「私たちはどうかしている」1話は、横浜流星&浜辺美波がとにかく美しい

今、最も美しい俳優、浜辺美波×横浜流星が主演のラブ・ミステリー「私たちはどうかしている」。15年前に起こった老鋪和菓子屋「光月庵」主人の殺害事件を巡り、過酷な運命に翻弄されながらも惹かれ合う2人の物語が描かれます。大胆なストーリー展開だった1話を振り返ります。
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浜辺美波、横浜流星、若手の俳優の美顔トップみたいな二人をW主演に据えたドラマ「私たちはどうかしている」(日本テレビ系)が、8月12日にスタート。視聴率は9.6%と伸び悩んだが、ここから一気に巻き返す話題作になる可能性を秘めているドラマに思えた。

「世界に誇れる和の美しさ満載のクール・ジャパンなラブ・ミステリー」というコピー通り、とにかく「美しい」にこだわった映像が印象的だ。横浜流星は常に顔の造形の美しさがわかりやすい角度でじっくり撮られていたし、浜辺美波の着物にはこだわりを感じる。また、浜辺が髪を自分で切るなど、画だけで見所になれるシーンが盛り沢山だった。

美しいのは二人だけじゃない。二人が作る和菓子も色彩豊かで見ていて楽しい。お菓子のコンセプトにちなんだ映像も差し込まれ、しっとりとした演出は、他のグルメドラマとは一線を画している。そんなきれいな画と、昼ドラのようなドロドロした人間関係のギャップが見どころだ。原作は、安藤なつみの同名漫画。

主人公は、殺人犯の娘?

和菓子職人の花岡七桜(浜辺美波、幼少期は宮崎歩夢)は、茶道の宗家の娘・真由(小島藤子)に結婚式の引き出物を決めるための和菓子対決を頼まれる。しかし、相手は15年前に七桜と母親の百合子(中村ゆり)が住み込みで働いていた創業400年の老舗和菓子屋・光月庵。七桜に「殺人犯の娘」という十字架を背負わせた元凶だった。

光月庵には、七桜と同い年の一人息子・高月椿(横浜流星、幼少期は森島律斗)がいた。人懐っこい椿と七桜はすぐに打ち解け、和菓子の腕を磨きあっていく。そんなある日、椿の父・樹(鈴木伸之)が血まみれで息絶えているのが発見される。なぜか椿は百合子を犯人と証言し、百合子は殺人犯となってしまう。一体誰が犯人なのか、なぜ椿は百合子を犯人と証言したのか、この2つを巡ってストーリーは進んでいく。

横浜流星、イケメンだから許される概念を超える

大胆な展開もそうだが、椿のキャラクター設定は特に“漫画的”だ。初対面(と思い込んでいる)の七桜に対していきなり腕を掴み、和菓子の腕をチェックしたいのか、手のひらをなぞる。七桜が調理器具を落とそうものなら、「無駄な音を立てるな、素人が」とドギツイ言葉をぶつける。“イケメンだから許される”ではなく、“漫画のイケメンだから許される”といった感じだ。

対決後、椿は名前も知らない七桜に「あんたさ、俺と結婚しない?」と突然のプロポーズ。常人には意図も感情も流れも、まるで理解ができない。また、七桜も七桜で、親の仇相手に「いいよ」となぜか承諾。自分でも「私は、どうかしている」とタイトル回収して振り返っているが、本当にどうかしている。その後も、七桜が光月庵を訪れると椿が神前式を挙げていたりと、なかなかのどうかしている展開が続いていく。

しかし、まるで意味がわからないのは、あくまでこの時点でのこと。椿には、伝統に縛られて凋落していく老舗・光月庵を、才能のある七桜と共に立て直したいという意図があった。七桜にも「母の無実を証明する」という狙いがありそうだ。

なぜか椿が百合子を犯人と証言した、なぜか椿は七桜にプロポーズした、なぜか七桜はプロポーズを受けた、なぜか椿には婚約者がいた。構造としては、数多くの「なぜか」をちりばめ、後々に回収していくというものだ。正直、話の大筋を飲み込めていない第1話にしては謎が多すぎたようなきらいもあるが、それは漫画原作に忠実ということでご愛敬。漫画ではすんなり受け入れられても、実写になるとどっか引っかかってしまうというのはよくあることだ。

2話以降は、わっかりやすいドロドロ展開が続くはずなので、「ぶっ飛びすぎてるから離脱」という人はちょっと待った方がいいかもしれない。

「あな番」のように粗を生かすストーリー

しかし、大胆なストーリー展開を優先しているため、演出に粗が目立ったのも事実かもしれない。子どもの証言で百合子があっさり捕まるのも無理があるし、あれだけ使用人がいたのに百合子にアリバイがなかったのも変だ(本当に百合子が犯人の可能性もなくはないが)。百合子が七桜に残した最後の手紙も「私は何もやってない」の一言で、もうちょっとなんか言ってやれよ、娘が天涯孤独になったんだぞとも思う。

昨年大ヒットした「あなたの番です」(日本テレビ系)なんかは、演出の粗も込みで勢いを生んでいたように思う。ぶっ飛びワクワク展開が多すぎて、小さいことなんて気にしていられなかった。だが、「私たちはどうかしている」には美しさを描写するためにじっくりとしたシーンが多く、粗をなかったことにする勢いは生まれづらいような気もする。ここら辺も、2話以降の昼ドラよろしく画力の強いドロドロ展開が、うまく働いてくれると期待したい。椿の母・今日子(観月ありさ)や大旦那の宗寿郎(佐野史郎)らアクの強いキャラクターたちが、物語を引っ掻き回してくれれば、大化けするかもしれない。

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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