ハロプロが私たちを救う!

Juice=Juiceリーダー・金澤朋子さん「今は直接会えなくても、画面越しに私たちの“エネルギー”を届けたい」(後編)

モーニング娘。'20をはじめとする女性アイドルグループが所属する「ハロー!プロジェクト」(通称:ハロプロ)。パーフェクトなパフォーマンスに、切磋琢磨するメンバーを思わず応援してしまう女性ファンも多いといいます。後半では、現在ハロプロ最年長メンバーで「Juice=Juice」のリーダー金澤朋子さんに、ライブのこと、ファンのこと、ご自身のことを聞きました。

●ハロプロが私たちを救う!#01-2

初めての「無観客ライブ」で届けたJuice=Juiceのエネルギー

──2020年3月22~24日に開催される予定だったコンサート「Hello! Project ひなフェス2020」は、新型コロナウイルスの影響もあり生中継の無観客公演になりました。毎年楽しみにしているファンも多い、ハロプロメンバー全員参加のライブ。しかも、アンジュルムの室田瑞希さんの卒業や、解散を控えたこぶしファクトリー最後の「ひなフェス」でもありました。金澤さんはじめ、メンバーのみなさんも戸惑いがあったのではないでしょうか。

金澤朋子さん(以下、金澤): 無観客ライブは、私たちにも想像ができないものでした。私自身、いままで「ライブは目の前のファンのみなさんと一緒につくり上げるもの」という認識が強かったので、不安が大きくて。でも、Juice=Juiceのメンバーと話し合うなかで、「やっぱり、画面越しであっても私たちのエネルギーを届けなければいけないよね」と意識を確認し合い、どうすればエネルギーを伝えることができるかを考えるようになりました。

──具体的には、どんなことを意識して臨んだのでしょうか。

金澤: まずは、「ファンのみなさんが画面の向こうにいる」と考えたときに、カメラ目線になるポイントを外さないように心がけました。通常の公演で「オイ! オイ!」などお客さんへの煽りがある曲や、いつも一緒に歌ってくれる部分がある曲では、マイクをカメラに向けるのを忘れないようにしました。画面の前で、いつも通りにみなさんが声を出してくれていたらうれしいなと思って。Juice=Juiceの曲でいうと、「Goal~明日はあっちだよ~」(アップフロントワークス)かな。

──実際に公演を終えて、無観客公演はどうでしたか。

金澤: たくさんの準備をして臨んだ公演ではあるのですが、課題や反省もありました。どうしても私たちからはファンのみなさんの姿を見ることができないので、目に見えない対象へのエネルギーの届け方は、これまで以上に研究しなければいけません。それと、ファンのみなさんの姿が見えていたからこそ、私たちもモチベーションが上がっていたんだなと気づいて。途中でそのモチベーションやテンションが下がってしまわないように、よりストイックな気持ちのコントロールが必要だと感じました。

──ファンに届けるものを「エネルギー」と定義しているのが、Juice=Juiceらしさのように感じました。

金澤: めずらしいのかな? Juice=Juiceは、ライブを特に大切にしているグループなんです。過去に1年半で225公演のライブをおこなう「LIVE MISSION 220」を達成したこともありましたし、全国各地47都道府県すべての場所でライブをおこないました。メキシコなどでの海外ツアーもあって、言葉が通じない場所でどうエネルギーを伝えるかを学ぶ機会になりました。だから、言葉だけでは表し切れない「エネルギー」とか「パワー」という単語を選んでグループ内でも使うようになったのかもしれません。

女性として尊敬する先輩と同期の卒業

──今回は、金澤さんとはハロプロ研修生で同期の和田桜子さん(こぶしファクトリー)にとって、最後の「ひなフェス」でしたね。

金澤: そうですね。和田桜子ちゃんとは普段からよく連絡を取り合う感じではないのですが、こぶしファクトリーの解散が決まったときに、めずらしく私から連絡をしました。ハロプロ研修生の同期って、普段から連絡を取り合うわけじゃないけど、いつまで経っても「お互いに気になる存在」なんです。コンサートのパフォーマンスやそれぞれの活動も、意識していないつもりでも気になってしまう。そんな同期がいなくなってしまうのは、さみしい気持ちです。

──研修生時代の繋がりもあって、金澤さんにとっても大切なグループだったんですね。

金澤: こぶしファクトリーは、それぞれ役割がしっかりと確立されている印象でした。ボイスパーカッションやラップができる子がいたり、立ち位置やトークの役割も決まっていることが多くて。そういう特技や個人のカラーが明確なところは、Juice=Juiceも見ならって取り入れていきたいと思っています。

──今年の「ひなフェス」は、室田瑞希さんの卒業公演でもありましたね。

金澤: 正直に言うと、室田さんがいなくなるのはハロプロとして大きな損失だなと思っています。室田さんは、元々Juice=Juiceともすごく仲良くしてくれていて、楽屋に呼んでくれたり来てくれたりと、私たちと交流の多いメンバーでした。取材やテレビ出演のときに、積極的に発言して周りにも気を配ってくれるのが室田さん。人と人をつなぐ架け橋のような存在です。歌やダンスのレベルが高いというだけでなく、そういう人柄の室田さんの卒業は、本当にさみしいです。

──ほかのグループにとっても大きな存在だったんですね。

金澤: はい。とはいえ、ライブを見た方ならわかると思いますが、卒業の日も「本当に今日卒業するの!?」と思うくらいあっけらかんとしていましたよね(笑)。私たちメンバーやファンのみなさんに気を遣ってのことだと思います。そういう気遣いを気遣いだと感じさせない室田さんの振る舞い方は、女性としてすごく尊敬しているところです。

「女性は30代から輝く!」やってみたいことはスペイン一人旅

──telling,の読者層は、金澤さんより少し上の20代後半~30代前半の女性です。仕事に家庭にと忙しく、結婚や出産、転職などライフイベントが多い世代。そんな世代におすすめのハロプロの曲を教えてもらえませんか。

金澤: Juice=Juiceとしては、まずは新曲の「好きって言ってよ」(hachama)。『「ひとりで生きられそう」ってそれってねえ、褒めているの?』。それから、「微炭酸」(hachama)です。
この3曲は、山崎あおいさんの作詞・作曲ですが、山崎さんの書かれる歌詞がめちゃくちゃ女性に刺さるんですよ。ちょっとアンニュイな気持ちや、言いたくても言えないもどかしさを丁寧に表現してくれていて。そんな繊細さが、ドンピシャなんじゃないかなって思います。私も共感していますし、男性たちには「この曲を聴いて女性の心を勉強してほしい!」という気持ちすらあります(笑)。

──金澤さんは読書家でもありますが、最近はどんな本を読んでいますか。

金澤: 事務所の先輩におすすめされた本や、映画などで映像化される作品の本を読むことが多いです。最近読んだのは「嘘を愛する女」(徳間文庫)です。翻訳された海外の本も好きで、よく読みますよ。だから、『ダ・ヴィンチ』でハロプロが特集されたときに、なんで私が呼ばれなかったの? 一番本を読んでいるのに! と思いました(笑)。

──最近は、新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が増えています。読書以外にしていることはありますか。

金澤: はい、ライブが中止になってしまったり、思うように活動ができないので、こっそり資格を取りました。

──えっ! すごい! 何の資格でしょうか。

金澤: 掃除や整理整頓が大好きなので、「クリンネスト(ハウスキーピング協会)」というお掃除の資格を取ったんです。いまは何の役にも立っていないのですが(笑)。何かに役立てようというよりは、ただこの機会に勉強をしたいなと思ったんです。

──金澤さんご自身は、これからどんな女性になりたいと思っていますか。

金澤: 私の憧れの先輩に、同じ事務所の中島卓偉さんというアーティストがいらっしゃいます。卓偉さんが「女性は30代からだよ」とおっしゃっていて。特に何の根拠もないんですが、「女性は30代から輝くんだ!」っていう夢みたいなものがあるんです。だから私は、はやく素敵な30代になりたいな、なんて気持ちもあります。
中学生の後輩も増えてきて、実は、自分の年齢を言うのが恥ずかしいと思う時期もあったんです。でも、よく考えたら27歳の私って全然恥ずかしくなんかない。14歳や15歳のメンバーと一緒に活動するからこそ、若さを保とうとするのではなく、年相応の魅力を出していけるような人でありたいなと思うようになりました。だから、読書や旅行などを通して人生経験をたくさん積みたいです。

憧れは、一人旅ができる女性。世界遺産が好きなので、ド定番ですがスペインのサグラダ・ファミリアは生で見てみたいです。技術が進んで、私が生きているうちに完成するかもしれないらしいので、完成してから見に行くか、完成前を見ておくか悩みどころですね。Juice=Juiceの楽曲に「Fiesta!Fiesta!」(hachama)というスペイン語の入った曲があるので、その曲を持ってスペインでライブをしたいという希望もあります。そのついでに観光ができたら最高だな(笑)。

――「アイドル・金澤朋子」としてはどんなことをしたいですか。

金澤: 最近は、お仕事もライブもソロで活動させていただく機会が増えてきました。ソロで歌う曲とJuice=Juiceで歌う曲って曲調もまったく変わってくるので、ファンの方には私の違った一面もお見せしていきたいです。

──それは、ファンのみなさんもとても楽しみだと思います。

金澤: 私が30歳までJuice=Juiceで活動しているかどうかは、自分でもまだわからないんですけど(笑)。でも、これからは今まで以上に私のいろいろな姿を見せていけるようにしたいと思っています。その年齢、その年齢のそれぞれの良さを感じていただけるような女性になっていきたいです。

●金澤朋子(かなざわ・ともこ)さんのプロフィール
1995年7月2日生まれ、埼玉県出身。ハロー!プロジェクトの実力派グループ「Juice=Juice」の初期メンバーで、現在リーダーを務める。2018年、三芳町広報大使に就任。2020年4月1日、最新シングル「ポップミュージック/好きって言ってよ」(hachama)を発売。

新型コロナウイルス感染が広がる中、最前線で不可欠な仕事に就く多くの方々に感謝の気持ちを伝えるため、不安な気持ちで日々を過ごしながらも頑張っているみなさんへの応援を込めて、アップフロントグループ所属タレント121名が自宅などからリモート参加した合唱動画を公開中

ライター・編集者。エキレビ!などでドラマ・写真集レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。性とおじさんと手ごねパンに興味があります。宮城県生まれ。
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