カメラに強い視線を送るタレントの「しょこたん」こと中川翔子さん

中川翔子さん「運転免許も、料理も、油絵も、何を始めるにも遅いなんてない。今年はガチで婚活します!」(後編)

5年ぶりのアルバムとなる「RGB ~True Color 〜」の発売のほか、著書『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)の出版したほか、聖火ランナーへの選出やファミリーコンサートの開催など、積極的に新しい取り組みにチャレンジしている中川翔子さん。今回は、そんな中川さんのプライベートのお話。忙しい中でも、日々をていねいに楽しむ工夫がぎっしり詰まっていました。

「もう遅い」を振り払って取得した運転免許で、北海道から沖縄まで

――2019年は多方面で大活躍の一年でしたが、プライベートの時間は確保できていたのでしょうか?

中川翔子さん(以下、中川): 確かにお仕事はすごく忙しかったんですけど、いつにも増してプライベートが充実していたと思います。久しぶりにお仕事以外で水着も着ましたし、「友達と遊ぶのってこんなに楽しいんだ!」と思えた気づきの年でしたね。

今更なんですけど、自動車の運転免許も取りました。教習所に通うのが正直死ぬほど嫌だったのに、取ってからは本当に楽しくて。江の島とか三浦半島に言って食べたマグロ丼は命の重さが乗っかって、電車で行って食べたときの800倍はおいしかった(笑)。

――「免許を取りたい」という願望は、昔からあったんですか?

中川: 全然! ドラマでご一緒した佐々木希ちゃんと夏菜ちゃんが愛車遍歴を話していて「カッコいいな~」と思っていたら「しょこたんも取ればいいじゃん」って言ってくれて。

最初は「え、いや、私なんて!」っていう感じだったんですけど、彼女たちが背中を押してくれて教習所に通うことにしたんです。「忙しい」からとか「もう遅い」とか勝手に諦めてしまっていたのを取っ払ってくれた女神たちに感謝ですね。

北海道から沖縄までいろいろなところで運転をして、北海道では「逃げ水」も初めて見ました。(松田)聖子ちゃんの『真っ赤なロードスター』という歌に「High・Way 夏の逃げ水」という歌詞があって、何のことだかわからなかったんですけど、本当に蜃気楼みたいに見えるんです。松本隆さんの歌詞を再現できる喜びが久しぶりに訪れて、うれしかったな。

telling,の取材に答えるタレントの中川翔子さん

「油絵を始めて世界の見え方が変わった」

――ほかにも、最近始めた趣味はありますか?

中川: 最近再開したものでいうと、油絵ですね。「忙しいから無理かな」って思っていたら、前回の個展から10年くらい経っちゃったので、昨年末から少しずつ描き始めました。今はデジタルで絵を描くのが便利ですけど、油絵って自分が死んでもずっと残るじゃないですか。一生かけて取り組める趣味が見つかってすごく楽しいです。

――油絵は始めるハードルがすごく高そうです。描き方などは、どこで学ばれたんですか?

中川: 自己流ですね。今ってYoutubeで油絵の技法を見られるんですよ。だから、画材を揃えてその気になれば誰でも始められると思います。

油絵を始めてからは、世界の見え方が変わったのがおもしろくて。祖母がシャンソン歌手で画家のしますえよしおさんが大好きで、ショーを聴きに行ったり、しますえさんの描かれる絵を買い集めたりしていて、小さい頃からそれらに触れて育っていたのも大きいですね。自分で絵を描き始めてからは、家にあるしますえさんの絵を「どうやって描いているんだろう? 素晴らしいなぁ、尊いなぁ」と考えながら眺めています。

だから、今は絵を描く以外にも画集集めに夢中で。技法の動画を観るのも楽しいですし、世界が広がっていく感じがしています。

笑顔でインタビューに答える中川翔子さん

おうちで食べる「ご褒美ごはん」と、全力で褒めるグルメ会

――免許にしても、油絵にしても、思い切って始めてみると世界がグンと広がって楽しくなりそうですね。

中川: もっと身近で楽しくできることもありますよ。たとえば、ごはんとか。一人で食べるごはんも、YouTubeのぶっ飛んだ企画を見ながら食べるだけ3倍おいしくなります。

あとは、自分のご褒美ごはんを作るのも大好きで、冷凍のトリュフとかフォアグラをネットで買って思い切って料理したり。普段はたまごかけごはんのアレンジを楽しんでいるんですけど、たまにゴージャスなことをすると罪深さ相まって幸せな気持ちになります。

――冷凍のトリュフやフォアグラをネットで買うという発想が新鮮でした! 自炊は昔からされていたんですか?

中川: 料理に目覚めるのが遅くて、30代になってからですね。それまでは体調を崩しても気合で乗り越えてきたんですけど、舞台をやるようになってからは「人様に迷惑はかけられん」と思って、自炊するようになったらハマっちゃって。それまでは料理がめちゃくちゃ下手だったんですけど(笑)。

最近はTwitterで見つけたレシピで作ってみたり、トリュフオイルにハマっていろいろな組み合わせを試して「あ、合う!」という発見が楽しかったり。寿命も食事回数も有限だから、できる限りおいしいものを食べたいなと思ったら、自分でつくる料理も楽しくて。

――それだけ自炊が充実していると、外食はあまりされませんか?

中川: 回数は減ったかもしれませんが、外食もしますよ。予約を取りにくい店などに行くときは「全力で褒めるようにしよう」と決めているグルメ会があって。アニソン界の田中公平先生がおいしいカニのお店に連れて行ってくださったときは、料理が来るまでの時間以外は、仕事の話も雑談も一切なしで、”素晴らしいカニという芸術”を褒めるに徹しました。

大人は、ちょっと奮発すればびっくりするくらいおいしいものを食べることもできるじゃないですか。そして、せっかくおいしいものを食べるときは、何も考えずに食べるよりも、めちゃくちゃ褒めながら食べたいですよね。

ゲームでも、本でも、映画でも、料理でも、心が動いたものはなるべく褒めたいなって。中学生のときに、教室で絵を描いているだけで「キモい」と言われていたときを思うと、好きなものを好きって言っていい世界に生きられていることが、なんて素晴らしいんだと思います。

カメラに目線を向けてたたずむ中川翔子さん

いつかの子孫のために、ガチ婚活モードへ

――仕事もプライベートもかなり充実されていますが、今後やっていきたいことはありますか?

中川: 昨年から家に人を招いて料理をし始めて、すごく楽しかったんですけど、友達が全員結婚してしまったので、2020年は婚活を頑張りたいですね。いつかは子孫が欲しいですし、ガチ婚活モードです。

――中川さんの婚活、何か作戦はありますか?

中川: 外で人とご飯を食べることを心がけたり、家に早く帰りすぎないようにしたりですかね。家が大好きなので、本当はすぐに帰りたいんですけど、どうしたらいいかわからないです。

しかも、私は「しょこたんか~」みたいな変なイメージがあるらしくて、何とも思っていない初対面の人に最初から引かれてるみたいなことがあるんですよ。「セミの抜け殻めっちゃ付けてましたよね」とか。「別に毎日やってるわけじゃないだろ!」って思うんですけど(笑)。

私は今までやってきたことを遠い良き夏の思い出のひとつだと思っているので、そういうことに引かない人がいいですね。ややこしいとかこじらせてるとかオタクのイメージが強いのかもしれないですけど、実際はそうでもないし。「意外と普通だよキャンペーン」はしていきたいなと。お互いに尊敬できて「楽しいね」って言い合える人にいつか出会えたらいいな。そんな人、どこにいるんでしょうか(笑)。

●中川翔子さんのプロフィール
1985年生まれ、東京都出身。歌手・タレント・声優・女優・イラストレーターなど、活動は多岐に渡り、多数のバラエティ番組にも出演中。
昨年の夏に映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の主題歌「風といっしょに」を担当し、さらにアニメ『ポケットモンスターサン&ムーン』エンディングテーマ「タイプ:ワイルド」も担当。2019年12月には5年ぶりとなるフルアルバム「RGB 〜True Color〜」を発売している。
文化人としての活動も行っており、2019年夏には、自身の経験を元に書籍『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』を出版。以降は多数の講演会等に登壇し、多様化するいじめ問題に取り組んでいる。
この他に、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた「マスコット審査会」委員を務め、聖火ランナーを務めることも決まっている。2025年開催の万博に向けた「万博誘致スペシャルサポーター」としても活動している。

https://www.shokotan.jp/

文筆家・ライター。「家族と性愛」をメインテーマにしたエッセイや取材記事の執筆が生業。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

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