ハロプロが私たちを救う!

Juice=Juiceリーダー・金澤朋子さん「アイドルだから未熟でいいとか、かわいいだけでなんとかなるとは思っていません」(前編)

モーニング娘。'20をはじめとする女性アイドルグループが所属する「ハロー!プロジェクト」(通称:ハロプロ)の女性人気が高まっています。近年のハロプロ女性ファンの勢いは、テレビや雑誌でも特集が組まれるほどアツい! ハロプロの女性を惹きつける力は、どこから来ているのでしょうか。今回は、現在ハロプロ最年長メンバーで「Juice=Juice」のリーダーを務める金澤朋子さんに、ハロプロやJuice=Juiceの魅力について聞きました。

●ハロプロが私たちを救う!#01-1

Juice=Juice・金澤朋子が考える「女性をひきつけるハロプロの魅力」

──この数年で、ハロプロの「女性ファン」が注目される機会が増えていますよね。最近だと、雑誌『ダ・ヴィンチ』2020年2月号の特集が「ハロプロが女の人生を救うのだ!」でした。金澤さんは、「女性ファンが増えたな」と実感した瞬間はありましたか。

金澤朋子さん(以下、金澤): 私が所属しているグループ、Juice=Juice(ジュースジュース)としては、2019年6月に『「ひとりで生きられそう」ってそれってねえ、褒めているの?』(hachama)という楽曲を発売したときです。この曲に共感する女性の声がすごく多い! という実感がありました。「女性に刺さる歌詞だ」とか「この曲でJuice=Juiceを知りました」という女性の声もよく聞きました。リリースイベントを追加で行ったとき、最初にイベントを始めたときよりも女性のお客さんがかなり増えていたんですよ。

──Juice=Juiceは、ハロプロの中でも比較的早い時期に女性向けのイベント(2014年「J=J School for Girls」など)を開催したり、女性ファンとの交流の機会を設けていました。

金澤: Juice=Juiceは、結成当初から少し大人っぽい女性目線の歌詞の楽曲をいただくことが多かったんですね。そういう意味では、女性から共感してもらえる機会が多く、恵まれたグループだといえるかもしれません。中学生のメンバーもいる頃に、「私が言う前に抱きしめなきゃね」(アップフロントワークス)という曲をリリースして。歌詞の意味も完璧には理解し切れずに歌っていた子もいたと思います。でも時が経って、いまは同じ曲でも歌詞への理解の深さや表現の仕方が変わってきました。そういう変化もおもしろく見守ってもらえていたらいいな。

私たちは結成当時から作り衣装ではなく、集め衣装といってお店に売られている服を衣装として用意していただいていたんです。フリフリのアイドル衣装ではなく、私服っぽい衣装をあえて選んでもらっていた。同世代の女の子がマネしやすいファッションやメイクだったことも、Juice=Juiceが女性にとってなじみやすいグループになれたひとつの要因だったかもしれませんね。

──金澤さんは、Berryz工房×℃-uteの「超HAPPY SONG」を歌うコンテスト「DAM★とも カラオケコンテスト」(2012年)がきっかけでハロプロ研修生に加入しました。金澤さんご自身も、Berryz工房や℃-uteが好きな「女性ファン」の一人だったのでは。

金澤: 私は小学生の頃から本当にハロプロが好きで、特にBerryz工房さん、℃-uteさんが大好きでした。同世代なのに堂々と歌ったり踊ったり、たくさんの方に元気を届けていることに感動して。同じ世代、同じ女性だからこそ尊敬できたし、「私も頑張らなきゃ」と感じました。

──「女性をひきつけるハロプロの魅力」って、どんなところでしょうか。

金澤: ハロプロのメンバーは、自分にとても厳しくストイックな人が多いです。アイドルだから未熟なままでいいとか、かわいいだけでなんとかなると思っている人はいません。妥協せず「もっともっと」という泥くさい貪欲さがあります。それが、パフォーマンスだけでなく取材やトークでも伝わってきて、「同じ中高生なのに、こんな素敵な発言をする人がいるんだ!」「こんなに頑張っている同世代の女の子がいるんだ!」と感じられると思います。いま、ハロプロのメンバーという立場になって、あのとき私が感じたような高揚感や感動を女性たちにお届けしたいなという気持ちを、常に持っています。

常に生まれ変わり進化するグループを目指すJuice=Juice

──Juice=Juiceは目まぐるしく変化を続けているグループです。2019年6月にJuice=Juice初代リーダーの宮崎由加さんが卒業して、新メンバーの工藤由愛さん、松永里愛さんの加入もあり、今年は初期メンバーの宮本佳林さんの卒業も控えていて……。そんなグループでリーダーを務める金澤さんが、心がけていることは何ですか。
(※編集部注:宮本佳林さんの卒業公演は新型コロナウイルス感染症拡大予防のため公演日程が未定となりました)

金澤: これまでのJuice=Juiceは、初代リーダーの由加ちゃんが引っ張ってくれていて、私はそれについていくのが当たり前。なので、まさか私がリーダーになるとは思っていませんでした。リーダーになってみて、由加ちゃんはすごい人だった! と気づかされました。

──「すごい人」とは?

金澤: 由加ちゃんのすごいところのひとつは「私はいつの時代のJuice=Juiceも大好きです」と言い続けていたことです。当たり前のことのように感じられますが、その発言を心からできることを尊敬しています。卒業、加入を繰り返す中で、メンバーとして私も変化のスピードについていけないと感じてしまう時期がありました。すべてを自分たちで決められるわけではないので、動揺することもあります。そんな中、由加ちゃんは「どの時代のJuice=Juiceもよくしていきたい」という意志の強い人でした。その意志が、Juice=Juiceの軸だったといえるかもしれません。

──宮崎さんが卒業して、改めて学ぶことがあったんですね。

金澤: 「あのメンバーがいないからJuice=Juiceは質が落ちたね」とか「あのメンバーがいたほうがよかったね」とは思われたくないなと。由加ちゃんの「どの時代のJuice=Juiceもよくしていきたい」という意志は、私も引き継いでいかなければいかないと日々意識しています。
例えば、これから宮本佳林ちゃんが卒業します。佳林を失った穴を埋めようとするのではなく、「そのときそのときでまったく違った形に生まれ変わる、進化するグループであろう」と意識することを、いまメンバーみんなで心がけているところです。

──金澤さんは、Juice=Juiceだけでなくハロプロ全体の中でも最年長メンバーです。telling,読者も、仕事で後輩が増えたりリーダー的な立場になる人も多い世代。後輩指導や年下のメンバーへのサポートで意識していることはありますか。

金澤: Juice=Juiceでいうと、後輩たちがしっかりしているので、私から特別に何か教えるということはほとんどないんですよ。「明日、振り(振りつけ)を入れます」と言えば、家でビデオを見て隅々まで覚えてきてくれる子たちなので、私はリーダーの苦労を知らずにここまで来ちゃったなっていう(笑)。

でも、いざ注意しなければいけない、指導しなければいけない、という状況が出てきたときのために、お互いに遠慮して言いづらい環境はつくらないようにしようと心がけています。上下関係にこだわらず、言いたいことは言える関係性を保つことが大切なのかなと思って。

──「しっかりした後輩ばかりでうらやましい!」と思う読者も多いでしょうね(笑)。

金澤: いまはとても素晴らしい後輩ばかりでありがたいですが、今後とんでもない子が加入する可能性もあるので(笑)。そのときのために注意の仕方も練習して、備えておいたほうがいいのかもしれませんね。

●金澤朋子(かなざわ・ともこ)さんのプロフィール
1995年7月2日生まれ、埼玉県出身。ハロー!プロジェクトの実力派グループ「Juice=Juice」の初期メンバーで、現在リーダーを務める。2018年、三芳町広報大使に就任。2020年4月1日、最新シングル「ポップミュージック/好きって言ってよ」(hachama)を発売。

新型コロナウイルス感染が広がる中、最前線で不可欠な仕事に就く多くの方々に感謝の気持ちを伝えるため、不安な気持ちで日々を過ごしながらも頑張っているみなさんへの応援を込めて、アップフロントグループ所属タレント121名が自宅などからリモート参加した合唱動画を公開中

ライター・編集者。エキレビ!などでドラマ・写真集レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。性とおじさんと手ごねパンに興味があります。宮城県生まれ。
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