「親バカ青春白書」最終話は父への想いVS恋心。ガタローをとられたくないさくらの親離れ物語

父・ガタローをムロツヨシ、娘・さくらを永野芽郁が演じる、日本一バカでかわいい父娘の青春ホームコメディ「親バカ青春白書」。ガタローが大学生になった本当の理由とは?ガタローと美咲の恋の行方は?気になる最終回を振り返ります!

9月13日に「親バカ青春白書」(日本テレビ 日曜夜10時30分)の第7話が放送された。最終話では娘を心配する親バカ・小比賀太郎(ムロツヨシ、以下「ガタロー」)と娘・さくら(永野芽郁)の立場が逆転し、父を想うさくらVSガタローへの恋心を爆発させる衛藤美咲(小野花梨)のバトルが勃発している。

親離れできない子どものドラマでもあった

酔っていたとはいえパーティで美咲がガタローにキスした場面を見て、途端に機嫌が悪くなり、わかりやすく嫉妬するさくら。お父さんをとられたくないのだ。子離れできない親のドラマかと思いきや、親離れできない子どものドラマでもあった。

また、美咲が絶妙なのだ。シェアハウス化して、恋愛リアリティショー状態になった小比賀家。まさに美咲って、その手の番組に出演する女の子みたいだ。どんな女性がタイプ? と問われたガタローが「長い髪がサラサラ~」と答えると、だんご頭だった髪を何気なくほどく美咲。グイグイ行く。

長い髪がサラサラ……、ガタローは今も亡き妻・幸子(新垣結衣)を想っている。

幸子の特攻服の刺繍「仲間を照らす太陽 この友情に幸あれ」

最終話にして、ガタローが大学生になった本当の理由が明らかになった。幸子はさくらを妊娠し、ガタローは小説家に専念するため、共に東大を中退していた。そして、幸子には「太郎ちゃんには大学をちゃんと卒業させてあげたかった」という想いがあった。ただ親バカなだけでなく、亡き妻の願いを叶えるためにガタローは大学に入学していたのだ。

さらに、ガタローと出会う前の幸子がヤンキー、つまり元ヤンだったことも判明! 彼女が通っていた不良高校に元暴走族の弁護士先生がやってきたというのだ。
「お前ら、人生を無駄にしたくなければ東大に行け!」
そして、猛勉強の末に幸子は東大を合格したらしい。

「どっかで見たことあるんだけど……」(さくら)
明らかに、かつて新垣が出演していた「ドラゴン桜」(TBS)のストーリーだ(新垣はヤンキーではなくギャルだったが)。努力して底辺校から東大に入学した過去は完全に同作からのトレースだし、新垣の娘の名前が「さくら」というのも因縁を感じさせる(ついでに言えば、「逃げるは恥だが役に立つ」で新垣が演じた森山みくりの母の名前も桜)。福田雄一は、本来なら同時期に放送予定だった「ドラゴン桜2」(TBS)と最終話をシンクロさせるつもりでいたのだろう。ガタローの東大出身という設定も、この日のためだったのか。手が込んでいるというか、何というか……。

「指詰めるよ」「手と足の爪全部剥ぐよ」「嘘ついたら市中引き回しの刑」と幸子が口にしていた暴力的な言葉も元ヤンならば納得だ。放送後、ドラマのInstagram公式アカウントは特攻服を着た幸子の写真を公開。特攻服には、こんな文字が記されていた。
「仲間を照らす太陽 この友情に幸あれ」
その文の横に刺繍されているのは、さくらの花である。

少し親離れできたさくら

幸子と同じ元ヤンだから、ガタローは美咲のことを放っておけなかったのかもしれない。美咲はガタローに告白した。
「ごめん、美咲。俺、ずっと好きな人がいるんだよね。もう死んじゃってるんだけど。ずっと好きなんだよね。なんだろうね、もういないのにね」(ガタロー)
ガタローの中では、幸子との短い時間が青春として光り輝いている。

美咲「バーカ! もしかして本気にした?」
ガタロー「え? あ……うん、ちょっとだけ」
美咲「バッカじゃないの。あんたの娘と同い年だよ? んなわけねーだろ」
ガタロー「だな」

もし大学生同士なら「本気にした?」「してねーよ!」とケンカに発展してもおかしくない。でも、「ちょっとだけ」と答え、美咲の気持ちをちゃんと受け止めたガタロー。6話で山本寛子(今田美桜)に「好きで好きでたまらなくなる人を見つけてください」とアドバイスした彼は、美咲を優しくふった。

ガタローの部屋から出てきた美咲にさくらがお酒を渡した。冷戦状態にあった2人は涙を流し、関係を元に戻した。夫が妻を、妻が夫を心配し、親が娘を、娘が親を想う小比賀家。そして、家族愛だけじゃなく、仲間を想う友情を描くドラマでもあった。ガタローを自分だけのものと思っていたさくらは、少し親離れができたようだ。

ガタローは大学を卒業して幸子の願いを叶えるのか?

明日から3年生になり、就職活動が始まるタイミングで「親バカ青春白書」は幕を閉じた。正直、全員揃って卒業する場面で締めくくってほしかったところ。ガタローがちゃんと卒業し、幸子の願いを叶えたかは重要である。さくらと畠山雅治(中川大志)の恋の行方、ガタローの新作はヒットするのか? 等も視聴者の想像の補完にトスされた形だ。何より気になるのは、ガタローとさくらの親子関係だ。さくらが親離れできたとしても、ガタローはまだ子離れできていないのだから。

ちなみに、放送終了後にムロは「続きやる、やります(^^)親バカ青春白書続編決定! こんな嘘ニュースを流す男になりました」と、永野は「うちのお父さんがね、絶対続きやるって言ってるから。その日を目指して頑張らなきゃね!」とそれぞれツイートしている。続きがありそうな終わり方だったし、最終話のタイトルは「また会える日まで」(ゆずの曲名から引用?)だ。続編やスペシャルドラマを期待してもいいのだろうか? 感動する予定じゃなかったのに、少し感動させられたドラマだった。

ライター。「エキレビ!」「Real Sound」などでドラマ評を執筆。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレスと格闘技、ドラマ、イベント取材。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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