加藤諒さん「美の物差しは人それぞれ。自分の外見が受け入れられなくても、自己を肯定してあげるのが大事」
「見た目が…」オーディションに通らず悩んだ過去
――2000年、バラエティー番組「あっぱれさんま大先生」に10歳で出演し、デビューしました。
加藤諒さん: 5歳の時から、生まれ育った静岡にあるミュージカルスタジオに通って、歌やダンスのレッスンを受けてきました。当時は役者や俳優になりたいという夢はなくて、ただ踊りたいという気持ちでした。でも、スタジオと芸能事務所のつながりがきっかけでバラエティーやドラマに出させてもらう機会があって。なんとなく「自分の居場所はここかな」と感じはじめたんです。中学2年の時、出演した映画「HINOKIO」が、ずっと通っていた映画館で上映されたことが嬉しくて、「役者をやりたい」と強く思うようになりました。
――子役時代はオーディションになかなか通らず、苦戦した時期もあったそうですね。
加藤: オーディションで落とされる時、いつも言われたのが「顔が目立ちすぎる」ということ。映画やドラマって一般的に、メインキャストはオファーで決まってて、それ以外の役をオーディションで決めることが多いんです。周りの役はメインキャストより目立っちゃいけないんだけど、僕は、この外見だから目立ってしまう。「見た目が……」と言われてしまうのは仕方ないと分かるけど、「じゃあどうすればいいの?」と悩みましたね。悔しさも、悲しさも、いっぱい味わいました。気に入ってくださる人もいたので、全部が悪いことばかりではなかったですけどね。
学校でなじめない、目立つからすぐに怒られることも
――目立つ外見に悩んだことはありましたか?
加藤: 学校で、同級生になじめないっていうのは結構ありました。若い子たちって残酷だから、“異物”の僕は排除されるんです。みんなと同じことをしても、僕だけが「目立つから」って怒られたこともありました。「加藤諒がやってた」ってすぐに広まるので、姉からも「目立つのは本当にやめて」って言われましたね。
正直、今でも自分は世間から浮いていると思ってるんですよ。今回の舞台で共演する美弥るりかさんが、新宿の人混みの中で僕を見つけたらしく、「絶対に加藤諒だ、って分かったよ」って言ってきたんです。人がたくさんいる中でも分かるって、すごくないですか?「日常でも僕は輝いてるのかな」って思いましたね……すみません、今のは調子に乗りました(笑)。
――オーディションに通らなかったり、同級生になじめなかったりして、自分のことが嫌になったことはありませんでしたか。
加藤: 自分の外見をネガティブに捉えたことは全然ないんです。むしろ、恵まれているというか、ポジティブに捉えてます。エンタメの世界で活動を続けるなら、世間から浮くってことも、すごく大事なことだから。
こんな言い方をしていいか分かりませんけど……イケメンの人って、素敵だけど、いっぱいいるじゃないですか。お年を召された方なんかは、「最近の俳優さんは、みんな同じ顔に見える」って言うんですよね。対して僕は、明らかにブスだから、すぐに覚えてもらえて、興味を持ってもらえる。だから本当にありがたいなって思ってます。
でも、この恵まれた外見に甘んじて他のことを怠ったら、自分の将来はない。外見だけじゃなくて、内面も常に磨いていかないといけないと思ってますね。
自分のことを愛してあげることが大切
――telling,読者は20~30代の女性。自分の外見に悩む人も多いです。加藤さんからアドバイスをいただけませんか。
加藤: 美の物差しって、人それぞれじゃないですか。誰かから「ブス」って言われたとしても、その人の物差しでしかないわけで。それでも「自分のことが大好き」って毎日思っていれば、好きになっていけますよ。
自分を受け入れられないのであれば、食事や生活習慣に気を付けて、磨いてみる。知り合いの男性に、もともとはガリガリに痩せてたけど、筋トレを始めた人がいて。努力することで自信がついたのか、目が輝き始めたように僕には見えました。理想の姿を持って、ちゃんと努力をしていれば、近づいていけるんじゃないかな。
とはいえ、僕も精神的に落ち込んでしまうことはある。だから家に帰ったら「今日も頑張ったね」って自分を褒めてあげるようにしてます。自己を肯定してあげる時間をつくる、そして自分を愛してあげることが、大切だと思いますね。
●加藤諒さんのプロフィール
1990年、静岡県生まれ。2000年、バラエティー番組「あっぱれさんま大先生」(フジ系)でデビュー。16年、2.5次元舞台「パタリロ!」で主人公のパタリロ・ド・マリネール8世を演じた際には、再現度の高さから「はまり役」「生きたパタリロ」などと話題になった。代表作に連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16年)や「ルパンの娘」(19年、フジ系)、「ネメシス」(21年、TBS系)などがある。
●音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」
世界を股にかけた壮大なクライム・エンターテインメント。原作は、2021年にアニメーションのアカデミー賞と呼ばれる、国際アニメーション映画協会の主催アワード「アニー賞」で、Best Direction-TV/Media部門にノミネートされたアニメ「GREAT PRETENDER」。今回の舞台は「CASE1:ロサンゼルス・コネクション」をベースに構成。7月4日から東京の東京建物 Brillia HALLで、8月4日から大阪のオリックス劇場で、それぞれ上演される。
監修:古沢良太/脚本:斎藤栄作/演出:河原雅彦/出演:宮田俊哉、美弥るりか、加藤諒、山本千尋、仙名彩世、福本伸一、平田敦子、三上市朗、大谷亮介 ほか
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