗には当然余裕がなく、全ての言葉に敵意剥き出し。
そんな伯朗を尻目に勇磨は、疑う姿勢を崩さないくせに楓に好意の気持ちをハッキリと伝える。伯朗は未知の口説きテクを見せつけられ、いつもこうやって女を口説くのか、そうはさせないぞ、でもどうしたらいい、楓はどう思っているんだ、と心がグリングリンにかき乱される。なのにちょっと楓に優しい言葉をかけられたりすると、にやけちゃったりして楓が好きなことはバレバレ、些細なことで気持ちが上に下にと大忙しだ。
しかし、よくよく考えれば、気弱で女性も思うように口説けず、ましてや矢神家の人間の前では借りてきた猫のようになってしまう伯朗だ。こんなに簡単に感情がダダ漏れになるなんて、珍しい相手とも言える。「大っ嫌いなはずなのに、あいつの前では本音が出ちゃう」勇磨の前では少女漫画のヒロインだ。
第4話は、祥子が失踪。楓の正体ではなく、ようやく遺産相続の方にメスが入りそうな予感。大きな動きがありそうだが、勇磨はどんな感じで絡んでくるのだろう?
次回はこちら:「危険なビーナス」4話でやっと本編がスタート。妻夫木聡の妄想は、予告詐欺ではないかもしれない
■危険なビーナス
1:「危険なビーナス」1話。ややこしい家系図を説明します、顔と名前だけでも覚えていってください
2:「危険なビーナス」2話。怪しい吉高由里子。「私の正体は誰でしょう?」と問いかけているみたい
日曜劇場「危険なビーナス」(日曜21時~)
原作:東野圭吾 『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
音楽:菅野祐悟
プロデューサー:橋本芙美、髙丸雅隆、久松大地
演出:佐藤祐市、河野圭太
主題歌:back number 「エメラルド」
https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/
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