待ってた「半沢直樹」気に入らない上司に土下座させる、やっぱり最高だ

「倍返しだ!」で一世を風靡した、超硬派お仕事ドラマ「半沢直樹」。新型コロナウイルスによる撮影中断を経て、7年ぶりに半沢直樹が帰ってきます。金融業界を牛耳る悪い上司に土下座させる、あの熱狂も戻ってくるのか?続編前に放送された特別総集編で、1部を振り返り考察します!
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あれから7年、コロナウイルス感染拡大による撮影延期を乗り越え、続編となる「半沢直樹」(TBS系)が7月19日にスタートする。前作は1~5話までが「1部」6~10話までが「2部」と言われており、放送に先駆け、その1部に当たる「半沢直樹 特別総集編」前編が7月5日に放送された。

池井戸潤の小説『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』を原作とした前作は、なんと最高視聴率42.2%(最終回)を記録。普段ドラマを見ない層をも巻き込み、文句なしの社会現象となった。リアルタイムで視聴できなかった僕は、それはそれは肩身の狭い思いをしたことを覚えている。リアルタイムで観てた人も、僕と同じように寂しい思いをした人も、「第二次半沢直樹ブーム」を楽しむために総集編はぜひチェックしておきたい。

銀行に追い詰められ自殺した父を持つ半沢直樹(堺雅人)が、銀行の不正に立ち向かい成り上がる。上戸彩が超良妻として登場するも、特に恋愛もなく、若い美男子も美女もほぼ出てこない。おいしそうなご飯もかわいい犬猫もなし、マーケティングの観点からは視聴率が全く取れなそうな超硬派なお仕事ドラマだ。ほんと、ただ面白いだけの作品だ。

 

理不尽に真っ向から立ち向かう

1部は、西大阪スチール・社長・東田(宇梶剛士)から5億円を回収する話がメイン。半沢は上司である支店長の浅野(石丸幹二)に西大阪スチールへの融資を命じられるも、西大阪スチールは粉飾決算で倒産。半沢は、浅野に責任を押し付けられてしまう。自身の出向をかけ、半沢は東田の隠し財産を巡って国税庁の黒崎(片岡愛之助)と競合する。

メガバンクの融資課長とはいえ、社宅暮らしの半沢は経済的に一般層の域を出ない。そんな半沢が、料亭に入り浸っているような連中と対等に向き合う姿がとにかく痛快だ。どんな人も、多かれ少なかれ目上の人間に理不尽を強いられてきた経験があると思うが、半沢はその理不尽に真っ向から立ち向かうのだ。自分ができないことを代わりにやってもらう、ドラマの主人公としては理想のキャラ設定と言える。それにしても、「気に入らない上司に土下座させる」、こんなにシンプルなことがこれほどカタルシスを生むとは思わなかった。

 

総集編の方がおもしろい?

1~5話までを1時間50分ほどにまとめた総集編前編。普通だったらあれが足りないこれが足りないとなってしまいそうなのだが、意外なほどにスッキリと観られた。というのも、そもそも1部は動く金額こそ大きいが、オチがひとつの支店の中で収まってしまい、ある意味広げた風呂敷ほどは壮大なものではなかった。それがまた半沢がいち銀行マンだということを示していておもしろい部分ではあるのだが、肩透かしとも言える。

それが1時間50分にまとめると、ザクザク話は進むし、視聴者は通常放送と違って週をまたいで期待しないでいい分、余計な期待をせずに観ることができる。YouTubeなど、娯楽に“早さ”が求められる今の時代においては、総集編の方が好まれる可能性もあるかもしれない。

 

時代に逆行する「半沢直樹」どうなる?

とあるYouTuberが「YouTubeはシークバーで飛ばされるからオチを最後に持っていっても意味がない」と言っているのを聞いたことがある。飛ばされないよう動画の前編におもしろいポイントを詰め込むのだ。漫画やアニメなんかも、ダメな主人公の成長より、最初からある程度すごい主人公の無双が求められる風潮もある。これはテレビドラマ、特に「半沢直樹」とは作り方が真逆だ。なんなら、カタルシスが爆発するようなシーンは10話通しても数回で、大半はそのための伏線であり、それ以外で視聴者は大きなストレスを与えられ続けることになる。もちろん、だからこそおもしろいのは前提で。

前作と続編の作りが同じとは限らないが、「半沢直樹」は時代の流れと逆行している。賀来賢人、今田美桜、尾上松也らが新しく登場するとはいえ、メインで出てくるのは渋いおっさんばかりだし、若者が観る理由が本当に少ない。7年前よりも、もっと気軽に手早く楽しむエンターテイメントは増えているのだから。

それでも、ドラマを観ない層を巻き込んだ前作のように、社会現象になる可能性は十分にある。なんたって最高視聴率42.2%、総集編でさえ13%を記録するモンスタードラマだ。逆境に打ち勝つ「半沢直樹」に期待せずにはいられない。

 

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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