「半沢直樹」3話「私は何もしてません」出ました、久々のダーク半沢

「倍返しだ!」で一世を風靡した、超硬派お仕事ドラマ「半沢直樹」が7年ぶりに日曜夜に帰ってきた!東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券へ出向した半沢のもとに、前シリーズでも人気の高かった黒崎(片岡愛之助)が登場。「電脳VSスパイラル」はどうなる?

第1話は22.1%、第2話が22.2%、8月2日放送の第3話はさらに伸ばした23.2%で、前シリーズの期待を裏切らない「半沢直樹」(TBS)。今話は、前シリーズでも人気の高かった黒崎(片岡愛之助)が、「証券取引等監視委員会事務局証券検査課統括検査官」と役職を変えて再登場した。「黒崎、襲来」の煽り文句がワクワクする。

ダーク半沢、なかなかの犯罪

電脳雑伎集団に敵対的買収を仕掛けられたスパイラル社長・瀬名(尾上松也)に、半沢(堺雅人)が提案したのは、電脳と一緒に悪巧みをしていたPC周辺機器販売の大手企業・FOXに対する“逆買収”だった。売り上げが低迷しているFOXの買収に難色を示す瀬名に、半沢はとあるFOX買収の企画書を見せる。後日、巨額の投資失敗のニュースが流れ、FOXの株は大暴落した。

瀬名が「半沢マジックだ」と喜ぶも、半沢は「私は何もしてません」とクールな返答。半沢が仕掛けたのは明らかだが、買収のために企業の不利になる情報を流すのは、なかなかの犯罪。久しぶりにダークな半沢の一面だ。

しかし、怪しんだ東京中央銀行は、黒崎ら監視委員会を東京セントラル証券に仕向ける。これがマスコミに流れ、スパイラルの株価も暴落してしまい、電脳の買収がしやすい格好に。来襲した黒崎にFOX買収企画書のファイルが見つかれば、東京セントラル証券の営業停止処分は必至で、さらには電脳の買収は決定的になってしまう。半沢いわく「ヤバイどころじゃない、相当めちゃくちゃ激しくヤバイ」そうだ。

吉沢亮と尾上松也

黒崎は半沢のパソコンを使い、クラウド上のファイルに迫った。瀬名は、スパイラル随一の天才プログラマー・高坂(吉沢亮)の元に駆けつけてファイルの削除を依頼する。だが、クールというか、現代っ子というか、社長に対してもフラットな姿勢を崩さない高坂は「え?やるんですか?」とどこか緊張感がない。髪を振り乱す瀬名とは対照的な佇まいだ。

しかし、職人肌な高坂は、仕事に取り掛かると目の色を変える。黒崎がパスワードを解析している間、猛烈な勢いでキーボードを叩く。社長である瀬名にも「うるさい!」「黙ってろ!」と遠慮を知らず、その様子をオフィスの同僚たちは総立ちで見守る。まさに、社運を託す、というやつだ。

ギリギリのところでファイルの削除に成功すると、スパイラルと東京セントラル証券の社員一同がガッツポーズだ。高坂はというと、本気モードからすぐには抜けないのか、フーフー息をしている。異常な人間の異常な集中力の代償だ。目もギラッギラ。

「うるさい」と言われてキレてしまう瀬名も、人間が出来ていなくて良い。瀬名は、この買収事件の中心人物だ。先頭に立って、誰よりも大きなストレスの中で戦っている。そんな瀬名だから、「キエー!」と雄叫びをあげるし、部下に脊髄反射でキレる。まだ若く、経営を全身で楽しんでいるからこそ、気性が荒い。

七転八転の「半沢直樹」

高坂は、今年1月に放送されたスピンオフ「半沢直樹2 エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~」で実質主役的な役割を果たしていた。そんな重要人物である高坂の満を持しての登場、そしてクライマックスのような緊張感をくぐり抜けての問題解決。これで第3話が終了でも、誰も文句は言わないだろう。しかし、「半沢直樹」は二転三転する。

クラウド上のファイルを諦めた黒崎は、社長室に企画書が置いてあると推理。まんまとゴミ箱から見つけ出し、高坂の努力は水の泡と化してしまう。これで万事休すかと思われたが、そこに買収相手であるFOXの郷田社長(戸次重幸)が現れる。敵対的買収ではないと主張し、今度こそ黒崎は諦めることになる。森山(賀来賢人)が郷田を説得していたのだ。

あれだけの盛り上がりを見せて、あっさり逆転。とんでもない強キャラ感を漂わせた高坂の活躍も、結局は森山の成長と郷田が仲間になるためのフリでしかなかった。なんともったいない。

これで本当に一件落着、と思わせておいて、今度は電脳と東京中央銀行が買い取り価格を上げるという、金の暴力作戦に踏み切る。半沢が電脳の財務担当・玉置(今井朋彦)に綻びを見つけるも、それすら電脳のトップ2人は見透かしていて……というところで今話は終了。二転三転と前述したが、1話の中で七転八転くらい平気でする。それだけ振り回されたら1時間が早い、早い。

今夜放送の第4話で、おそらくこの「電脳VSスパイラル」の幕が閉じそう。予告ではみんな大好き大和田(香川照之)の「死んでも嫌だね!」と声を張り上げるシーンが、すでに視聴者の中で話題に。半沢との共闘も予想されているが、全然予想がつかない。原作読んでいるのに。

 

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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