「半沢直樹」4話。大和田抜きの「半沢直樹」は考えられない(原作にはいないのに!)

「倍返しだ!」で一世を風靡した、超硬派お仕事ドラマ「半沢直樹」が7年ぶりに日曜夜に帰ってきた!半沢が東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券へ出向した「セントラル出向編」も今回でラスト。原作にはいない大和田(香川照之)とタッグを組み追い詰められた半沢。その結末は?

「半沢直樹」第4話で、原作小説『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤)のセントラル出向編がラストを迎えた。半沢直樹(堺雅人)と前シリーズからの宿敵である大和田暁(香川照之)の呉越同舟、みんなが観たいものを真っ直ぐ描き切り、ちゃんとハードルを超えてくれる。ホント素敵なドラマだ。原作に大和田は出てこないのに。

追い込まれた半沢と大和田

半沢たちの活躍によって買収の難を逃れたスパイラルに対し、三笠副頭取(古田新太)は電脳雑伎集団に500億を融資する力技に出る。財務状況に疑問を感じた半沢は、電脳の元財務担当・玉置(今井朋彦)に接触するため、静岡県にある電脳の子会社・ゼネラル電設へ。親会社に大切な特許を人質に取られた玉置親子を仲間に引き入れるため、半沢、瀬名(尾上松也)、郷田(戸次重幸)らは新たな投資家を探すが、東京中央銀行の伊佐山(市川猿之助)に阻止されてしまう。どこまで行っても東京中央銀行の名前、半沢の敵はなんとも巨大だ。

伊佐山「あんたのせいだ。あんたがした土下座のせいだ。くだらん土下座のせいだ。つまらん土下座のせい、土下座!土下座!全てを潰したんだ!土下座のせいでどれだけ泥水を飲まされたかぁ!土下座野郎!」

一方、前話で伊佐山を使い三笠副頭取を騙した大和田だったが、狙っていた常務就任がなかったことになってしまう。伊佐山を問い詰めるも、実は伊佐山が二重の裏切り行為をしていたことが発覚し、土下座野郎と罵られてしまう。信用していた伊佐山が三笠派閥に寝返り、大和田は顔面をヒクヒクさせながら膝から崩れ落ちてしまう。

土下座野郎のプライド

追い込まれた半沢は、役員会議で500億の融資を阻止するため、同じく追い込まれた大和田を仲間に引き入れようと駐車場で待ち伏せる。ここからの大和田が笑っちゃうくらい可愛い。半沢への恨み、損得勘定、伊佐山への怒り、バンカーとしてのプライド、全てがゴッチャゴチャになって、感情がブレるブレる。香川照之劇場の準備が整った。

大和田「それはそれは、謹んでお断りいたします」

半沢に説得されるが、そこは腐っても大和田。嫌味たっぷり、必要以上に丁寧な言葉で拒否する。しかし、喋っているうちに怒りがこみ上げてきたのか、ドンドン語尾が荒くなり、終いには「お前なんかと誰が組むか!死んでも嫌だねぇ!帰りなさい!負け犬半沢直樹君!」とただ感情を吐き出すだけで余裕がゼロに。

半沢「随分と情けないですねぇ!私が憎いのならそれでも結構!ただし、私はあなたが見返す鍵を握っている。私を利用しませんか?」

強気な半沢に、今度は何も言い返せず運転手に車を出すよう指示をする。しかし、「銀行での立場、伊佐山への復讐心」と「憎き半沢直樹と手を組む」を天秤にかけ、すぐに車をバックさせて戻ってくる。きっと車の中で「止まりなさ~い!!」とか運転手を怒鳴りつけたのだろう。

大和田「お前の、お前の握ってるカギってのはなんなんだ?言ってみろ?それ次第で決めてやる」

少しでも早く半沢の作戦を知りたいがために、だいぶ遠い所から質問しながら歩いてくる大和田。ほんの数秒待つこともできないほどに興奮しているのだ。完全に半沢に心を掌握されているくせに、上から目線だけはやめない神経の太さが大和田らしい。

半沢「やるんですか?やらないんですか?どっちですか?どっち何ダァ!」

半沢に怒鳴られてビビるも、大和田は横に体を揺らし、自分のリズムを整えてから一気にまくし立てる。

大和田「やるよぉ!やってやるよ!やってやりゃいいんだろ!その代わりやったらお前の倍返しは決まるんだろうな、ちゃんとぉ!」

この会話の中で半沢は「倍返し」と言っていない。それでも大和田の口から出たのだから、よっぽど「倍返し」がトラウマになっているのだろう。トラウマを乗り越える覚悟で、大和田は三笠副頭取に立ち向かう。

通販番組バリの合いの手を打つ大和田

500億の融資が決まる役員会議、大和田に呼び出された半沢は、伊佐山が作った稟議書をゴミ呼ばわりして異議を申し立てた。大和田にとって、半沢が猛威を振るう役員会議は思い出したくない記憶、その再現に思わず顔を歪めるが、首を振って必死に振り払い、半沢を援護する。

電脳が買収したゼネラル電設の資産価値に疑問を呈すると、大和田はわざとらしく「えぇ~?」と大きく驚く。続いて半沢が電脳の粉飾に突っ込むと、「なんとこれは驚きですねぇ~。半沢君、そこまで言うからには裏は取れてるんだろうねぇ?」と深夜の通販番組バリの合いの手で半沢を喋りやすくする。

大和田「これまた驚きだぁ~。すると伊佐山君、キミは電脳の不正を事前に知っておきながら、揉み消した、そういうことなのかな?」

半沢の怒涛の長台詞と、大和田の嫌悪感たっぷりの言い回しが伊佐山を追い詰める。まさに、呉越同舟。心強いったらない。追い落とされた伊佐山は、脂汗まみれで謝罪。続いて半沢は、トカゲの尻尾切りで逃げようとした三笠に裏金の事実を突きつけ、無事に500億の融資を止めることに成功。伊佐山、三笠、ことの発端を作った諸田(池田成志)は電脳へと出向が決まり、半沢は見事に東京中央銀行への栄転を勝ち取った。

『銀翼のイカロス』編へ

大和田「政府、この国全体を相手にすることになるかもしれない。全て、君の肩にかかっている。頼みましたよ、半沢君」

敵対するもの同士が手を組んだ大和田と半沢。しかし、ただの味方で終わらないのが大和田だ。完璧なコンビネーションを見せたくせに、銀行に戻ったばかりの半沢に「帝国航空再建」の無理難題を押し付ける。

半沢が復帰直後、国土交通大臣に抜擢された白井亜季子(江口のりこ)は、「帝国航空タスクフォース」を立ち上げると宣言。各銀行に帝国航空への債権の7割を放棄させるプランがあることを明かした。これが実現すると、東京中央銀行は500億円をドブに捨てることになってしまう。

第5話からは、『銀翼のイカロス』編に本格突入。江口のりこ、柄本明、筒井康隆ら豪華キャストが半沢の前に立ちはだかるが、原作には登場しない大和田はどのようにストーリーに絡むのだろう?もう大和田抜きの「半沢直樹」は考えられない。

 

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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