【グラデセダイ35 / 小原ブラス】あの時の誹謗中傷を振り返って僕に身についたもの
●グラデセダイ35
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印象に残った誹謗中傷の言葉たち
先日、誹謗中傷を受けていたタレントの女性が亡くなったというニュースにとても心が痛んだ。今、日本中で問題となっている「誹謗中傷」だが、改めてこの問題と真剣に向き合う必要があるのではないだろうか。
「顎なし」
「不細工コウモリ男」
「偉そうなクソホモ外人」
これは僕のTwitterのDMで見かけた、僕に対する誹謗中傷の言葉で、なんだか印象に残ってしまったワードだ。僕のYouTube動画での態度が気に食わないから訴訟を起こすという警告文を送ってくる方もいる。
ありがたいことに、このような言葉を僕に投げる人はとてもめずらしい。僕のフォロワーや視聴者のほとんどは応援のコメントをくれるし、僕の発言や考え方に対する批判や反対意見はあったとしても、個人への誹謗中傷をするような人は圧倒的に少数。
今回亡くなった女性のSNSにどれほどの数の誹謗があったのか、その全ては見えないが、ひとつ言えるのはそれが数の問題ではないということだ。
応援コメントだけに目を向けることは難しい
誹謗中傷を受けている人に対して「誹謗中傷をする人ではなくて、応援してくれる人を見てくれよ」というファンからのコメントを目にすることも多いが、そんなに簡単なことではない。
今でこそ僕はメディアに出たり、YouTube動画をアップすることで受ける誹謗中傷の言葉に慣れたし、それが心に刺さることはなくなったが、昔はそんなこともなかった。
僕にとって初めて不特定多数の人に向けて自分の考えや意見を発信する場となったのは、10年ほど前のニコニコ動画(ニコニコ生放送)というサイト。ご存知の方も多いと思うが、この動画サイトでは動画やライブ配信に対するコメントが、映像の上に左から右にどっと流れていくような仕組みだ。
リアルタイムに打ち込まれるコメントに反応し、視聴者と会話を楽しむこのライブ配信が、当時はとても斬新に思えて、かなりハマった。まだネット上に顔を出すのがおかしいとされていた時代だったこともあり、ロシア人で関西弁の僕はすぐに数万人の視聴者がついた。
コメントが少ないうちは「おもしロシア人w」とか「大好き!」のような楽しいコメントばかりだったが、視聴者が増えるにつれて「つまんない」「不細工」「ロシア帰れ」というコメントが目につくようになり、気がつくとそんなコメントばかりになっているように感じた。
配信が終わるたびに「今日も批判しかされてないな」「みんなに嫌われているな」と思うようになり、だんだんと配信することもなくなっていったのだ。
当時の配信の内容を記録してパソコンに保存しているのだが、配信をやめて数年後にふとその映像を見返してみようと思ったことがある。
「批判しかされていない」と思っていた映像を改めて見てみると、驚くことにその時気にしていた批判のコメントは数件しか見当たらないのだ。むしろ、殆どが応援のコメント。なんでこれで批判ばかりだと思っていたのか不思議なくらいだ。
どんなに応援のコメントが多くても、批判やネガティブなコメントは目に入りやすい。自分への危険を回避するための本能のようなものだと思う。98個応援のコメントがある中で、1個誹謗中傷コメントが目に入り、たまたまその次に目に入ったコメントがまた誹謗中傷コメントだった場合、すべてのコメントが誹謗中傷コメントだと錯覚してしまうのだ。
誹謗中傷を乗り越えるには経験と訓練が必要
数年後に当時の配信を見返して僕が思ったこと、それは「ただただ申し訳ない」ということ。ほとんどの応援コメントを無視して傷ついたことが本当に申し訳ないと感じた。その時の後悔の経験があるからこそ、今の僕は誹謗中傷コメントをみても冷静になれるようになったと思う。
恐らく誹謗中傷を受けても平気だという人はいない。「あの芸能人は鋼のメンタルだから」と言われるような人も、傷ついていない訳ではない。傷ついても、冷静になって自分を応援してくれる人に目を向けることの大切さを知っている、もしくはそれが得意なだけだと思う。
だから「誹謗中傷をする人ではなくて応援してくれる人を見てくれよ」という言葉は正しい、けどそれができるようになるのは、それなりの経験と教訓が必要なのだ。
誰もがそのような鋼のメンタルになれるわけではないのだから、やはり法整備を進めて誹謗中傷ができない環境を作ることが大切だと僕は思う。言葉は時に刃物になること意識して、慎重に大切に使って欲しい。
最後に、僕に「キモい」「ブス」「顎なし」という言葉を投げる方にメッセージを伝えたい。
悪いけど、そんな言葉では僕は一切傷つかないよ。なぜなら、僕はそもそもあなたのことが好きではないから。もしも、僕が好きな人にそんな言葉を言われたら傷つくかもしれないけど、あなたのようなどーでもいい人に、「ブス」と罵られても「あら、そうですか」としか思えない。
僕をそんなに傷つけたいなら、まずは僕を真剣に惚れさせてみろよ!
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