帰ってきた「BG~身辺警護人~」ヒーローではない、47歳の俳優・木村拓哉が演じる一人の男だ、だがカッコいい

新型コロナウイルスの影響で放送が延期されていた「BG 身辺警護人」新シーリーズが始まりました。主演の木村拓哉さんがボディガードとして、丸腰で依頼人を護ります。大企業に買収された、民間警備会社「日ノ出警備保障」の利益優先のやり方に反発し、組織を飛び出した章。フリーランスのボディガードとして、依頼人を護る姿に注目!
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木村拓哉主演の「BG~身辺警護人~」が帰ってきた! 丸腰であらゆる危険からクライアントを守り抜くボディガードたちの物語。2018年に放送されたシーズン1から2年ぶりの登場ということになる。

シーズン1では民間警備会社「日の出警備保障」に所属していた島崎章(木村)だが、新シーズンでは組織から独立し、個人として活動することになる。警察のように権力も武器も持たないボディガードなのに、今度は後ろ盾がまったくないフリーランスのボディガードになってしまったというわけ。

先週放送された第1話では、島崎が組織から飛び出した経緯と、島崎の個人としての初仕事、そしてかつてのボディガード仲間だった高梨雅也(斎藤工)が島崎のもとへやってくるまでが描かれた。

木村拓哉、革製品のように渋カッコいい

相変わらずキムタクはカッコいい。それに尽きる。昨冬、大反響を巻き起こした「グランメゾン東京」で演じた型破りなスーシェフ・尾花夏樹とも、今年1月に新境地として話題を呼んだ「教場」の峻厳な警察学校教官・風間公親ともまた違う魅力を発している。

「BG」のキムタクはグッと渋い。スターらしい華やかなカッコ良さというより、使い込んだ革製品のような渋いカッコ良さがある。それは彼が演じる島崎章という役どころと大きく関係する。

かつては第一線で活躍するボディガードだったが、クライアントよりも子どもの救助を優先したために引退。交通誘導員をしていたところ、新たに発足した身辺警護課に抜擢されるが、ロートルゆえ若手の高梨に突き上げられ、菅沼(菜々緒)や沢口(間宮祥太朗)ともどこか壁がある――。シーズン1は、島崎が自分の過去や課長の村田(上川隆也)の犠牲を乗り越え、ひとつのチームを作り上げる物語だったと言えるだろう。ちなみに島崎はバツイチ子持ちである。

持ち味は、破天荒さではなく、実直さ。武器は、特殊能力ではなく、地道に積み上げた経験。クライアントのためなら、時には理不尽な仕打ちにグッと耐える。華麗なアクションを披露することもあるが、加齢によってすぐに腰が痛くなってしまう。島崎章はスター・キムタクが演じるヒーローではなく、47歳の俳優・木村拓哉が演じる一人の男にすぎない。だが、それでカッコいいのだから十分である。

ボディガードの信念「弱き者の盾になる」

ヒット作のシーズン2第1話となれば、もっとド派手な舞台が用意されてもおかしくなかったが、島崎が取り組んだのは刑務所から出所した男・松野(青木崇高)をかつての恩師・坂上(神保悟志)のもとへ送り届けるという秋本治の読み切り短編のような渋い案件だった。

島崎が組織を離れたのは、利益を追求する会社と経営者・劉光明(仲村トオル)と対立したからだ。そこには、ボディガードとは何不自由のない金持ちを守るものなのか? という問いかけがある。答えはNO。島崎はそもそもクライアントより子どもを守ろうとしてボディガードをクビになった男なのだ。

だからといってシーズン2が地味なストーリーで終始するとは思えない。ストーリーにはキナ臭い政治が絡んでいる可能性が大いにある。また、シーズン1では「ロングバケーション」の山口智子、「若者のすべて」の萩原聖人ら豪華ゲスト陣を揃え、最終回には矢沢永吉まで担ぎ出していたが、シーズン2ではさらに豪華なゲストが登場する可能性もある。

とはいえ、ドラマの軸になるのは「弱き者の盾になる」という島崎の信念と、彼がこれまで仲間たちと作り上げてきたチームプレイ。1話では、島崎と高梨が任務遂行の際にお互いの時計を確認するときのセリフ「誤差なし」をバシッと(でもさりげなく)決めたが、2話以降、菅沼と沢口が合流するのかどうかにも注目したい。

今夜放送される第2話は、盲目のピアニスト・恵麻(川栄李奈)を島崎が守る。

ライター。「エキレビ!」などでドラマ評を執筆。名古屋出身の中日ドラゴンズファン。「文春野球ペナントレース」の中日ドラゴンズ監督を務める。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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