木村拓哉×斎藤工「BG~身辺警護人~」3話。「さすが先輩」「遅いんだよ後輩!」息のあった掛け合いはまさに「誤差なし」

新型コロナウイルスの影響で放送が延期されていた「BG~身辺警護人~」新シーリーズ。今回、主演の木村拓哉演じるボディガード島崎章が守るのは、天下の悪党、投資詐欺を繰り返す道岡(豊原功補)。息の合ったバディ、島崎と高梨(斎藤工)は悪党を守れるのか?!

「一度守るって決めたら投げ出したくないだけだよ。用心棒だからな」

木村拓哉主演の「BG~身辺警護人~」。あらゆる危険からクライアントを守るため、丸腰で立ち向かうボディガードたちの活躍を描く。
番宣CMでは「仲間なし(ダーン)、味方なし(ダーン)、敵だらけの中で(ダーン)、手段を選ばず必ず守る!」というナレーションが入っていたが、第2話では主人公の島崎章(木村)が立ち上げた島崎警備(と言いつつ実質フリー)に高梨雅也(斎藤工)がジョイン。先週放送された第3話では、バディとなった二人の活躍がたっぷり描かれた。

ボディガードの任務は、クライアントに近づいてきた危険な存在を排除するという基本的にシンプルなものであり、群像劇でもないため、二人の画面占拠率が異様に高い。木村拓哉ファン、斎藤工ファンにはたまらないドラマになっている。

 

「さすが先輩」「遅いんだよ後輩!」

第3話のテーマは「ボディガードは“悪党”を守るのか?」。クライアントの道岡(豊原功補)は投資詐欺を繰り返し、政治家に献金を行った末、不起訴で釈放された男。恨みを買う相手は星の数ほどいて、大手警備会社のKICKSも匙を投げ、彼を治療する病院も乗り気ではない。医師の笠松(市川実日子)から依頼を受けた高梨は渋い顔をする。

「金儲けのために悪党守んのか、って思われます」
「悪党? 会ってもないのにわかるんだ、すごいな」

島崎のポリシーは「弱き者の盾になる」こと。道岡は悪党だが、現在はアキレス腱を断裂して入院しており、警備会社からも見捨てられた身。悪党とはいえ、嬲り殺しにされていいわけではない。彼を守ることは、島崎のポリシーからは反していないのだろう。

ちょっとギクシャクした2人だが、菅沼(菜々緒)と言い争ってしまった高梨に与えたアドバイスで「さすが先輩」「遅いんだよ後輩!」と息のあった掛け合いを見せる。もうばっちりバディである。「誤差なし」は今や彼ら2人だけのものだ。

 

クライアントの人生に変化をもたらすボディガード

第3話の見どころの一つは、政治家が放った刺客・鈴木(田邊和也)と高梨のアクションシーン。次々と蹴りを放ってくる鈴木に対して、防戦一方の高梨。そこへ島崎が入ってくるのだが……。「ボディガードが何攻撃してんだよ!」と叫ぶやいなや、島崎が高梨を取り押さえてしまう。見たところ、高梨はほとんど攻撃していなかったが、これはつまり「ボディガードはいつ何時でも冷静さを欠くな」という島崎の教えだったのだろう。マッチョな窪田正孝といった風情の田邊和也は、Netflixの新作アクション映画「Kate」に浅野忠信らとともに出演が予定されている。

医師の笠松も襲撃されるなど、不穏な事件がたて続けに起こるが、島崎と高梨は忠実に「盾」になり続けるのみ。道岡は悪党だが「人に憎まれるのは平気だが、注射は苦手なんだ」とこぼしてみせて、人間味の部分も描かれていた。いつも道岡に罵倒されている秘書の小暮(長谷川朝晴)も彼のことを慕っている。

道岡を襲撃しようとしていたのは、理学療法士の湯川(「麒麟がくる」で信長の弟・信勝を演じた木村了)だった。彼の姉は道岡に騙されて自殺していたのだ。病院で飲み物を売っていた女性、住野(宮地雅子)も息子の自殺の原因となった道岡を恨んでいた。

「投資も人生もリスクがあって当然なんだ! 騙されて自殺する奴は負け犬ってんだ!」

と吠える道岡。まさに新自由主義の申し子。当然ながら逆上する湯川と住野だが、すみやかに島崎と高梨が排除。クライアントを守るのと同時に、彼らが罪を犯すのを未然に防いでいる。

結局、自責の念から自分を殺そうとする相手に身を晒し続けていた道岡は、機転をきかせた小暮が持ってきた不正の証拠とともに警察に出頭する。島崎は初対面で道岡の人間味の部分を見抜いていたようだ。だから「天国でも地獄でもおともいたします」と彼らしくない芝居がかったことを口にした。ボディガードは島崎にとって単なるビジネスではなく、ライフワークともいえる。全身全霊で守り抜くから、クライアントの人生に変化をもたらす。刑事ドラマの延長のようだった第1シーズンとはまた違った物語が展開しているようだ。

島崎が笠寺の手を掴んで立ち上がらせるシーンにドキッとした視聴者もいると思うが、今後2人に恋が芽生えるのかどうかも楽しみ。

ライター。「エキレビ!」などでドラマ評を執筆。名古屋出身の中日ドラゴンズファン。「文春野球ペナントレース」の中日ドラゴンズ監督を務める。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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