ロックダウンが続くロサンゼルス。噂に惑わされず、家時間を充実させるために始めたこと

新型コロナウィルスの影響で3月15日よりロックダウンとなったロサンゼルスの日系企業に勤める34歳の日本人女性ブーメイさん(仮名)。リモートワークでの日々の暮らしから、街中で耳にする噂話に思うことなど、リアルな話をしてくれました。

ぼんやりと始まった、外出自粛

3月13日。トランプ大統領の国家非常事態宣言を受け、会社から「来週(3月16日)以降の出社は自己判断で」とリモートワーク推奨の指示が出ました。

ところが週末に「3月22日深夜からロックダウン(レストランやバー、映画館などの封鎖)される」というニュースが流れ、状況は一変します。

16日に出社すると、その日の午後には上司から帰宅を強いられることに。

その頃はまだ「とりあえずパソコン持って帰らなきゃなぁ」ぐらいのぼんやりとした気持ちだった記憶があります。

私は現在独身の一人暮らし。暖かくなったら行こうと日本に帰った時に購入しておいた趣味のキャンプ用のアルファ米(長期保存用の乾燥米)などの備蓄も多少はあるため、大騒ぎしてスーパーに駆け込むようなことはしませんでした。ファミリー層など、もっと緊急で必要としている人がいるでしょうから。

ブーメイさん提供

ジムが封鎖される代わりに、「ウォーキングやハイキングなどについては制限しない」と発表したロサンゼルス市長の言葉を受け、3月21、22日の週末は、ビーチや山に人が殺到したといいます。ニュースを見る限りでは、ビーチはまるで真夏のように人がごった返し、ソーシャルディスタンスなんてあったものではありませんでした。

その後、それら公共エリアも立ち入りが禁止となりました。

写真はイメージ

かつてのリモートワークでの失敗を生かして

新型コロナが深刻化する少し前に、勤め先の会社で大きな内装工事があり、1週間のリモートワーク期間がありました。

その時はほぼ外に出ず、ひたすら家で仕事をしていたのですが、せっかく目的を持ってアメリカで働いているのに引きこもり続けていることに若干の喪失感を抱いたのです。

そこで今回のリモートワークでは、もちろんできる範囲ではありますが、いくつか小さなこころがけを意識して過ごそうと決めました。

日常を記録するnoteをはじめた

まずは、noteに記録をつけること。

30days challenge in LA

主には日々の起床・就寝時間の記録。運動や、英語のシャドーイング(ネイティブのスピーチなどを真似して発音する学習法のこと)の成果報告、カフェインの摂取量を減らしたり、マインドフルネスにチャレンジするなど新しく試みたことについても書いています。

1日に10人もアクセスのない日もあるのですが(笑)、それでも「発信する」ことを前提としているので、「怠けてちゃnoteに書けない!」と自分を鼓舞するいいきっかけになっています。

無理はしすぎない

今は運動不足解消のために、お昼に30分ランニングをしています。「私、えらい!」という満足感が得られて午後からの仕事に集中できます。

シャドーイングはビジネスやプライベートで英語を話す時間が減ってしまったため、その穴を埋めるために始めました。

運動も英語の勉強も強い意志を持って始めたというよりは、「同僚とのランチでの何気ない会話がなくなった」とか、「通勤をやめた分、まるで歩かなくなった」とか、今までの日常生活でやっていたことの補填ような感覚です。

日本に住む方から「シャドーイングを毎日続けるなんて意識が高い」と言われたりもするのですが、英語を使って仕事をする私にとっては1日の会話量がぐんと減っているこの事態は、死活問題とも言えます。

ブーメイさんがトライしているシャドーイングの記録

実は在宅ワークをはじめてすぐ挫折したこともあります。

P90Xという本格的なホームワークアウト。開始10分でついていけなくて脱落しました(笑)。

それ以来、「無理なく、“いつも通り”を続けられるように」をモットーに、散歩や筋トレ、ランニングに切り替えました。

この期間を利用してムキムキに!なんて考えると、かえって疲れてしまうと思います。

外出規制が始まる前に訪れたダウンタウンLAの様子。いつもはとても混雑している場所だそう(ブーメイさん提供)

怖いのは根も葉もない噂

4月22日現在、ロサンゼルス市ではテイクアウト業務以外でレストランを運営したり、10人以上の集会を開くと罰則が課されます。しかし、罰金よりも怖いのがそれにまつわる噂でした。

「スーパーで至近距離で立ち話をしていたら警察に高額な罰金を取られた」というような話をあちこちで聞くのですが、誰もが「私の友達の友達が」という枕詞で話すのです。みな罰金を取られた張本人ではない。そして不思議なことにその噂は罰則の発令前からそこかしこで蔓延し、取られた金額も法律で定められたものとはちぐはぐ。

誰かが言い出した悪い冗談なのか、はたまた警察を装った詐欺が横行しているのか……。

こうした噂ほど早く広がる。まさに、ウィルスの二次被害のように感じます。

変わらない、LAのサンセット

センセーショナルなニュースほど海外で報道されやすいもの。

「新型コロナのヘイト攻撃を恐れ、アジア系住民がガンショップに殺到」の偏向報道を受け、私の両親が心配して連絡をしてきました。ただ、私自身はその報道は事実と異なるように感じています。

日系企業に勤めていることもあるのかもしれませんが、暴言を吐かれたり同僚のアメリカ人から差別を受けたこともありません。

冷静でいること、噂に振り回されないこと、自分の行動が誰かを困らせるかもしれないという想像力。どの国にいようと変わらないことだと思います。

LAの変わらぬ夕日を眺めながら、日本に住む大切な人たちにも思いをはせる毎日です。

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
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