横浜流星×浜辺美波「私たちはどうかしている」4話。わらび餅の攻防

今、最も美しい、浜辺美波×横浜流星が主演のラブ・ミステリー「私たちはどうかしている」。15年前に起こった老鋪和菓子屋「光月庵」主人の殺害事件を巡り、過酷な運命に翻弄されながらも惹かれ合う2人の物語が描かれます。スピーディーに展開し視聴率も上向いた4話を振り返ります。

9月2日に放送された「私たちはどうかしている」第4話。相変わらず七桜(浜辺美波)と椿(横浜流星)の感情の流れはよくわからないが、展開もスピーディでこれまでで一番観やすかった。視聴率も上向きの8.4%だ。

七桜がどうかしてる

「あんたは本当に花岡七桜なのか?それとも、サクラなのか?」

嘘をつくと地獄に落ちると言われている「不妄語戒」の掛け軸。椿の問いに対して、七桜は「サクラじゃありません」と嘘を突き通す。この覚悟からいよいよ事件の真相に近づくか? と思われたが、第4話は見習い職人・城島(高杉真宙)がメインの回。それにしても、「嫌ならふり解けばいい」「全部俺のものにしたい」みたいな少女漫画らしいセリフがハマる横浜流星は、貴重な存在だ。

冒頭から椿とラブシーンを演じ、本物の夫婦に近づき始めた七桜だが、女将(観月ありさ)の命令を受けた城島の誘いにあっさり乗って和スイーツカフェへ。椿との仲を引き裂きたい城島は、七桜を惚れさせようと離れの従業員の部屋に誘い出す。その部屋は、15年前に七桜が母・百合子(中村ゆり)と暮らした部屋だった。

(婚約者の)店の従業員の部屋に1人で行くなんてだいぶ不貞行為まっしぐらなのだが、案の定、女将の策略通り椿が現れて修羅場に。城島は挑発するように七桜にバックハグをして、椿はブチギレて壁に押し付ける。が、ここの七桜の感情の流れがよくわからない。七桜は半ギレで椿に「どうして城島君にあんなことを?」と後ろめたさを微塵も見せず、椿が「むかついたんだ」と嫉妬を吐き出すも、七桜は椿の気持ちを汲み取らない。結果、2人はすれ違ってしまう。

完全に七桜がどうかしている。全力で七桜の気持ちに寄り添って見るならば、元々2人は偽装夫婦であり、七桜的には城島とどうなろうがそれは契約違反でない、ということだろうか? それとも、穢れを知らない可憐な乙女なので部屋に行くことの意味を知らない、ということなのだろうか? 冒頭で流されて椿と床入りしてるし、ちょっと違和感だ。椿は「無骨なツンデレ」というキャラが確立しつつあるが、七桜がどういう人間なのかイマイチわからない。

椿の悪いところ

城島の過去が明らかになった。2年前、経営が傾いていた実家の和菓子屋「しまや」は、デパートの催事に出店するチャンスを得る。しかし当日、名物のわらび餅は何者かの手によって床に散乱し、椿の光月庵ばかりが注目される結果に。その後、城島の父は過労で亡くなり、しまやは閉店を余儀なくされた。
逆恨みの流れかと思ったら、椿もちゃんと悪かった。主催者にもう一度チャンスをもらおうと頼み込む城島に、通りすがりの椿は「騒がしいな。食べてもらえるときに最高のものを出す。そんな当たり前のことができないから一流になれないんだよ」と嫌味一閃。完全に椿の悪いところが出てる。現場に光月庵の手拭いが落ちていたこともあり、こうして犯人を椿だと思い込んだ城島は、復讐のために光月庵に入ったのだった。

七桜、騙されていることに気づかない

「父のわらび餅は、柔らかさの中にもしっかりとした弾力があるんです。楊枝で持ち上げると、すぅっとよく伸びる。でも決して切れない」

一方、しまやに営業再開してほしいと願う七桜は、名物のわらび餅の再現に挑む。城島からアドバイスをもらって水の量や煮詰める火加減などを細かく調整して、本物に近づけて行く。七桜を騙す気満々、常に嘘を吐き続ける城島が、わらび餅に関しては本音しか言わないのが印象的だ。

少しずつ出来上がるわらび餅に、城島はイライラが止まらない。自分が再現できなかったことも悔しいし、七桜のひたむきな情熱も眩しい。いよいよ完成間近というところで、城島は爆発する。

「いい加減にしてもらえませんか? 小さいけど温かい店? それ七桜さんの夢でしょ? 俺に押し付けるな」

言葉は嘘だが、感情は本物。城島は女将の命令に背き、お菓子への情熱を取り戻す。

騙されていることに気づかないまま、情熱のみで城島を変えた七桜。このピュアさが、七桜のキャラクターなのだろう。城島の部屋に行ったのも、ピュアすぎて「ただわらび餅食べに行っただけだけどどうしたの?」的に思っていただけなのかもしれない。穢れは知っているけど、可憐な乙女だったのだ。

第5話では、今まで職人たちを使って七桜を陥れようとしてきた女将が、自ら動き出す。やっと、物語の真相に近づきそうだ。ちなみに、七桜はまたしても城島の部屋に遊びに行くようだ。

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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