多部未華子「私の家政夫ナギサさん」3話。母の呪いを解いた「頑張らなくてもいい」という応援の仕方

働く女性たちから共感の声続々の「私の家政夫ナギサさん」。仕事はできるのに家事と恋は不器用な相原メイ(多部未華子)がひょんなことから、おじさん家政夫ナギサさんを雇うことに。ナギサさんの「1人で頑張らなくていい」に癒やされて、メイはどう変わる?

頑張らなくてもいい

ナギサさん(大森南朋)が一緒にいるところに母・美登里(草刈民代)がやってきてしまったところからスタートした第3話。メイ(多部未華子)は、正直にナギサさんが家政夫であること、家事全般が全くできないことを打ち明けた。母は再び呪いの言葉をかける。「やればできる」。メイは「私はできる女」と決意を新たにする。
お団子ヘア、エプロン姿はとても可愛いが、家事は失敗続きで睡眠時間が削られるばかりだ。
ナギサさんの言葉が印象的。メイには、「1人で全部頑張らなくてもいいと思います」。美登里には「できるところだけじゃなくて、できないところも見てあげてください」と伝えた。
「頑張らなくてもいい」「休みなさい」という応援もあるのだと示してくれるお仕事応援ドラマだ。生活様式が変化する今だからこそ、どの世代にも届くドラマとなりそうだ。

味はしないが好きな味のお粥

仕事と勉強に加えて慣れない家事を続けた結果、メイは過労とストレスで倒れてしまう。慌てふためく美登里の電話を受け、ナギサさんもかけつける。テキパキと指示を出すナギサさんを見た美登里は「私よりもあなたの方が必要」と帰ろうとする。美登里は美登里で「母親らしさ」に縛られていた。
美登里「何をしてあげていいのか分かんないです」
ナギサさん「そばにいてあげるだけでいいんです」
美登里もナギサさんの言葉をすっと受け入れた。美登里が求めていた言葉だったのかもしれない。自分の経験や考えを押し付けるのではなく、メイや美登里を受け止めるナギサさんだからこそ出てくる言葉だ。
美登里がナギサさんに教わりながら作ったお粥は味がしなかったが、メイは好きだと言った。美登里がメイをギュッと抱きしめてかけた言葉は「大丈夫、ずっとそばにいる」。第1話で語られたメイのなりたかった「お母さん」は、「家事ができるお母さん」ではない。「いつも笑顔で包み込んでくれる優しいお母さん」だった。ナギサさんの言葉で、美登里はメイのなりたかったお母さんに戻った。

清々しい朝とドタバタの予感

メイはナギサさんと本契約をすることにした。余裕ができて、むしろ楽しみができて帰り道まで楽しそう。ナギサさんのご飯が楽しみなのか、ナギサさんに会えるのが楽しみなのか。おそらく両方だ。ナギサさんもうれしそう。2人の笑顔は本当に癒し。
ハードロックバンドDeep Purpleの曲で無理やり目を覚ましていた朝も変わった。初めて見られたメイの清々しい朝だった。

仕事だけでなく、家族、恋愛、テンポよくコミカルな展開で、 1時間のうちに悩みがバランスよく詰め込まれている。母からの過度な期待からは解放されたようだが、肥後先生(宮尾俊太郎)のアプローチに、田所(瀬戸康史)との玄関鉢合わせ。恋愛に鈍感なメイにまだまだドタバタな予感。メイの父の登場に、ナギサさんの過去も少しわかりそうな第4話に楽しみが膨らむ。

 

イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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