黒崎(片岡愛之助)の屍を超えていけ!「半沢直樹」8話は箕部幹事長(柄本明)がほぼもののけ

「倍返しだ!」で一世を風靡した、超硬派お仕事ドラマ「半沢直樹」が7年ぶりに日曜夜に帰ってきた!半沢が東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券へ出向した「セントラル出向編」が終わり、後半の「帝国航空編」へ。そして今回は最終回まであと2話。たった2回でどこまで“倍返し”できるのか?!

13日放送の「半沢直樹」第8話では、過去の敵たちが半沢と手を組んだ。最終回まで後2話。たったの2話しかない。

「はぁ?」

「銀行員生命をかける」と債権放棄の受け入れの提案に失敗した紀本(段田安則)に対して、ここぞとばかりに攻勢に出る大和田(香川照之)。

「銀行員とはかくあるべきだというお覚悟に、至極胸を打たれました!」

相手を上げたり下げたり印象を操作し、最終的に自分の口から負けを認めさせようと誘導する。最近の大和田は半沢のサポートなどに徹しており、自らがイキイキと前線ではしゃぐ姿は微笑ましい。しかし、紀本は負けを認めず、中野渡頭取(北大路欣也)が国会に呼び出される噂があると突きつけて一発逆転。紀本の続投は決定した。大和田の悔しそうな顔、悲しいことにちょっと見慣れてきてしまった。

一方、タスクフォースによる帝国航空再建案が完成。しかしそれは、半沢のパクりだった。違いと言えば、箕部幹事長(柄本明)と懇意な赤字まみれの伊勢志摩空港の続投くらい。あまりの忖度っぷりに白井亜希子国交大臣(江口のりこ)が疑問を呈すも、箕部は「はぁ? 最近耳が悪くてねぇ」と一蹴。あれだけ巨大に見えた白井大臣が弱く小さく見える。

半沢と大和田の一瞬の握手

半沢は、東京中央銀行に合併する前の東京第一銀行と箕部の間で不透明な金の流れがあったことを発見。紀本を叩き潰したい大和田は、箕部について何かを掴んだ半沢に「改めて手を組まないか?」と持ちかける。

これまでにも2人が手を組んだことはあった。しかし、今回の大和田は、恩を感じる頭取のピンチに本音が爆発する。

「心配なのは頭取だ! 参考人招致などというバカげたものを止めるためにも、何がどうなっているのか、早急に真相を掴む必要がある。そのためには猫の手だろうと犬の手だろうと半沢の手だろうと借りなければならんだ。お前だってこれ以上、私の手を借りなければ先に進むことができないはずだ」

「この世で一番お前のことが嫌いなんだよ!」としながらも、半沢の能力を認めて前に進む。半沢からは「人にものを頼むときの7文字は?」と大和田が以前言ったセリフで煽られ、一度は「お、おねしゃす!」で茶を濁そうとするが、きっちりプライドを曲げて「お願いします!」と叫び、手を差し伸べる。

2人の距離は、数メートル。少しずつ歩み寄り、一瞬だけ手を掴んでまた離れた。大和田にとっても半沢にとっても、絶対に握手なんかしたくない相手だ。しかし、それでも手を繋いだのは、「ここまでやってやってんだからテメー絶対裏切るんじゃねーぞ?」と確認し合うため。背に腹は変えられない。2人は、何が何でも箕部と紀本を倒したい。

ほぼもののけ・箕部

大和田、部下の田島(入江甚儀)、前シリーズで敵として登場したタブレット大好き男・福山(山田純大)、そして検査部の富岡(浅野和之)が、半沢の周りに集結。牧野元副頭取(山本享)が10年前に東京第一銀行の不正融資の罪を被って自殺した(と見られている)事実や、その死を偲ぶ「棺の会」、小料理屋の智美(井川遥)との関係などを突き止める。これらの情報を使って半沢は、博打にも似たトリックで紀本をハメることに成功。ついには、箕部の不正融資の証拠となるクレジットファイルをゲットする。

これまでの敵は証拠さえ掴めば勝ち確定だったが、箕部は違った。半沢と大和田を呼び出すと、「金は返した。それだけ」と罪を認めない。それどころか、牧野が不正に金を受け取っていた証拠を2人に突きつけた。さらに、これを公にすれば東京中央銀行には業務停止命令が下ると脅す。

即座に頭を下げる大和田、半沢も逆転の糸口がないと判断したのか、ギリギリまで粘るも謝罪し、完敗。牧野の不正融資の証拠はでっち上げの可能性があり、それは大和田も半沢もわかっていた。だが、これは適当に作った紙っぺら一枚で銀行を潰すことができるという力の誇示。「牧野の死」という事実から、「殺すこともできる」と戦いの次元が違うことを見せつけたのだ。

ムカつく、卑怯、陰険、半沢のこれまでの敵につく形容詞は様々だが、箕部が似合うのはシンプルで「強大」。殺るか殺られるかの世界で数十年生き続けた男は、もののけのように底の知れない恐ろしさを漂わせていた。

黒崎の屍を超えていけ!

半沢を散々苦しめた黒崎(片岡愛之助)。そんな彼も、「嗅ぎ回った」という理由だけで箕部に主任統括検査官のポストを下ろされてしまう。傲慢で独善的なキャラクターだが、部下からは愛されていたのだろう。退任の日、数十人の部下たちは直立不動でただ涙を流していた。

駆けつけた半沢にも、いつも通り憎まれ口を叩く。そして、「私の大っ嫌いなあなたでいてちょうだい」と敵として手強かった半沢に打倒・箕部の想いを託す。「伊勢志摩ステートを調べなさい」、黒崎が進退をかけて掴んだヒントを胸に、半沢は頭を下げた。

今話は、大和田、福山、そして黒崎と、前シリーズで敵だった男たちが半沢に手を貸し、箕部の前に敗れた。最終回直前の第9話は、黒崎が言った「伊勢志摩ステート」を徹底的に半沢が調べ上げる。予告動画では、「やられたらやり返す!倍、いや、3人まとめて……」と鬼の形相を見せる半沢の姿が。

3人とは一体誰のことなのだろうか? そして「まとめて」に続く言葉は? 黒崎の屍を超えたのだ、もう引き下がるわけにはいかない。

 

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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