きっとガタローは『親バカ青春白書』という新作を書くはず。「大恋愛」と同じ展開に感じる最終話の足音

父・ガタローをムロツヨシ、娘・さくらを永野芽郁が演じる、日本一バカでかわいい父娘の青春ホームコメディ「親バカ青春白書」。ガタローの亡き妻・幸子を演じるのは新垣結衣と話題に事欠かない本作は、気楽なストーリーが今の時代にぴったり! さくら・畠山かと思いきや、ガタロー・美咲の恋愛パートが主軸に?!

永野芽郁と今田美桜に告白される世界線

8月30日放送「親バカ青春白書」(日本テレビ 日曜夜10時30分)の第5話で、2つの恋が動き出している。

朝食を食べてまったりしている小比賀太郎(ムロツヨシ、以下「ガタロー」)と衛藤美咲(小野花梨)の2人。すると、ガタローの娘・さくら(永野芽郁)が「大学に遅刻するよ」と声を掛けた。急いで食器を片付けるガタローと美咲の連携が、あまりにも息ぴったりだ。なんだ、2人の夫婦感は……。もはや、奥さんみたいになっている美咲。彼女が小比賀家に居候して、もう2ヶ月が経っていた。父と友人のやり取りを見て複雑な表情になるさくら。

心配になった彼女は山本寛子(今田美桜)と畠山雅治(中川大志)に相談する。しかし、今度は寛子と畠山の仲の良さが気になった。恋に奥手な子ほど周囲の恋愛相関図に敏感なのはあるあるだ。
寛子がいい仕事をするのだ。さくらと2人でいるところに畠山を呼び出し、さくら→畠山の恋心に気付いていながら、わざと畠山に告白した。

寛子 「ねえ、ハタケ。私と付き合わない?」
畠山 「え?」
さくら 「ダメ! 畠山君はダメ!」
寛子 「なんでダメなの?」
さくら 「……それは……好きだから。私が好きだから、できれば……お付き合いを申し込みたく」
畠山 「喜んで」
さくら 「え?」
寛子 「面倒くさい2人だったなあ。後は2人でやって(笑)」

いいヤツすぎの寛子。ナイスアシスト。っていうか、永野芽郁と今田美桜から告白される世界がこの地上にはあるのか……。

こうして、面倒くさい2人の恋が始まった。ただ、ひとつだけミスがある。畠山がさくらと交際することを親バカのガタローに伝えてしまったのだ。

さくらと畠山は初デートの日を迎えた。今までは髪を下ろしてもっさりしていたさくらも、ポニーテールにして気合十分(ちなみに、畠山役の中川はポニーテールが好きだとムロのインスタライブで明かしている)。
「今日のさくら……なんか……かわいいなあって」(畠山)
前の彼女とは会話で「うん」しか言わなかったはずなのに、いきなり見せつけてくれる。

そこに偶然を装ってガタローが通りがかり、2人につきまとい始めた。ドラマだからまだ見ていられるが、現実にいたら本当に嫌。毒親だ。

一発屋の根来の代わりに一発屋のガタローがキレる

デート中、ガタローは根来恭介(戸塚純貴)のYouTubeが更新されていないことに気付いた。3人で根来の家を訪れると、見事に沈んでいる根来。まず、部屋が散らかりまくっている。部屋って病むと汚くなるんだよな……。

「毎日毎日、動画の更新のプレッシャーが。なんとか新しい企画を考えなきゃって。でも、何も思いつかないし。もう、俺どうしたらいいかわかんなくて」(根来)
こんなプレッシャーに悩まされているユーチューバーは本当にいそうだ。ガタローが根来に言葉をかける。

「俺、世の中的に売れた小説はデビュー作だけだからさ、天国と地獄、俺なりに味わってるのよ。最初に注目されると、その後が本当にやりにくいんだわ。自分の気持ちにコントロール利かねえし、周りの反応も無責任だし。だから、調子に乗るなって言ったんだよ。無理して背伸びしてたり、息切れすんの当たり前なんだよ」(ガタロー)
うざいけど、いざというときに的確な言葉をくれるガタロー。頼りになる。

部屋を大掃除したら、300万円の現金がなくなっていることに気付いた根来。辞めたYouTubeチャンネルのスタッフが持ち逃げしていたのだ。警察へ行くことを勧める畠山に、根来は「300万くらい忘れるよ」と返答した。明らかに金銭感覚が狂ってるな……。

スタッフを問い詰めに行ったガタローたち。すると、相手は泥棒のくせに逆ギレするのだ。
「たかが一発屋のくせに偉ぶってんじゃねーよ!」
この嫌味にガタローがキレた。
「てめえら……一発屋をバカにすんじゃねえ! 一発も当てられない奴がごまんといる中で一発当てたんだよ。それだけで十分スゲエじゃねえか! それに……一発屋なんて他人のものさしで決めたことで、本人はそんなこと思っちゃいねえんだ。毎日毎日、誰かにバカにされても、ずーっとずーっと二発目目指してがんばってんだ。一発も当てたことねえ奴が、ゼロが、簡単に人をバカにしてんじゃねえ」(ガタロー)

そして、YouTubeが当たって人が変わった根来もガタローは叱り飛ばす。
「言っとくけどな、最近のお前、チョー性格悪かったからな。正直、すっっっげえ大嫌いだった」(ガタロー)
1回当たると、人間は天狗になっちゃうからな……。前回からこのドラマは、未熟な若者たちにガタローが混じることで、大学生が学び成長していく作品になってきている。そりゃあ、美咲が惚れても無理はない。

お詫びとして、根来は実家から送られてきた魚を3人に振る舞った。実家が漁師の根来は魚をスイスイ捌いていくのだ。

さくら 「すごい……」
根来 「すごいの? 普通じゃない?」
畠山 「ってか、これをYouTubeに上げればいいんじゃない?」
根来 「俺が魚捌いてる動画なんて誰得(笑)?」
ガタロー 「いや、得あるだろ。お前、すげえ取り柄あるんじゃねえか!」

自分で普通と思っていることが他人からすると唯一無二の長所に見えることは、案外少なくない。あと、お料理チャンネルって見ていると確かに楽しいし。そういえば、川口春奈もYouTubeチャンネルで魚を捌く動画をアップしていたなあ。あれは面白かった。

再び、小説家・ムロツヨシが自分たちのことを本にして“二発目”を狙う?

悩める根来に助言し、“二発目”に向かう新たな一歩を踏み出させたガタロー。そして、彼本人も二発目の道を歩き始める。

ガタローたちが出かけている間、美咲はガタローの小説を全て読破していた。
「ねえ、ガタローの新作読みたい」(美咲)
ガタローは担当編集の尾崎(谷口翔太)に、真剣に小説を書きたい旨を伝えた。

これは、デジャヴだろうか? 熱烈なファンから新作を望まれ、執筆を再開するムロツヨシ。きっと、彼は自分が体験した日々を綴るはずだ。新作小説のタイトルは、恐らく『親バカ青春白書』。小説が書けなくなり、妻に先立たれた作家が、最後は自分たちのことを本にする。「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS)で辿った道のりだ。最終回に向けてストーリーが急展開していると感じ、少々寂しくなる。

ガタローの部屋を訪ねた美咲は、自分が最も気に入ったガタローの小説を挙げた。そして、率直に感想を伝える。最後、主人公が振り返らずに去っていったほうが良かったと、彼女なりの見解を述べたのだ。素人の戯言だと詫びる美咲に、ガタローが言葉を掛ける。
「それ、俺も書きながら一番迷ったところなんだよなあ……。いい目してんじゃん、美咲。編集に向いてるんじゃない?」(ガタロー)
そんなこと言っちゃって、ガタロー。ファンが小説家からそんな言葉を掛けられたら、絶対好きになってしまう。きっと、美咲はガタローの言葉で編集者への道を歩み始めると思う。ここでも彼は若者に道筋を示していた。

また、ガタローを見つめる美咲の目が完全に恋する乙女のそれなのだ。好きな人といるとき特有の甘えた声になってるし……。さくら―畠山かと思いきや、ガタロー―美咲の恋愛パートがドラマの主軸になってきたのは意外だった。
しかし、この恋路は娘的には心配だ。2人のイチャイチャを覗くさくらの顔が怖い。冒頭、ワイドショーの街頭インタビューで「彼氏はずっといません」と答えていたのに、あれよと畠山とラブラブになり、エンディングでは父親に不信感を抱いていたさくら。嵐のような1時間だった。

次回予告を見ると、なんとガタローと美咲がキスをしている。ものすごい生々しさだ……。このドラマの略称「オヤハル」は「親に春が来る」の略でもあったのか?

ライター。「エキレビ!」「Real Sound」などでドラマ評を執筆。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレスと格闘技、ドラマ、イベント取材。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
ドラマレビュー