加藤諒さん、「正解」がない舞台オリジナルキャラに「試行錯誤する面白さがある」 音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」

自称”日本一”の詐欺師である主人公・枝村真人(通称:エダマメ、演:宮田俊哉)が浅草でターゲットにしたのは、なんと同業者の外国人。ふとしたことから世界を股にかけた桁違いの騙し合いに巻き込まれていく音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」が東京で7月4日から、大阪では8月4日から上演されます。エダマメへの事情聴取に沿い、過去を回想する形で物語が展開します。舞台だけに登場するオリジナルキャラの検事・北大路を演じるのは俳優の加藤諒さん。役作りで苦労したことや見どころについて聞きました。

人気アニメの舞台化。脚本は古沢良太さん

――原作は人気アニメ「GREAT PRETENDER」の「CASE1:ロサンゼルス・コネクション」。詐欺師のエダマメが財布を取ろうとした外国人観光客が実は同業者で、逆に騙されハリウッドの裏社会を牛耳るマフィアを相手にした詐欺ゲームに巻き込まれていきます。

加藤諒さん: 原作アニメの脚本を手がけた「リーガルハイ」や「コンフィデンスマンJP」(ともにフジ系)で有名な古沢良太さんが、僕、すごく好きなんです。このアニメもずっと気になってて、Netflixで配信された瞬間に一気見しました。
「(演出家の)河原雅彦さんの舞台」ということでお話をいただいてましたが、題材が「GREAT PRETENDER」ということも聞いて、「見てます!」ってテンションが上がりましたね。仕事で関われるなんて、嬉しいです。

「正解」がないオリジナルキャラ。いつもは感じない面白さも

――加藤さん演じる北大路は、舞台だけのオリジナルキャラ。北大路がエダマメから話を聞く形で物語が展開します。

加藤: アニメの世界観をどう表現するか、想像しながら台本を読みました。騙し合いを描いた“コンゲーム”だから、丁寧にやらないと、お客さんがこんがらがっちゃう。観客のみなさんを取り残さないよう引っ張るのが、北大路の役割だと思ってます。

――原作にない役柄のイメージをつくるのは難しかったですか?

加藤: 台本を読んだ時は、北大路について、ぶっ飛んでる“コメディ系”みたいな印象を持っていました。僕はこれまで、お笑い系の役を求められがちだったので「今回も面白く演じたほうがいいのかな」と思ってたんです。でも、いざ稽古に入ってみると、演出の河原さんから「面白くしなくていい」と言われて。最初のイメージから、コメディ要素をどんどん引いていって、真面目で誠実な検事になりました。

加藤: これまで出演する機会が多かった2.5次元の舞台では、役作りの「正解」が原作のアニメや漫画の中にありました。それを“どうぶち壊すか”も、楽しんでたけど……今回は原作にない役だからイメージがないわけで。自由度が高く、常に試行錯誤をしながら、自分の考えと河原さんの中の北大路像をすり合わせていく面白さがありましたね。すごく勉強になりました。

10年以上お世話になっている演出家・河原さんとの舞台

――河原さんとは以前も一緒に舞台をつくったそうですね。

加藤: 2010年の舞台「押忍!!ふんどし部!」で初めてご一緒させていただいたので、10年以上の付き合いです。当時は稽古に行くのを拒否したくなるくらい、厳しく指導されました。
河原さんは最初の立ち稽古の時から、ある程度の完成度を求められるのですが、僕は稽古を積み重ねながら役を作るタイプ。稽古中に動きやセリフを確認しながら「どうしよ、どうしよ」ってなることが多いので、今でもよく怒られます(笑)。

――「10年前から変わったね」と言われたことは?

加藤: いえ、むしろ「10年前から変わんないな」って言われました(笑)。でも「押忍!!ふんどし部!」の続編の舞台「続!!押忍!!ふんどし部!」(13年)に出させてもらった時には、「やっと役者らしくなったな」って褒められたことも。厳しい人だけど、ちゃんと見ててくれて、「よくなった」と言ってくれる。「この役者を、観客に見せられる状態で舞台に上げなきゃ」という責任感がある方です。
10年前は怒られて凹んでたけど、今は河原さんの言葉の意味がわかるようになった気がします。だから怒られても引きずらないよう、切り替えながら稽古に励んでいますね。

差別や偏見に対するシリアスなメッセージも

――最後に、舞台の見どころを改めて教えてください。

加藤: 主人公のエダマメが、ハリウッドに行ってコンゲームにどんどん巻き込まれていく。ストーリーの展開にドタバタ感やスピード感があるし、何回もある“どんでん返し”に、騙されてしまう。それでいてスカッとする部分もあるので、楽しんでもらえるはずです。
エダマメには「父親が犯罪者だから、人から信じてもらえない」という、つらい生い立ちもあります。差別や偏見に対するシリアスなメッセージも含まれているので、受け取ってもらえたら嬉しいです。

●加藤諒さんのプロフィール
1990年、静岡県生まれ。2000年、バラエティー番組「あっぱれさんま大先生」(フジ系)でデビュー。16年、2.5次元舞台「パタリロ!」で主人公のパタリロ・ド・マリネール8世を演じた際には、再現度の高さから「はまり役」「生きたパタリロ」などと話題になった。代表作に連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16年)や「ルパンの娘」(19年、フジ系)、「ネメシス」(21年、TBS系)などがある。

●音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー
世界を股にかけた壮大なクライム・エンターテインメント。原作は、2021年にアニメーションのアカデミー賞と呼ばれる、国際アニメーション映画協会の主催アワード「アニー賞」で、Best Direction-TV/Media部門にノミネートされたアニメ「GREAT PRETENDER」。今回の舞台は「CASE1:ロサンゼルス・コネクション」をベースに構成。7月4日から東京の東京建物 Brillia HALLで、8月4日から大阪のオリックス劇場で、それぞれ上演される。

監修:古沢良太/脚本:斎藤栄作/演出:河原雅彦/出演:宮田俊哉、美弥るりか、加藤諒、山本千尋、仙名彩世、福本伸一、平田敦子、三上市朗、大谷亮介 ほか

【画像】加藤諒さんの撮り下ろし写真 加藤諒さん「美の物差しは人それぞれ。自分の外見が受け入れられなくても、自己を肯定してあげるのが大事」
1989年、東京生まれ。不登校・高校中退から高卒認定を取得し大学へ。新聞の記者・編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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