「半沢直樹」は第2話にしてやっとようやく序章終了!チェックすべき今田美桜は「画をキレイにする要員」なのか?

「倍返しだ!」で一世を風靡した、超硬派お仕事ドラマ「半沢直樹」が7年ぶりに日曜夜に帰ってきた!東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券へ出向した半沢。親会社に横取りされた大型買収案件に、ジャイアントキリングは起こるのか……。

「お、し、ま、いDEATH!」

「半沢直樹」(TBS系)第2話が7月26日に放送。上のセリフは、前シリーズのラスボスである大和田(香川照之)のものだ。1話でも「施されたら施し返す、恩返しです」など、登場シーンは控えめだが、強いインパクトを残している。もはや“ふざけている”の領域に入っているのに、それでもドラマの緊張感を壊さない大和田の存在感は異質すぎる。

 

伏線張りまくりの万年筆すら前座

親会社の東京中央銀行に大型買収案件を横取りされた東京セントラル証券の半沢(堺雅人)と森山(賀来賢人)。森山は電脳雑伎集団の買収相手であり、学生時代の親友のスパイラル社長・瀬名(尾上松也)に接触を試みるが、「銀行の子会社なんか信用できない」と一蹴されてしまう。しかし、森山の諦めない気持ちと学生時代の繋がり“万年筆”が決めてとなり、ついに瀬名は心を開く。

瀬名は敵対的買収に向けた防衛策として、大洋証券の広重(山崎銀之丞)からの「新株を発行してPC機器販売の大手であるFOXに買ってもらう」という提案を受けることを決める。FOXの郷田社長(戸次重幸)と対面を果たし、意気揚々と電脳雑伎集団を迎え撃つ。しかし、違和感を覚えた半沢がFOXのメインバンクを調べると、そこには敵であるはずの東京中央銀行の名前が。その瞬間、半沢がスパイラルに手を貸していることに気付いた東京中央銀行証券営業部部長・伊佐山(市川猿之助)から、「すぐに来い!」の電話………というところでオープニング映像が流れる。

これだけストーリーが二転三転したのに、まだオープニング。森山なんてあれだけ伏線を張りまくった“親友との絆の万年筆”を駆使したのに、それでも「半沢直樹第2話」にとってはオープニング前の序章に過ぎないのだ。

「半沢直樹」の大きな魅力のひとつが、ザクザク進むこの展開力だ。残りの話数や時間を考えると、今進行している作戦で勝負が決まらないなんてわかりきっているのに、それでもワクワクさせてくれる。常に緊張感漂うシーンの連続。要するに、ずっと濃い。

 

台本を支えているのは尾上松也

これを支えているのが、演出と役者陣だ。言ってはなんだが、買収防止案として新株発行なんて奥の手でもなんでもなく、割と普通のこと。しかし、瀬名演じる尾上松也がしっかりと驚き、「そんなことできるのか?」と緊張感を漂わせる。FOXなんて初登場の名前が出たところで視聴者にとっては知ったことではないが、尾上松也が名前を聞いただけで顔色を変えて、ことの重大さを一瞬で伝える。いつもプリプリと怒っている瀬名が、憧れのヒーローに初めて会った少年のような笑顔を浮かべることで、郷田の凄さがハッキリする。まさに救世主の登場だ。しかも、これが全て瀬名が裏切られた時のショックを大きくするフリにまでなっている。

もはや一石五鳥くらいのスゴ演出だ。香川照之や市川猿之助の歌舞伎役者の浮世離れした演技が話題になりがちだが、尾上松也もしっかりとすごい。一番感情をグチャグチャにこねくり回される大事なキャラクターを、浮世離れせずにしっかり守りきっている。今のところ、台本を支えているのは尾上松也だ。

 

東京03とはちょっと違う角ちゃん

前シリーズは、ど真ん中の半沢直樹物語だったが、今シリーズは半沢を中心に周りの人間の活躍も多く描かれている。第2話で言うと、前話で半沢たちを裏切り、東京中央銀行に戻った三木(角田晃広)にスポットが当たった。仕事ができず、調子が良くて、長い物にすぐに巻かれる卑怯者だ。まさに東京03のコントの角ちゃん。しかし、人生そううまくは行かず、念願の証券営業部ではお茶汲みやコピーなど雑用ばかりをやらされてしまう。

そんな三木に目を付けたのが半沢だ。飲みに誘い、不満を聞いて懐柔し、敵である東京中央銀行の機密を聞き出そうとする。ここで重要なのが、半沢の優しいのか優しくないのかわからない、ダークヒーロー的な一面だ。

「三木は雑用や事務作業は苦手かもしれませんが、客の懐に飛び込む対人スキルはなかなかのものですよ」

三木の前で伊佐山相手に言い放った半沢の言葉。おそらく三木を仲間にするためにあえて言ったのだろうが、悪評だらけの三木の良い部分をしっかりと見ていたからこその言葉だ。飲み屋に呼び出した時も、森山にキレさせた直後に、「そうかお前、ビールじゃなくて日本酒だったな。すいませーん、温燗ひとつお願いします!」とお前のことは良く知っているぞアピール。こんなもん完落ちするに決まってる。半沢の犬となった三木は、率先して東京中央銀行の機密を探る。半沢、なんて嫌らしいんだろう。

しかし、人の役に立ちたい欲が高まった人間は、時に暴走してしまうもの。半沢に「無理はするな」と釘を刺されるも、三木は独断で重要書類を盗み出そうとする。もう失敗フラグにしか見えない。しかし、なんとか三木は難局を乗り越えて、半沢の役に立つことに成功する。もうダメだ……をギリギリまで引っ張る演出も生きて、ただただ気持ちいい。あのダメダメな東京03の角ちゃんすらもフリになったカタルシスだ。

 

上戸彩は本当に理想な奥さんなのか?

視聴率も22.1%と絶好調の「半沢直樹」だが、批判的な声がないわけではない。あまりにも男ばかりの社会で、女性の活躍が描かれていないからだ。確かに、物語を動かす重要な役に女性はほとんど絡んでこない。半沢の妻の花(上戸彩)が人気を集めているが、それは昔ながらの男の理想像だったりする。男の事情を受け止めて、家庭を守る。素敵と言えば素敵だが、時代錯誤と言われればそうなのかもしれない。

だが、それは前シリーズまでの話な気もする。今シリーズの花は、仕事にしていたフラワーアレンジメントの話を頻繁に出している。これはおそらく今後の展開の伏線だろう。いつも家にいて男を元気づける奥さん、ではなく、お互い仕事に精を出して刺激し合う夫婦像が描かれるかもしれない。

また、女性の活躍で言うと、原作にいない浜村瞳(今田美桜)にも注目したい。これだけ硬派な仕事ドラマで、「画をキレイにする要員」にとして作ったとは考えづらく、現に第2話では三木や森山以上に美味しいところをかっさらって見せた。前シリーズの半沢は1人でガンガン敵をやっつけていたが、今回はロスジェネ世代の部下たちと共に、プライドをかけて銀行に立ち向かう。僕の前話のレビューでは、ロスジェネ世代の代表として森山を“もう1人の主人公”的に書いたが、浜村もその一端を担うことになりそうだ。

ラストで、東京セントラル証券・スパイラル連合VS東京中央銀行・電脳雑伎集団連合の構図がしっかりと示された。親会社VS子会社、弱い者が強い物を討つ、わかりやすいジャイアントキリングだ。これまで全部序章、第2話のラストにして、「いよいよ本編スタート!」感すら漂う。今夜放送の第3話には、金融庁の黒崎(片岡愛之助)が登場する。まだ始まったばかりなのに、もうこんなに面白い。

 

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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