ランニング時のマスクやバフ、苦しくないのはどれ?熱中症リスクと対策も解説

新型コロナウイルスの感染を予防したり、他人にうつしたりしないために、マスクを着用してランニングする人が増えています。ただ、マスクをして走ると、呼吸がしづらくて苦しいですよね。今回は走り始めて9年目、毎月100~200キロ走っている筆者が、マスクやバフのなかからおすすめをご紹介。専門家に聞いた熱中症のリスクと注意点もお伝えします。

コロナ禍、ランナーの新常識となりつつあるマスク

コロナ自粛での運動不足を解消しようと、家の近くでランニングを始めた人も少なくないでしょう。走っている最中は呼吸が荒くなることで、エアロゾルをまき散らす可能性があるとの指摘から、マスクを着用するランナーも多くなりました。ノーベル賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授も、走る際にマスクやバフを着けることを呼びかけてましたよね。
実際、街中でマスクもせずに息切れしたランナーとすれ違うと、私もちょっと不安な気持ちになります。

4月に話題になったのは、ベルギーとオランダの大学が出したシミュレーションでした。それによると、走っている人の口から出た唾液の粒子は気流に乗って2メートル後ろにまで影響。唾液の粒子を避けるためには、時速4キロのウォーキングで4~5メートル、ランニングで10メートル離れる必要があるというのです。
このシミュレーションは研究段階で、気流に乗った粒子レベルでウイルス感染に至るかはわかっていません。それでも自身が感染していたら、ランニングしている周囲の人を感染させる可能性はあります。スポーツ庁も4月、運動する際のマスクの着用を呼びかけました。

ランニング時に苦しくないおすすめマスクは?

マスクの素材や形にも色々ありますが、どのようなものがランニングに適しているのでしょうか。
ここではマスクの種類別に実際の使用感を紹介しつつ、私のおすすめもお伝えします。

立体じゃない布マスク

まず試したのが、量販店で購入した布マスク。政府配布のものと同様に、立体構造ではない綿製のものです。
汗をかいても何度でも洗って使うことができるため、ランニング時に使用してみました。
実際の使用感としては、正直言ってめちゃくちゃ苦しい
立体構造ではないため、走りながら息を吸うと、口にマスクが張り付きます。布製で厚みがあるため、感覚的には吸い込む空気が半分くらいに減ったように感じました。
マスクで覆われた部分は汗をかくので、5キロも走れば汗でびちゃびちゃに。マスクが濡れると不快感があることはもちろん、吸っても吸っても酸素が取り込めない感覚が増し、どんどん息苦しくなります。
色々なマスクを試したなかで、一番ランニングに適していないものだと感じました。

使い捨ての不織布マスク

最近やっと手軽に購入できるようになってきた使い捨ての不織布マスク。一番馴染みがありますよね。
多くの不織布マスクは、プリーツのような折り目がついていて、着用すると立体になります。この折り目と不織布の硬さによって、走りながら呼吸をしてもダイレクトに口に張り付くことはありませんでした。大きく息を吸い込まない限りは、風でよれた折り目部分が少し口元に触れる程度。布マスクに比べるとだいぶ苦しくないです。
ただ、マスク内部に空間ができるため、かなり蒸れます。口や鼻まわりに大量に汗をかきやすく、蒸れて暖まった空気を吸い込むので苦しさを感じました。

立体のポリエステルマスク

最後に、洗って繰り返し使えるポリエステル製の立体マスク。外を走っていると、このマスクをつけて走っている人をよく見かけます。
ランニング時の使用感は不織布マスクと似ていて、立体構造になっているので、顔に張り付きません。
不織布マスクの3層構造に対して、こちらは1枚で出来ているので、風通しも良く息を吸う際の苦しさはあまり感じませんでした。マスク内部の蒸れについても、不織布マスクに比べて少なく、全体的に不快感は少なめでした。

3種類のマスクを試した中で一番良かったのは、立体のポリエステルマスクでした。

冷感素材のバフ(ネックゲイター)

山中教授がYouTubeで発信したことで話題となった「Buff®(バフ)」。バフというのはスペインのブランド名だそうですが、一般にはネックゲイターやフェイスマスク、ヘッドウェアなどを指します。筒状の布で、スポーツする際に首や頭に巻いて使うものです。トレイルやスノーボードなどで馴染みがあるようですが、ランナーの私は初めて聞きました。
このバフは、山中教授の動画によるとマスク代わりに使えるうえ、「マスクに比べて苦しくない」とのこと。マスクでさんざん苦しい思いをしたので、半信半疑のままネット通販で購入してみました。
選んだのは、夏用の冷感素材のもの。走っているときにずり下がると嫌なので、耳の部分に穴が空いているタイプにしました。

目の下から首まで覆うので、付けて走るとコロナ禍じゃなければ完全に不審者です。伸縮性がある素材が顔や口元にぴったり張り付きます。ランニング前は本当に苦しくないのか心配だったのですが、実際はどのマスクよりも快適でした。
素材が薄手なので、走りながら呼吸をしたときの苦しさは他のマスクに比べて少ないです。
冷感素材がひんやりして気持ちよく、走って汗をかいてもさらさら。さすがスポーツ用品、不快感はほとんどありませんでした。私はバフを着用して10キロ走りましたが、バフ内部で汗が蒸れるということもありませんでした。個人的には一番お勧めです。

マスク着用しての運動、熱中症リスク上がる可能性

ここまでマスクとバフについて、使用感を紹介してきました。私のお勧めはバフですが、実際はマスクをして走る人の方が多いでしょう。
マスクをしたまま運動することについては、専門家から熱中症のリスクを高める可能性があるとの指摘があります。
熱中症に詳しい帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅康史さんは、「マスクをすることによって、呼吸を妨げる“ついたて”が立てられたような状態になります。頑張って息を吸い込まなくてはいけなくなり、呼吸筋の運動量が増えて熱を生み出してしまう」と話します。
さらに、「マスクは顔の熱で温められるうえ、吐き出した息によって加湿・加温された状態になることも問題です。通常、呼吸には冷たい外気を吸い込むことで、肺を冷やす効果があります。温められたマスクを通じての呼吸では冷却効果が減り、熱中症になるリスクが上がる」とも。
たしかに私もマスクをしながら走ったときに、サウナで息を吸うような苦しさを感じました。
三宅さんは「周囲に人がいないことが確認できる状況なら、一時的にマスクを外した方がいい。そして熱中症を予防するために、こまめな休憩と水分補給をしてほしい。普段とは違う状況下でのランニングだからこそ、いつも以上に身体をケアする必要がある」と話します。

具体的にできる対策は?

では、安全にランニングを続けるために、具体的にどうすればよいのでしょう。
三宅さんのアドバイスを踏まえて、ここからは、私がマスク着用しながら走る際に実践している工夫をお伝えします。(どれも当たり前のことかもしれませんが、こんなときこそ当たり前を忘れずに!)

人通りが少ない時間帯・コースを選ぶ

人通りが少ない時間帯(早朝や夜)、コースを走ることで、マスクを外して走る時間を増やすことがおすすめです。周囲に人がいないことをきちんと確認できるときには、一時的にマスクを外し十分な空気を取り込みましょう。
昼間の炎天下で走らないことで、熱中症リスクを下げられますし、人通りが少ない道を選ぶことで、コロナの感染リスクも減らすことができます。

無理のないペースとこまめな休憩

これまで走ってきた人は、「いつも通りのペースを維持したい」「少しでもタイムを上げたい」という気持ちがあるかもしれません。しかし、マスクによって熱中症リスクが上がっているなか、これまで通りのパフォーマンスは難しい状況です。無理して倒れてしまわないように、ペースを落として走ることをおすすめします。「きつい」「苦しい」と感じたら、立ち止まったり、歩いたりして休憩を挟みましょう。

マスクを着用して走るのがきつかったら、「今は本格的なランニング再開のためのトレーニング期間」と割り切り、長距離ウォーキングに切り替えても良いと思います。ウォーキングはランニングのトレーニングに最適です。10キロくらいの長距離ウォーキングを続ければ、ランニングを再開した時にタイムや距離が伸びます。

水分を持ち歩く

走るときは身軽な方がいいと感じ、ほとんど手ぶらで走る人も多いかもしれません。マスク着用時のランニングでは熱中症リスクが上がるので、いつも以上にケアが必要。ランニングリュックやポーチなどに、小さなペットボトルを携帯しておくことをおすすめします。

交通系ICカードや現金を持ち歩く

これはいざという時のためにですが、SuicaやPASUMOといった交通系ICカードや少量の現金、キャッシュレス支払いが使えるスマホなどを持っておきましょう。自宅から離れた場所で体調が悪くなってしまった時に、電車やタクシーで帰ることができて安心です。

外出自粛でも健康を維持するために

ここまでランニングとマスクについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろん私も可能であれば、マスクをせずに走りたい。でも今はみんなでコロナのさらなる感染を防ぐための心がけたいところです。緊急事態宣言が39県で解除されましたが、これまで通りの生活は返ってきそうにありません。健康を維持するためにランニングをする場合は、周囲の人に十分な配慮を払いたいものです。

1989年、東京生まれ。不登校・高校中退から高卒認定を取得し大学へ。新聞の記者・編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理。
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