横浜流星&浜辺美波「私たちはどうかしている」5話。悪役観月ありさは蚊帳の外か?ちゃんと鍵を握っていてほしい

今、最も美しい、浜辺美波×横浜流星が主演のラブ・ミステリー「私たちはどうかしている」。15年前に起こった老鋪和菓子屋「光月庵」主人の殺害事件を巡り、過酷な運命に翻弄されながらも惹かれ合う2人の物語が描かれます。嫌がらせを続ける悪役の女将(観月ありさ)が躍動する5話。しかし物語の中心からはすっかり外れて、蚊帳の外に?!

「私たちはどうかしている」5話は、0,8ポイントアップの9.2%。2話以降に地味に上がり続け、2桁も目前だ。

今回は、このドラマのドロドロパートを一手に引き受ける女将(観月ありさ)が躍動。やってることはだいぶ非道なのだが、意外と物語の蚊帳の外というか、あんまり芯を食ってないというか、空回り気味でちょっぴり哀愁を滲ませていた。

「半沢直樹」でいう大和田が観月ありさ

今作の女将は、主人公・七桜(浜辺美波)を困らせる卑怯な敵役。「家なき子2」でいうエリカ様(榎本加奈子)ポジションであり、「花より男子」の海(戸田恵梨香)、「半沢直樹」でいう大和田(香川照之)だ。そんな女将は、金で操っていた城島(高杉真宙)が真人間になってしまったため、自ら動き出す。

七桜の母と偽る夕子(須藤理彩)の小料理屋に突然訪れた女将。白々しい物言いでジワジワと夕子を追い詰めると、ほんの一瞬目を逸らした隙に、日本酒に特大の蛾を混入させるマジシャン顔負けのテクニックを披露。続いて、店内で偶然出会った政治家らしき人物を他所の店に連れ出し、「簡単なのよ、こんな店を潰すくらい」と夕子に睨みを利かせる。女将の本領発揮といった感じだ。

続いて、椿(横浜流星)が結婚式に母親も呼んで欲しいと七桜にお願いするシーン。七桜が「体弱くて、遠くからきてもらうの悪いから」と嘘をつくや否や、女将は「遠く?」と障子を開けて登場。たまたま通りがかったのではなく、完全に障子に手をかけて待っていたタイミングの良さだ。蛾もちゃんと用意してるし、嫌がらせに余念がない。

また、椿が「ここならゆっくり話ができるだろう?」と七桜を連れ出した庭園にさえ、当たり前のように女将は登場。大したことはしなかったが、「ここならゆっくり話ができる」とは一体何だったのだろう。ドラマの不文律を無視している。

衝撃事実の連続も、女将が蚊帳の外

一方の七桜は、椿の子供を身篭っていることが発覚。また、過去に母・百合子(中村ゆり)と暮らした部屋では、「父子鑑定書」なるものを発見。百合子が15年前に殺された光月庵の主人・樹(鈴木伸之)と不倫していたこと、自分の本当の父が樹であること、椿の父が樹ではないこと、さらには自分が光月庵の正当な跡取りであることを知る。七桜は椿から後継ぎの座を奪ってしまうことを恐れ、光月庵を出ていくことを決意する。

また、椿も椿で七桜が15年前に自分が追放した少女・サクラが七桜だと気づく。しかし椿は、そのことを追求しなかった。後継ぎ問題よりも妻としての七桜が大事になったのだろうか、椿は、サクラもろとも七桜を受け入れたのだ。

そして大旦那(佐野史郎)は、「後継ぎは椿。しかし、正当な血筋の後継者(七桜のこと)が現れたら全ての財産を渡す」といった内容の遺言書を作成する。

何だろうか、この女将の蚊帳の外っぷりは。あれだけ七桜の最大の敵っぽさを発揮しておきながら、物語の根幹にまるで入り込んでいけない。女将の目的は椿を立派な当主にすることであり、邪魔で嫌いな七桜を排除すること。しかし、真実が明るみになったら七桜が当主になるし、黙っていても椿は七桜と相思相愛のため、七桜は居座ることになるだろう。つまり、女将は物語の巨悪ポジションのくせに、すでに詰んでいるのだ。

そんな女将は、椿の元許嫁・栞(岸井ゆきの)の未練がましい姿に「一途に誰かを思っている人を好きになるのは、茨の道よ。どこまで行っても」と何だか意味深で優しげなセリフ。とことん嫌なやつだった女将の変貌の兆しだ。果たして、女将が「一途に誰かを思った」というのは、一体誰のことなのだろうか? 何か、何かもうひとつ鍵を握って、物語の中心に殴り込んでもらいたいものだ。

今話のラストは、七桜の回想で「倒れた旦那様のそばに落ちていた包丁には、ママの指紋がついていて、他に疑わしい人もいなかった……」と突然のミステリー調に。いよいよ、15年前の事件の真相に迫るようだ。ちなみに、まだ連載中の原作でも犯人は判明していない。

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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