「ハケンの品格」長年の三角関係の着地点は?「自分のために戦え」の檄で里中が遂にプロポーズ

13年ぶりの「ハケンの品格」新シリーズも今夜で最終回。前シリーズと同じS&F社に戻ってきた、スーパー派遣・大前春子(篠原涼子)が戦っているのは社員ではなく「AI」。AIによる人員削減を阻止すべく奮闘する里中賢介(小泉孝太郎)は、社員を救えるのか?長年の三角関係の結末は……?

7月29日に「ハケンの品格」(日本テレビ、水曜夜10時)の第7話が放送された。

前回のエンディングで、AIが製作する人員削減候補に東海林武(大泉洋)がリストアップされたことが明らかになった。しかし、当の本人は知る由もない。オープニングから無邪気だ。
「営業企画課は危機感が足りないんじゃないかなあ? 誰かのクビが飛ぶぞー!」(東海林)

確かに、この会社は危機感のない者が多すぎる。業務にAIが導入されると、自分で答えを出さず、仕事をAI任せにする社員が激増。それも、軒並みリストラ候補ばかりだ。AIに頼る社員がAIに切られるという皮肉な構図である。
「本っ当、手間省けますよねえ。AIさまさまですよ!」
やっぱり、危機感が足りない。

AIの判定は妥当だった? リストラ候補者たちの働きぶり

「正社員 VS 派遣社員」という対立構造だったはずのこのドラマは、6話から「人間 VS AI」のフェーズへ移った。そして、現時点ではAIのほうが優勢という印象だ。

7話で最悪の場面が登場した。S&F直営のコンビニ出店企画にかかりっきりの里中賢介(小泉孝太郎)は社内におらず、本人不在の間に東海林が里中のパソコンを勝手に操作した。そして、無断に里中宛のメールを開き、リストラ候補者の名簿を発見する。外部の人間の近耕作(上地雄輔)がすぐそこにいるのに、「厳秘」と書かれたメールを開けるなよ……。
百歩譲って、ここまではまだいい。直後、自分の名前を発見して固まる東海林の様子に気付いた他の社員が里中のパソコンを覗き込んだ。ここがもう、完全にアウト。すぐにパソコンを閉じ、みんなから見えないようにするくらいの機転は利かないのか……。

社内はパニックに陥った。里中のデスクを漁る者がいれば、里中の誹謗中傷を口にする者もいる。自分がリストラされると知った社員たちが暴徒化している。翌日の態度は、さらに子どもじみていた。パイロット店舗の設営に動き回る里中を尻目に、ふてくされて帰ろうとする社員が現れたのだ。まさに、「Motivation」は下がりまくり……。

コンプライアンス意識が欠けている東海林、モラルとやる気と精神年齢の低い社員たち。こう見ると、AIによるリストラ候補の人選は間違っていない気がしてしまう。AIは能力を正確に判定している。

「定時で仕事を終らせる」がモットーの春子が徹夜しまくり

S&Fは大丈夫なんだろうか?

パイロット店舗の設営中、職場放棄した社員がダンボールを放り投げた。それが断線ケーブルから出た火花で着火し、ボヤ騒ぎが起こってしまった。このとき、社員たちは火を見て呆然と立ちすくむのみ。消化器を探しに行ったのは大前春子(篠原涼子)だけだった。

店舗は散々な状態だ。この窮地を救ったのも春子だった。たくさんの鳶職人を引き連れ、「一級左官技能士の大前春子です!」と勇ましく登場。そして、仮設店舗を左官で仕上げていくのだ。プレオープンは明日なので、設営作業は夜通しである。「定時で仕事を終らせる」がモットーのはずなのに、今シリーズの春子は残業どころか徹夜しまくりだな……。

つまり、S&Fは春子が徹夜するくらいじゃないと成立しない会社ということ。火事が起きてもみんな身動き一つ取れないし、店舗を建て直すこともできない。

「自分のために戦え」の檄で春子にプロポーズした里中

里中がコンビニ事業に力を入れる理由は、リストラ候補に選ばれた社員を救おうとしているから。プロジェクト成功で業績を上げ、人員削減を阻止しようと奮闘中である。彼も背水の陣だった。

里中 「もし、このプロジェクトが失敗したら、俺はこの会社辞めるよ」
東海林 「賢ちゃん……だから、そういうのやめろって言ってんだよ! 2人でクビになってどうすんだ!? しがみつけよ、お前は! 俺たち踏み台にしてのし上がれ!! 賢ちゃんは自分を押さえつけすぎだよ。たまには自分勝手に生きてみろよ。俺や仲間のためになんて戦うな。自分のために戦え。そして、なりふり構わず勝て」

パイロット店舗のお披露目日、里中は投資家に向けてスピーチした。
「このプロジェクトが皆様のご理解、ご賛同を得られましたあかつきには、私は仲間と共にこのS&F本社から独立します。出資者の皆様には、今後とも変わらぬご支援を何卒よろしくお願いいたします!」(里中)

クーデターだ。会社が社員を切るのではなく、自分のほうから会社を切り捨てる。プロジェクト成功のあかつきには取締役の座が与えられるはずの里中は、仲間を優先してその約束を返上した。「自分のために戦え」という東海林の檄を受けても、やっぱり変わらなかったのだ。

……と思いきや、最後の最後で里中は自分のために勝ちにいく。春子に思いの丈をぶつけた。
「一生、同じ方向を見て歩いていきたいんです。公私ともに、僕のパートナーになってください!」(里中)

東海林と同じように、里中も交際0日で春子にプロポーズ!? 親友の思いを尊重し、自分の恋心を封印してきた里中が、ようやくなりふり構わない姿勢を見せた。13年ぶりの「ハケンの品格」続編は、長く続いた微妙な三角関係に決着を付けるためにあったのかもしれない。

今夜放送の第8話は最終回。なんと、春子が派遣切りに遭うらしい。春子がいてやっと成り立ってきたS&Fなのに……。気になるのは、予告映像で流れた春子の涙の理由と、三角関係の着地点だ。

ライター。「エキレビ!」「Real Sound」などでドラマ評を執筆。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレスと格闘技、ドラマ、イベント取材。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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