「私たちはどうかしている」6話。全ての厄災を背負う横浜流星……このドラマは一体誰が悪いのかを考える

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• 前回はこちら：横浜流星&浜辺美波「私たちはどうかしている」5話。悪役観月ありさは蚊帳の外か？ちゃんと鍵を握っていてほしい

最終話まで残すところあと3話と迫った「私たちはどうかしている」。9月16日放送の第6話は、初回放送と同じ9.6%を記録し、なかなかの上り調子だ。クライマックスへ向けて人間関係もだいぶグチャグチャになったので、主要人物だけでもまとめておきたい。

6話までにだいぶこんがらがった人間関係を説明

今作の主人公・七桜(浜辺美波)は、「サクラ」として幼少時代を老舗和菓子屋・光月庵の従業員部屋で過ごす。現在は、15年前に殺人の罪に問われて失意のまま亡くなった母・百合子(中村ゆり)の無念を晴らすため、正体を隠したまま光月庵に嫁ぐ。初めは偽装結婚だったものの、次第に跡取り息子の椿(横浜流星)に惹かれ、当初の目的との間で苦しむ。そんな中、椿との子を妊娠。さらに、実の父が何者かに殺された先代当主・樹(鈴木伸之)であり、自分が光月庵の正当な後継者であることを知る。

もう1人の主人公の椿は、光月庵をより愛される店にするために情熱を燃やす。母で女将の今日子(観月ありさ)が決めた結婚を破談にし、和菓子の才能あふれる七桜との偽装結婚を決めるも、次第に七桜への思いは本物に。15年前には、父・樹と七桜の母・百合子が不倫関係にあったことを知り、殺される前の樹が百合子といたことを警察に証言。現在は七桜のことを愛するものの、全てを奪った「サクラ」のことは憎んでいる。また、樹とは血が繋がっていないことが発覚。実の父については、6話の時点ではわかっていない。

光月庵の女将・今日子は、息子の椿を立派な当主にするために人生を懸けている。七桜が「サクラ」であることにも気づき、嫌がらせをする毎日。大旦那(佐野史郎)に見初められて結婚した夫の樹には「触ってももらえなかった」という悲しい過去を持ち、これがきっかけで歪んでしまった。樹の不倫相手だった百合子を憎み、その娘の七桜も憎む。

これ、一体誰が悪いの？

人間関係はドロドロで、一体誰が悪いのか判別が難しい。殺された樹は、今日子と結婚しながら、不倫相手の百合子を店に住まわせるというなかなかのゲス野郎だ。そのクセ、百合子のためか、親が選んだ本妻の今日子には指一本触れないという妙な倫理観を持っているのもタチが悪い。百合子と駆け落ちする勇気はない、百合子とは家の外だけの関係にして今日子とうまく付き合う器用さもない。一番の元凶候補だ。

殺人の罪を擦りつけられて亡くなった百合子は、ここに来て見え方がだいぶ変わった。圧倒的な被害者と思われたが、不倫相手なのに平気で光月庵に住う泥棒猫っぷりが発覚。七桜のこともあるし、住んでるだけならまだ同情の余地はあるが、今話で今日子に「樹さんを返してください！」と筋違いのキレ方をしていたことがわかったので、もうアウト。

良い方向に見え方が変わったのは今日子だ。初めは光月庵をよくするためにキラキラしていたが、樹と百合子のせいで蛇と言われるほどに歪んでしまった被害者と言える。しかし、一定の同情はできるが、大旦那を殺しかけておいて放置したり、七桜をロウソク台で殴るなど悪行が過ぎるので、応援はできない。自覚はなさそうだが、ロウソクを倒して歴史的建造物の光月庵を火事にするという大罪も。

大旦那は、厳格な雰囲気を醸し出すが、椿が血が繋がってないと気付きながらも発覚するのを恐れてちゃんとは調べない卑怯さも併せ持つ。また、良家の娘だからと今日子と樹を結婚させたり、実力がありながらも血の繋がりのない椿を認めなかったり、伝統に縛られた悲しい男でもある。今どきLEDを使わずに本物のロウソクにこだわっていたのも多分この男。

母を亡くした七桜は、完全に被害者だと言い切れる。しかし、運命に翻弄されすぎたせいか、感情の流れが不可解で、タイトルを回収するように「どうかしている」行動を連発する。今話では、愛を試したかったのか、火事なのに椿を家の中で待つという奇行に走り、流産してしまう。また、旦那がいるにもかかわらず、平気で男の部屋に1人で行くなど、母・百合子に似た図々しい面も。

椿は、唯一の真人間だ。母の不貞で生まれた子であり、血が繋がらないせいで光月庵を継げない被害者でもある。愛した七桜は、大好きな父の敵の娘だし、嘘はつかれるしで散々。百合子の証言についても母・今日子に印象操作されてしまったせいだし、そもそも子供の証言で簡単に連行する警察が悪い。栞(岸井ゆきの)との破談の仕方はどうかしていたが、それも光月庵の未来のため、土下座をするなどしっかりと筋は通して見せた。伝統を守りつつ進化もするという難題に1人で挑む、本当に1人だけ偉い。七桜が「この家の住人はみんな呪われている」みたいなことを言っていたが、その厄災を一手に引き受けている。

ラストへ向けて急展開

光月庵の火事により、大旦那は意識不明。起きたら今日子の悪事を訴えるのかはわからないが、ひとまず真相は闇の中へ。七桜は出ていき、代わりに父の言いなりになりたくない栞が押しかけてきた。そして3年後、栞は光月庵の看板娘になり、椿はどこかで自由にお菓子を作る七桜の姿を想像して幸せを願っていた。

そんな中、とあるお菓子の選定会で常連だった光月庵が落選。代わりに、七桜が働く和菓子屋・花がすみが選ばれた。七桜は「今の光月庵には消えてもらうから…」と意味深な発言を残すのであった。

残りは、第7話と2時間スペシャルの最終話を残すのみ。3年越しに出会う椿と七桜は？　椿がお菓子作りから遠ざかった理由は？　未だ椿に想いを寄せる栞は？　椿の父は？　百合子を殺した人物は？　ここら辺が見どころとなってくるだろう。特に殺した人物は原作でもまだ明かされておらず、ドラマオリジナルのシナリオが用意される可能性が高い。あとたった3時間しか放送はないが、なんとかうまく収まってくれることを期待する。