山下智久「THE HEAD」5話。一番あやしい人がやっぱり犯人だった!なんてオチはイヤだ。Huluオリジナルドラマいよいよ最終回

山Pこと、山下智久が海外連続ドラマ初出演することで話題のHuluオリジナルドラマ「THE HEAD」が世界30カ国で同日公開!南極を舞台にした極限心理サバイバル・スリラーで、さまざまな国から実力派キャストが参戦しています。怪しい人物がしぼられてきた5話。そろそろ伏線も回収される?

南極基地を舞台に連続殺人事件が起こる、山下智久出演のHuluオリジナルドラマ「THE HEAD」。
前回は死者0人で抑えられていたのに、今回は一気に2人死亡(こう書くと新型コロナの報道みたいだ)。最終回に向け、生存者もだいぶ絞られてきた。

 

軍隊レベルの暗号で守っていたスマホの中身は……

今回の殺人のきっかけとなったのは、8年前に火災が起きた南極基地「ポラリス5」の跡地で発見されたサラ・ジャクソンの焼死体。火災で死んだと思われていたサラだったが、実は火災よりも前に後頭部へ打撃を受けて死んでいたと見られ、誰かに殺された可能性が高そうなのだ。
医師のマギーが「解剖し、殺人を証明するため」、現在の基地「ポラリス6」に持ち帰ったところ、死体の奪い合いがはじまる。

まず動いたのは基地調理師のラモン。

死体を調べるため医務室にいたマギーと、山下智久演じる微生物学者・アキを襲いにピッケルを持って登場(調理師なのに、そこは包丁じゃないんだ)。
アキを押さえつけたラモンを眠らせるため、マギーは“象も眠る麻酔”を使おうとするが、誤ってアキに注射してしまう。……ドジっ子!(しかもこの後、意識を失ったアキを置き去りにして逃げる)
さらに、サウナ室の中に逃げ込み、ラモンを捕らえるため罠を仕掛けたマギーだったが、ダンベルをつかんだ勢いでラモンを撲殺してしまった。いくらなんでもドジっ子が過ぎるよ、マギーッ!

そうこうしているうちに、医務室に安置していたはずのサラの死体がなくなっていた。共犯者がいるのでは……ということで、手がかりをつかむため、ラモンのスマホを調べることに。
コンピューターでも解除できない“軍隊レベルの暗号”がかけられた例のスマホだが、ラモンの本棚にパスカルの『パンセ』があったことから、アキは「パスカルを好きなら……」とパスカルの三角形に含まれる数列を入力。アッサリとパスワードを解除してしまった。コンピューター以上の頭脳かよ!

さて、そんな強力な暗号で守られたスマホ、メールの履歴はすべて削除されていたものの、大量の画像&動画が残されていた。さすがに配信ドラマでも見せられない内容のようで、画面には映し出されていなかったが、

「おぞましい」
「好きなんでしょうね、そういうものに興奮するのよ」
「これを持ってるだけで刑務所行き」

と散々な言われよう。ここまでマズイ画像って……児童ポルノとかだろうか?
ものすごく思わせぶりな伏線のひとつだった、軍隊レベルの暗号&本棚の哲学書。単に児童ポルノを隠すために軍隊レベルの暗号をかけ、パスカルの三角形でパスワードを設定していただけ、なんてオチじゃないだろうな!?

もう少し深い理由があって欲しいところだが……。

「THE HEAD」登場人物相関図

計画的な連続殺人かとおもいきや、雑なハプニング殺人ばかり

2人目の死者は冬期基地隊長のエリック。ここんところずっと錯乱中だったエリックが、

「サラの遺体はどこだ!」
「8年前にこうすべきだった」
「こいつの口車に乗ると一生後悔することになる」

なんて言いながら銃を突きつけ、生物学者のアーサーを脅していたが、スキを突いたアーサーが、ガラスの破片でエリックの頸動脈をスパッ! 錯乱しているとはいえ、元・軍人をガラス片一丁で殺害するなんて、ものすごい殺人スキルだ。
ここまで「ポラリス6」の越冬隊メンバーは6人が死亡。序盤のマイルズ、ニルス、エバあたりまでは、正体を隠しながら緻密な計画の元に行われた連続殺人という感じだったが、その後はグズグズ。

エリックが銃を誤射して死亡したヘザー。マギーにダンベルで撲殺されたラモン。そしてガラス片で刺殺されたエリック。勢いとパワープレイでの殺人ばかりになっている。
犯人が計画的に殺したのは最初の3人だけで、その後はただのハプニング殺人だったのだろうか?

ここで前回、マギーが「ポラリス5」で発見した血まみれのセーターがアーサーのものだったことが判明する。エリックの言葉といい、このセーターといい、アーサー犯人説がメチャクチャ濃厚になってきた。
ただ、アーサーは序盤からあやしさ全開だった人物。このまま素直に「アーサーがサラを殺した犯人でした~!」では、ドラマのオチとしてはイマイチだ。

 

ダミアンの電話の相手はアーサー? アニカ?

ポイントとなりそうなのが、第5話の冒頭、ダミアン・ファウルズが自殺の直前に電話で話していた言葉。

「ポラリスに贈り物を残した。君が処分した気でいたものだ。毎朝目覚めるたびにあれの存在を思い出せ。氷が溶けたらあれが発見されてみんなが知る。君やサラが我々に何をしたか。罪悪感を持たない君も恐怖心はあるはずだ、苦しめ」

電話の相手がアーサーだとしたら、“贈り物”はセーターということになるだろう。セーターが見つかったら殺人がバレるぞと。
しかし“あれ”が発見されてみんなが知ることは「サラを殺したこと」ではなく、「君やサラが我々に何をしたか」なのだ。
アーサーとサラ、そして現在も行方不明になっている遺伝学者のアニカは、例の“二酸化炭素を食べる細菌”を共同研究していた。この細菌は、環境問題を解決してくれるかも知れない夢の細菌であるとともに、人を殺す可能性もあることが言及されている。
両刃の剣ともいえるこの細菌が「ポラリス5」の越冬隊メンバーたちをトラブルに巻き込み、サラの殺人につながっていったのだろうか?

ただ、ダミアンの電話相手はアーサーではなくアニカという可能性もある。
第2話の冒頭でアニカは、ダミアンが自殺したという電話で強いショックを受けていたが、あれがダミアン本人からの電話で、自殺の実況中継をされていたとしたら、そりゃあショックもデカいだろう。
「アニカやサラが我々に何をしたか」という話になってくると、アーサーも被害者側になるわけだが……。

 

いよいよ最終回。数々の伏線は回収されるのか?

今のところ、犯人の大本命はアーサーということになるだろうが、未だに発見されていない上に「私の手は血で汚れた」なんてメモを残しているアニカもまだまだアヤシイ。
「ポラリス5」の越冬隊に参加していないマギーとアキは、さすがにサラの殺人に絡んでいなそうではあるが……?

いよいよ最終回。広げた風呂敷を気持ちよくたたんでくれるのか、それとも大ざっぱな謎解きでモヤモヤしたまま終わってしまうのか!?

 

Huluオリジナルドラマ「THE HEAD」
製作総指揮:Ran Tellem
脚本:Alex Pastor David Pastor
監督:Jorge Dorado
制作:THE MEDIAPRO STUDIO In Association with Hulu Japan and HBO Asia
https://www.hulu.jp/static/thehead/

1975年群馬生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れすぎています。
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