「半沢直樹」7話。「わ、か、り、ま、す、よ、ね?」で1週休み

「倍返しだ!」で一世を風靡した、超硬派お仕事ドラマ「半沢直樹」が7年ぶりに日曜夜に帰ってきた!半沢が東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券へ出向した「セントラル出向編」が終わり、5話からは「帝国航空編」がスタート。「わ、か、り、ま、す、よ、ね?」の白井亜希子国交大臣(江口のりこ)に“ネジ”たちは倍返しできるのか?!

8月30日放送の「半沢直樹」第7話。半沢(堺雅人)よりも大和田(香川照之)よりも森山(賀来賢人)よりも、今回ドラマを盛り上げたのは、大東京銀行の柴田(安藤彰則)だった。安藤彰則は、僕の勉強不足で初めて知ったのだが、調べてみると時代劇を中心に活躍していて「相棒」(テレビ朝日系)にも出演した役者さんらしい。他のドラマで少しでも見かけたら反応してしまう、絶対に反応してしまう、そんな強烈なインパクトを残していた。

私は国交大臣ですよ?

再建チーム「帝国航空再生タスクフォース」を立ち上げた白井亜希子国交大臣(江口のりこ)は、帝国航空に債権を保有している銀行に、一律7割の債権放棄を検討していると発表。半沢は、帝国航空再建のため、余剰人員の受け入れ先として、スカイホープ航空との繋がりを作った。しかし、スカイホープ航空の新規路線の認可は突然却下され、全ては白紙に。半沢は白井を問い詰める。

白井は、開発投資銀行の融資打ち切りが理由だと答えるも、事実は「認可が却下されたため、開発投資銀行が融資を打ち切った」と順序が逆だった。さらに白井は、テレビで半沢の東京中央銀行だけがタスクフォースに反対する自分勝手な銀行だと国民に印象付ける。様々な悪党との戦いが描かれてきたが、やはり相手は国。やることのスケールが違う。

「わ、か、り、ま、す、よ、ね?」

滝川クリステルの「お、も、て、な、し」をパロディにしたセリフ。過去にも白井は、報道陣の前でこれを使用しており、今回も半沢を挑発するために言い放つ。改めて債権放棄を拒否することを伝えにきた半沢を、「あなたはしがない銀行員、そして私は国交大臣ですよ」「現場はネジと同じ、その指示に忠実に従えばいい」と遥か上空から見下ろす。

半沢がバンカーとしてのプライドを語るも、「面白いお方~」と半沢をイタイ奴扱いだ。しかし、ネジは実家の工場で作っていた半沢の原点。ネジを甘く見た白井は、足元をすくわれる。

ネジたちの反乱

帝国航空に融資した銀行を集めた合同発表会には、多くのマスコミが集まった。乃原は当然のように、銀行に債権放棄を要望する。高圧的な態度は、とても弁護士には見えない。

「債権放棄だな?」

帝国航空の主力は投資開発銀行、準主力は東京中央銀行だ。他の銀行はこれまでほぼ描かれず、政府の言いなりかと思われた。しかし、第一陣として登場した大東京銀行・柴田(安藤彰則)は、脂汗を光らせながらも、乃原の脅しに負けず、「主力および、準主力銀行の決定に順わせてもらいます」と反抗して見せる。

大東京銀行全ての社員の思いを背負ってこの場に立ったのだろう。着席後にハンカチで口を覆う姿は、不安に押しつぶされないようとする男の意思だ。吐いた言葉は飲み込まないぞ、と。

弱者の、ネジたちの戦いは続く。白水銀行は目を泳がせ、両手の指をこねくり回して緊張を紛らわし反抗。東京首都銀行は、「もういい!」と恫喝されながらも直立不動で乃原にあらがって見せた。関西シティ銀行は、言葉を発するのが怖いのか、少々駆け足気味で他の銀行と同じ「主力および、準主力銀行の対応に順ずることと致します」を言い切った。

東京中央銀行の半沢と投資開発銀行の谷川(西田尚美)は、他のバンカーたちの思いを繋ぐようにタスクフォースの要請を放棄。「鉄の女」と呼ばれる谷川は堂々とした振る舞いを見せるも、半沢に見せた笑顔はとても柔らかかった。

ただ、名シーンの連続だった今話でも、他のバンカーたちが残したインパクトは大きかった。では、なぜ初めて登場したような大東京銀行たちがこれほどの盛り上がりを作れたのだろうか?

半沢と同じだった

前シリーズの「半沢直樹」は、復讐がメインで描かれた。しかし、今作はちょっと違い、半沢は仕事への姿勢を幾度となく説いてきた。それにより、森山は成長を見せ、瀬名(尾上松也)は腹をくくり、谷川は意地を見せた。もちろん半沢も、覚悟を持って様々な難敵を撃破している。

大和田だってそうだ。今話では半沢と大和田が共闘して、役員会議を戦って見せた。これまでも利害の一致で手を組んではいたが、今回は芯から半沢の意見に賛成していたように見えた。どう転んでも乗り切れるよう小賢しく絶妙な立場に立ってはいたが、「顧客第一の精神を貫くべきではございませんか!」の言葉には嘘がないように思えた。これら全てが、半沢が語り続けた仕事へのプライドだ。

これと同じだったのだ。これまで描かれてこそいないが、大東京銀行の柴田たちもこれと同じだったのだ。半沢のようにバンカーとしてのプライドを持ち、見えないところで国と戦っていたのだ。たったの数十秒間で彼らは、これまでの「半沢直樹」を見事に表現して見せたのだ。

ネジたちの倍返しに、屈辱で身震いする白井。辞任を決意するが、箕部幹事長(柄本明)は、「君は票を集める広告塔だ。何もせず、お飾り人形として私の言う通り従っていればいいんだ」と辞任を揉み消した。次回放送予定だった、9月6日はコロナの影響で撮影が滞ってお休み。「これに伴いまして、9月6日(日)は、『半沢直樹』のキャスト・スタッフが一丸となって、1時間の生放送をお届けします」(公式サイトより)らしい。
13日放送予定の第8話では、ついに箕部が動き出すようだ。

 

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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