山下智久に泣いた「THE HEAD」ラスト10分間にくぎづけ。Huluオリジナルドラマ最終回

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• 前回はこちら：山下智久「THE HEAD」5話。一番あやしい人がやっぱり犯人だった！なんてオチはイヤだ。Huluオリジナルドラマいよいよ最終回

南極基地を舞台にした連続殺人事件を描いた、山下智久出演のHuluオリジナルドラマ「THE HEAD」。
予想通りの人が真犯人と早々に分かってしまい、退屈な最終回……かと思いきや、ラストにとんでもない大どんでん返しが待っていた。（※最後にネタバレあり）

やっぱり真犯人はアーサーだった……？

まず、すべての事件の発端となった「ポラリス5」でのサラ・ジャクソン殺害事件の犯人は、生物学者のアーサーだった。
といっても計画的な殺人ではなく、性的に迫るアーサーがサラを押し倒そうとし、誤って後頭部を机の角にぶつけてしまって死なせてしまったという、マヌケな理由。偶発的な殺人が多すぎると思っていたけど、まさか大元の殺人まで偶発的なものだったとは。サラが研究の秘密を奪いに来たスパイだったとか、いろいろと深い理由があるのかと思ってたのに……。
アーサーの共同研究者である遺伝学者のアニカはその様子を目撃していたが、自分たちが進めている研究が水の泡になってしまうことを恐れ、仲間たちを説得して隠蔽に加担するように要請。
もちろん他のメンバーたちは難色を示すが、不倫や違法画像の所持、処方せん薬の横流しなどなど、各メンバーの弱みをネタに脅して協力することを了承させ、基地に火を付けて殺人を隠蔽したというのが、「ポラリス5」事件の真相。

マヌケな理由でサラを殺してしまい、あわあわしていただけのアーサーよりも、隠蔽工作のために仲間を脅しまくっているアニカの方がはるかに極悪！　アニカについて「野心が強い」と語っていたアーサーの言葉は真実だったのだ。ということで、「ポラリス6」での連続殺人もアーサーが犯人ということに。アキをサクッと殺し、雪上車でカナダ基地に助けを求めに行こうとしたアニカも、燃料ホースに穴を空けておくことで途中でエンコさせ、そのまま死亡。

マギーはアーサーを保守用の地下トンネルに閉じ込めることに成功し、なんとか生き延びることができたようだが……。それなりに納得感はあるものの、アーサーは序盤からあやしいと思われていた人物。そんな彼が真犯人という、全然面白くないオチだ。正直、退屈な50分間だった。

基地にやって来た警察の手でアーサーは逮捕され、マギーは南極から去ることになるのだが……。
ラスト10分、マギーはテレビ通話で「終わった」と妹に報告！　しかも妹はマギーのことを「オリヴィア」と呼んでいる。

すさまじいラスト10分だけど、さすがに時間が足りない！

最後の最後で真犯人はマギーだったという大どんでん返し。これには完全に騙された。マギーはサラの娘・オリヴィア・ジャクソンだったのだ。
殺人の隠蔽に加担したものの、良心の呵責にさいなまれたダミアンから真相を聞かされて（ダミアンはその後、アニカに電話をしてから投身自殺）復讐を決意したマギーは、今回の越冬隊に参加する予定だった医師のラーズを自動車で跳ねて、後釜として越冬隊に参加。
マイルズ、ニルスを殺し、雪上車に細工をしてエバを焼死させる。

エリックの誤射によって死んだヘザーと（そもそもヘザーは「ポラリス5」の事件に関与していない）、アーサーに射殺されたエリックに関しては偶発的なものだったようだが、ラモンはなんだかんだでダンベルで撲殺。アニカも、雪上車に意図的に細工することで凍死させた。

サラを殺した張本人であるアーサーに関しては、地下トンネルに閉じ込めることでジワジワ殺す。もしくは、連続殺人の犯人に仕立て上げて法で裁かせようとしたのだろう。

マギーは越冬隊に参加した理由を「母親のため」と答えていたが、「母親の復讐のため」だったのだ。
謎が深まるばかりで何にも解決していかず、あまりに爽快感がないため、途中で離脱してしまった人も多かったんじゃないかと思われる本作だが、すべてはこのラスト10分で一気に謎を解き明かすための仕掛けだったわけだ。

ただ、さすがに10分だけですべての謎をスッキリ解き明かすことは不可能。消化不良が多い結末でもあった。そもそもマイルズ、ニルスをどうやって殺害したのか、どうして首を切断するという猟奇的な方法をとったのか、よく分からないまま。他の人たちも、もうちょっと計画的に殺す予定だったはずだ。

マギーの経歴を疑った夏期基地隊長のヨハンが大学に問い合わせた際も、どうしてマギーの妹が対応していたのか？　通信機器をハッキングしたのか、わざわざ妹を大学の事務局にでも送り込んでいたのか……？

「ポラリス5」にしか参加していないサラ、ラーズ、ダミアンのキャラがまったくつかめないまま終わってしまったのも残念ポイント。ダミアンがおかしくなって、マギーにサラの死の真相を告白するまでにも、いろいろと葛藤があったと思うんだけど……。

本当はあと1話、せめて30分くらいかけて説明してもらいたかったところだが、それだと、このどんでん返しが予想できてしまったことだろう。最終回であること、残り時間が少なくなっていること。そんな条件が揃っていたからこそ「やっぱりアーサーが真犯人だったんだ、つまらないオチだなー」と、まんまと騙されてしまったのだ。
配信ドラマという強みを活かして、最終回後に追加でもう1話配信とかしてくれてもいいんだけどなぁ。

マギーの鼻血の意味は？

ドトウの展開だった最終回においても、やはり印象的だったのが山Ｐ演じるアキのピュアネスさ。この人だけは悪いところが一切なかった！（死んだヘザーもだが）
アーサーに殺されたのかと思いきや、実は生きていて。でも雪上車に細工をしているところを目撃してしまったことで、恋人であるマギーに刺殺されてしまったのだ。

ラスト、帰りのヘリコプターに乗り込んだマギーは、「T3症候群」を装ってずっとプルプルさせていた手の震えを止め、ニヤリと笑う。妻であるアニカの死を知り、ショックを受けているヨハンに対し、「愛する人に何かあったら私もどうなるか」と語っていたマギーだが、ホントに“どうにか”なって復讐してたんだな……と思うとゾッとしてくる。

そんなマギーの元に、霊なのか幻覚なのか、アキが出現。

「あの時、後悔した？」

優しくも、寂しそうに語るアキ。その後、マギーが急に鼻血を流した意味は何だったのか。
ここまで、復讐心に突き動かされてクレイジーな殺人計画を遂行してきたマギーだが、ここで人間の心を取り戻した……みたいな表現なのだろうか。

とにかく、セリフはオール外国語、他の出演者も外国人オンリーというガッツリ海外ドラマへの初出演にして、まったく違和感なく重要な役どころを演じきった山Ｐには感服。今後の海外展開にも期待したい。

Huluオリジナルドラマ「THE HEAD」
製作総指揮：Ran Tellem
脚本：Alex Pastor David Pastor
監督：Jorge Dorado
制作：THE MEDIAPRO STUDIO In Association with Hulu Japan and HBO Asia
https://www.hulu.jp/static/thehead/