真犯人は伊勢谷友介という衝撃。それ以上に衝撃的なニュースもあったけど「未満警察 ミッドナイトランナー」最終回

ダブル主演のSexy Zone中島健人、King & Prince平野紫耀のコンビがかわいいと話題のドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』。警察官を目指す警察学校の生徒、警察未満の2人が難事件に挑みます。ある意味衝撃的だった、真犯人。話題の最終回を振り返ります。

中島健人&平野紫耀主演『未満警察 ミッドナイトランナー』が最終回を迎えた。

シリーズ後半の「復讐編」で追っていたスコップ男事件の真犯人が、伊勢谷友介演じる警察学校の教官・片野坂譲だったというかなり衝撃的な最終回。しかし、その直後にもっと衝撃的なニュースが飛び込んで来ちゃったもんで……。
『未満警察 ミッドナイトランナー』視聴者としては、最終回がギリギリ放送できたことを喜ぶべきか!?

最終回のことを振り返ろうとすると、どうしても別の感情が湧いてきてしまうが、それは一旦置いといて怒濤の最終回!

結局、事件の真相は……?

3人を連続猟奇殺人犯・スコップ男の正体は原田泰造演じる刑事・柳田晋平……と思いきや、第9話では伊勢谷友介演じる警察学校の教官・片野坂譲が死体を埋めている映像が公開。

これはもう決定的な証拠! とはいえ、これまでずっと「別に真犯人がいる」と訴え続けてきた警察学校の教官。なおかつ、冤罪で死刑判決が言い渡されている天満暁生(佐戸井けん太)の子どもたちに真犯人を見つけるためのアドバイスまでしている。
さすがにこの片野坂が真犯人なんてことあり得るか!? 最終回でもう一発大どんでん返しするのでは……と思っていたが、片野坂が真犯人という事実は揺るがず。

しかし真相は、ひとつ目の殺人は片野坂の次女が、ふたつ目は妻が、そして三件目は事件の真相に気付いて脅迫してきた刑事を片野坂自身が殺したというもの。あの映像は、次女の殺人を隠蔽するために死体を埋めているところだったのだ。
しかもその次女は、本間快(中島健人)&一ノ瀬次郎(平野紫耀)の警察学校の同期・橘冬美(大幡しえり)という予想外過ぎる展開に。

伏線、ありました! 極細だけど

さて、「真犯人=片野坂一家」をにおわせる伏線はあったのか!? ……ビミョーにありました!

第1話で橘冬美が「私の父も警察官です!」と言っており、片野坂も感電洗脳事件被害者の少女に対して「おじさんにも娘がいて、最後に会ったのは、ちょうど君くらいの年の頃(中学生)なんだ」と語っていた。「最後に会った=自殺した」ということだろう。

第5話までで、スコップ男事件の真相が予想できる要素があるとすればこのくらい。極細の伏線だ。

第6話からの「逆襲篇」を結末が分かった上で見るとさすがに、天満暁生の子どもたちが立てこもり事件を起こした際の片野坂と冬美の反応はあやしく感じる。……が、それも「言われてみれば」レベルの話だ。

もうひとつ、長女の名前が夏美ということから、次女が冬美だと予想できなくもなかったが、長女の名前が判明したのは、橘冬美が片野坂の次女だと明かされる直前だった。

そもそも橘冬美は、カイくんがスコップ男事件を題材に模擬捜査をしたいと言い出した時、笑顔で「賛成です!」と賛同し、「連続猟奇殺人なら、赤の他人を殺し続けるのが普通だと思います」「犯人は、この人じゃな~い(ちょっとおどけだ感じで)」なんて推理をしていた。
ホントは自分自身が真犯人のひとりなのに……どんなサイコパスだよ!

韓国映画原作にする必要、あった?

忘れている人が多いと思うが、本作は韓国映画『ミッドナイトランナー』を原作としている。とはいえ第6話以降に関しては、警察学校が舞台、知性派と肉体派のバディということ以外はほぼオリジナルドラマといっていい内容だった。

原作の要素が取り入れられている1~5話と、スコップ男事件が中心になっていく6~10話は、ほぼ別のドラマと言っていい。おそらく、脚本家やスタッフたちが本当にやりたかったのは6話以降の「逆襲篇」だったのだろう。

権力者へのしがらみがなく、ピュアで真っ直ぐで無鉄砲な新人警察官を育てて自分の犯罪を暴いて欲しいと願っている片野坂。彼の生徒である警察学校の面々が、片野坂の教えと、それぞれの個性を活かして事件の真相にたどり着く。

しかし、1~5話までを原作エピソードの消化に使ってしまっているため、スコップ男事件の描写が中途半端なまま終わってしまった。カイくん&ジロちゃん以外の警察学校生徒たちの個性はイマイチ発揮されていなかったし、片野坂自身の犯罪を暴くために活かされた教えは、立てこもり事件の時に言っていたことだけ。

第1話から小出しに自分を捕まえさせるための授業をしていたとしたら、最終回の唐突感はだいぶ薄まったはずだ。

そもそも、本作を韓国映画原作で作る必要があったのだろうか。スコップ男事件を中心に据えたオリジナルドラマとしても制作可能だったのでは?
近年、唐沢寿明主演の『24 JAPAN』や織田裕二主演の『SUITS』など、海外ドラマを原作にした連続ドラマが増えている。企画側からすると、海外で既にヒットしているドラマを原作にするのは安心感があるのだろうが、正直、舞台を日本に置き換えて成功しているケースはあまり多いとは思えない。

海外ドラマの看板を借りるのではなく、自信とプライドを持ってオリジナルドラマを作ってもらいたいところだ。

続編はあるのか?

それにしても最終回は伊勢谷友介の独壇場だった。

天満暁生が自分の代わりに冤罪で死刑になってしまうことは阻止しつつ、娘や妻が罪に問われることは避けたいと、自分ひとりに疑惑の目が向けられるよう誘導する演技は圧巻で引き込まれた。……けど、ねえ。
おかげで、TVerでの配信は中止されてしまい、遅れて放送される予定だった福井放送と沖縄テレビでは最終回が観られない事態に。
知性派・中島健人と肉体派・平野紫耀というおバカ男子なバディはなかなかいい組み合わせで、続編もあり得たと思うのだが……。
救いがあるとすれば、伊勢谷友介演じる片野坂は逮捕され、警察学校の教官に復帰することは不可能なこと。片野坂が登場しなくても問題なく続編は制作できるだろう。

ということで、原作の呪縛から解放された、完全オリジナルな続編に期待!

1975年群馬生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れすぎています。
ドラマレビュー