#ミレニアルズのモヤモヤ考察

美容整形はタブーじゃない?3割が経験・興味 あり。女性の自信とルッキズムを考える

働く女性たちを徹底研究している「博報堂キャリジョ研」のメンバーが、同世代のミレニアル女性たちのモヤモヤについて、熱い思いと豊富な分析資料を交えあれこれ考える連載。第8回は、タブー視されがちな美容整形について。整形って、やっぱりだめ?そもそもどうして私たちはきれいになりたいのだろう――。

●#ミレニアルズのモヤモヤ考察08

美容整形に興味ありますか?

「美容整形」が身近な話題になってきた。電車やテレビ、インターネットで広告はよく目にするし、整形を公表している人気のYoutuberもいれば、過去に手術したことをテレビ番組で告白するタレントまでいる。「美容整形はよくないこと・隠すこと」と捉えられてきたこれまでの価値観が変わり始めている。
実際に20~30代の女性200人に調査をしてみると、メスを使うような本格的な整形の経験者は少ないものの、整形経験者・意向者・興味層を合わせると3割を超えた。

美容整形はタブーじゃなくなった?

整形に対する考えを聞くと「美容整形はよくない」や「ズルい」といった後ろ向きな答えは少なく、逆に「前向きになれることならいいことだと思う」「昔に比べて罪悪感が減った」「タブーだと思っていない」「オープンに話していいことだ」などポジティブに捉える回答が多かった。いまの20~30代は抵抗が少ないことがうかがえる。

なぜ美容整形をしたい?

整形を経験した人や興味があると答えた人に、なぜ整形したいと思うのか聞いてみた。
一番多かったのは「自分に自信を持ちたいから」。裏返すと「いま自信を持ててない」とも捉えられる。
メイクやダイエットに疲れて整形を考える人も少なくない。「整形なんてしなくてもメイクでどうにかなる」といっても、朝早く起きてカラコンを装着、アイプチして、つけまつげを付け、ノーズシャドーを入れて――きれいになるための労力たるや涙ぐましい。そんな血のにじむような努力をしても、どうにも変えることができない部分もある。こうして整形にたどりつくのだ。

なぜ日本の女性たちはここまで容姿と自信が密接なのだろうか。昨年発表された日本の国際ジェンダーギャップ指数は153カ国中121位と、非常に低かった。このことから考えられるのは、日本はまだまだ男性優位で、女性が自信を持って生きるのが難しい社会だということ。
実際に博報堂生活総研の2018年の調査によると、日本の女性は男性に比べて「自信がある」と答えた人の割合が低く、しかもその数字は年々下がっている。(出典:博報堂生活総研 生活定点2018)。

今回の調査でも、「自分に自信がある」「ルックスに自信がある」「コンプレックスがない」と答えた人はほんの数%しかいない。逆に「自分の容姿に自信を持ちたい」「女性は容姿で評価されやすい」と思っている人が3~4割近くにものぼった。

ルッキズムからの解放

「ルッキズム」という言葉がある。身体的特徴で人を差別する「外見至上主義」のことだ。日本では意識的・無意識的なものを含め、特に女性が外見で評価されることが多い。これがたくさんの女性たちを苦しめてきた。これまで女性のルックスが交友関係や就職活動に全く影響がなかったといえようか。メイクやダイエット、そして整形などの技術がここまで進化したのは、女性が背負わされたものの重さを表している。
整形はタブーではなくなってきた。手を加えることによって悩みが解決するなら、それはとても素晴らしいことだ。しかし、それは個人単位や短期的な視点では問題解決になったとしても、社会として、そして未来にむけての根本解決にはなっていない。容姿によって人を差別したり判断したりする風潮が続き「悩んだら整形したらいいじゃん」では、容姿を理由に悩むことを良しとしてしまうことになるのだ。さらに「整形したから友達が増えた」「整形して結婚できた」と思ったら「私が好かれたのは整形のおかげ?」と考えてしまう。よりルックスに固執し、手術を繰り返すようになるかもしれない。
ルックスに縛られる社会は生きづらい。いまの子どもたち、未来の子どもたちにこの社会の価値観を残してはいけないと思うのだ。

わたしたちはどうしたらいい?

最近では就職試験で顔写真を求めない企業もでてきた。またミュージシャンやインフルエンサーたちの中には「ありのままで自信をもっていい」というメッセージを発信する人もいる。
わたしたち個人でできることとして、まずは「容姿について発言しない」、そしてそういった発言を「許さない」というのはどうだろう。例えば「今日はすっぴん?」や「痩せてきれいになった」、「和風の顔立ちだよね」などといったことは言わない。
さらに人の外見について発言をする人がいたら、「それはよくない」と伝える。たとえ、よかれと思って言ったとしても、「痩せていると美しい」「目はぱっちりがいい」といった理想像の押し付けになって、言われた人は嫌な思いをするかもしれないからだ。

美しさの価値観は人それぞれ。だからメイクをしたり・しなかったり、美容整形をしたり・しなかったり、いろんな選択肢があっていい。日本の女性たち、すなわち私たちが、自分らしく心地よく生きられる世の中をつくるためには一人ひとりの言葉や態度を変えていくことが、その一歩になると信じている。

グラフ出典
●博報堂キャリジョ研 自主調査
2020年7月実施 インターネット調査(全国)、20~30代女性200名で分析
●博報堂 生活総研 生活定点 1992~2018年

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「働く女性」(キャリジョ)をテーマに、博報堂&博報堂DYメディアパートナーズの女性プランナーやプロデューサーで立ち上げた社内プロジェクト。女性のトレンドを集めたインサイト分析や有識者ヒアリング、定性・定量調査やクラスター調査などから「働く女性」を徹底的に分析し、日々のマーケティング・プランニング業務に生かしています。
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