犬飼貴丈さん「噓も見抜くほど、人の表情には敏感。だから自分は誠実でありたい」

愛妻家で高収入の夫と、優しくて可愛い妻。誰もが羨むような幸せな結婚生活は、偽りだった――。不倫する妻と、裏切りを知り復讐を誓う夫を描いたMBSのドラマ「サレタガワのブルー」(7月~・TBSでも放送中)。妻・田川藍子(堀未央奈)に不倫される夫・暢を演じるのは俳優の犬飼貴丈さんです。ドラマの見どころや役作りについて聞きました。
【画像】犬飼貴丈さん 犬飼貴丈さん「結婚は素晴らしいこと。でも相手はちゃんと選ばなきゃいけない」

原作の世界観を壊さないドラマ

――原作は同名漫画。藍子は職場の上司との不倫を楽しみながらも、暢の前では仕事を頑張る可愛い妻を演じます。
犬飼貴丈さん: 漫画が未完結なので、「どういう終わり方になるんだろう」と思いながら台本を読みました。ドラマは、ただの復讐劇では終わらない、ちょっとさみしさが残るような感じ。原作の世界観を壊さないラストが、すごく気に入っています。

――暢は不倫を“サレタガワ”。グラフィックデザイナーとして在宅で仕事をしながら、帰りが遅い妻のために夕食を準備するなど、家事もこなしています。
犬飼: 暢って、元カノからもらったピアスをずっとつけていたり、友達が1人しかいなかったり、「不倫されたのは、僕にも原因があるのかな」ってナヨナヨしていたり……自分のことを「おかしい」と思っていない“おかしいヤツ”だと、僕は捉えています。
漫画もドラマの脚本も、よくよく読むと「なんか変だな、この人」っていう違和感がある。それは狙って描かれているので、監督とも「自分のおかしさに気づけてない人という感じを出せたら面白いね」って話しました。

――役作りはいかがでしたか?
犬飼: 僕以外、地元の徳島の友達はほぼ全員結婚してるし、「サレタガワのブルー」のような展開になっている人も結構いる。不倫の話も聞いたことがあったので、自分なりに想像しながら役作りしました。
最近は振れ幅が大きい役ばかりやっていたので、おとなし目な役をやるのは久しぶり。その点は少し不安でしたね。

僕は人には恵まれてます

――もし犬飼さんが、暢のように妻に不倫されたら、どうしますか?
犬飼: 経験したことがないような絶望感を与えつつ、この後どうやって生きていけばいいか分からなくさせるくらい追い込みます。
……っていうのは冗談ですよ(笑)。ただ、ここまで裏切られたら、復讐したくなっちゃうかもしれないですね。けど、実際はそんなエネルギーすら残ってなくて、離婚手続きや慰謝料請求といったことだけで終わらせちゃうかもしれない。実際に不倫される立場になってみないと分からないですね。

――これまで「悪い女の人に引っかかったな」という経験はありますか?
犬飼: 全然ないんですよ。人には本当に恵まれてて、びっくりするような悪いことをする人は、男女ともに周りにいないような気がします。暢みたいに妻に不倫されて離婚しちゃった友達はいますけどね。

――悪い女の人を見極めるセンサーでもあるのでしょうか?
犬飼: どうだろう、あるのかな……。女の人に限らないことですが、「人の話を聞かない人」は、すぐに察知するし、苦手です。人間関係を築くうえで、お互いの話を聞くことは大切だと思ってるけど、それが通じない人っているじゃないですか。
あと僕、嘘を見抜きますね。昔から、人の顔色をよく見てたからかな。「何か隠してるんだろうな」とか「いま、この人ちょっと凹んだな」とか、人の表情から割と敏感に感じ取っちゃうんです。
気づかないほうが幸せな場合もあるから、その力はない方が良かったなって思うこともあります。一長一短ですね。

悪い方向にスゴイ登場人物、楽しんで

――疲れちゃうことはありませんか。
犬飼: 「いま噓つかれたな」って分かって傷つくようなことが昔はありました。特に学生の時は、色んな人と広く付き合おうとしていたから、多かったです。最近は、スッと流せるようになっちゃいましたね、慣れたのかな。
だからこそ、僕は変に噓をつかず、なるべく誠実に話すようにしてます。

――ご自身がコミュニケーションの中で気を付けていることはありますか?
犬飼: 人の話って、7割くらい聞けば、残りの3割は聞かなくても大体分かるじゃないですか。だから、相手が7割くらい終えたところで、話を始めちゃうクセが僕はあるんです。何か指示された時も、途中で「分かりました」って言ってしまって。それをすごく直したくて、気を付けようと頑張ってるところです。「人の話を聞かない人は嫌」とか言っておいて、自分が聞いてないのはダメですよね(笑)。

――最後にドラマの見どころを改めて教えてください。
犬飼: 登場人物が飛びぬけて“おかしいヤツ”ばかりなので、ハラハラドキドキできる。イライラしたり感情を揺さぶられたりしながら見られるので、そこが一番面白いところですね。特に藍子とその不倫相手は、悪い方向でスゴイので、楽しんでもらえると思います。

●犬飼貴丈さんのプロフィール
1994年、徳島県生まれ。2012年「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。14年、昼ドラ『碧の海〜LONG SUMMER〜』(フジ系)で俳優デビュー。以来、「仮面ライダービルド」(17年、テレ朝系)で主演、映画「ぐらんぶる」(20年)で竜星涼とW主演するなど、活躍の場を広げている。

「サレタガワのブルー」

7月13日放送開始。毎週火曜日深夜(MBS=水曜0:59~、TBS=水曜1:28~ほか)
原作:セモトちか「サレタガワのブルー」(集英社「マンガMee」連載中)
出演者:犬飼貴丈、堀未央奈、岩岡徹、中田圭祐、染野有来、希代彩、吉田志織、加治ひとみ/高梨臨ほか

©セモトちか/MIXER/集英社©「サレタガワのブルー」製作委員会・MBS

ST:秋山貴紀、HM:加藤ゆい(フリンジ)
衣装:シャツ(シャリーフ)¥26,400・パンツ(リメール)¥5,940/シアン PR バングル¥66,000・リング¥13,200(ともにノース ワークス)/HEMT PR その他/スタイリスト私物

【画像】犬飼貴丈さん 犬飼貴丈さん「結婚は素晴らしいこと。でも相手はちゃんと選ばなきゃいけない」
1989年、東京生まれ。2013年に入社後、記者・紙面編集者・telling,編集部を経て2022年4月から看護学生。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理、銭湯。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
Other stories