グラデセダイ

【グラデセダイ26 / かずえちゃん】ほんとうに大切なモノって、実はそんなに多くないのかも……しれない。

「こうあるべき」という押しつけを軽やかにはねのけて、性別も選択肢も自由に選ぼうとしている「グラデ世代」。今回はYouTubeを通してLGBTQのことを発信している人気YouTuber、かずえちゃんのコラムをお届けします。先が見えない時代だからこそ見える、あなたにとって大切なものって何ですか?  

●グラデセダイ25

僕は普段から、あまりモノを持たない生活を送っている。
(持たないし、買わないと言った方がいいかもしれない)
今では固定の住居や仕事場さえ持たなくなった。
「アドレスホッパー」もしくは「ノマド」「ミニマリスト」という名の生活スタイルを送っている。
しかし、昔からそういう人間だったのかと言われたら「NO」だ。
むしろその逆で、僕は全くモノを捨てられない人間だった。
思い返してみると、幼いころに面倒を見てくれていた祖父母がそうだったように
僕も贈り物の包装紙や空箱、百貨店の袋など大切にしまっておく子どもだった。

徳島県「ゆうかの里」の桜

「モノを大切にしなさい!」

祖母の口癖だった。

だからなのか、僕の部屋はいつもモノで溢れていた。
モノがありすぎて、自分の持っているモノさえも把握できていない状態だった。
長い間、使わずに置いてあるモノや、値札がついたまま放置されている洋服や靴も、

「いつか使うだろう」

「いつか着るだろう」

と、出番を待ち続けるモノたちで僕の部屋は溢れていた。

しかし、なぜモノを捨てられなかった僕が、今では家まで持たない生活ができているのか?
今回はそんなお話をお届けしようと思う。

① 捨てる=もったいない

幼いころから「モノを大切にしなさい」と言われて育った僕は「捨てることはもったいないこと」だとずっと思っていた。
(ときにはもったいないこともあるかもしれないが……)
しかし、モノで溢れた自分の部屋を見渡したとき
「いつ使うかわからないモノ」がたくさんあることで
「本当に必要なモノが見えなくなっていること」の方がもったいないのではないかと感じた。

「モノを持ちすぎることで、本当に必要なモノが見えなくなっていた」

福井県「足羽河原沿い」の夜桜

②捨てる=疲れる 

「必要なモノ」と「必要でないモノ」を分別し「必要でないモノ」は捨てる。
正直、この作業が1番疲れた。
体力的に疲れたというよりも
モノを「選別」して、捨てる「決断」をする行為に疲れてしまった。
「捨てること」を減らすには、「買うこと」も減らす必要があるなと感じた。

「モノを捨てないためには、モノを増やさないことが重要」

③捨てない=買わない

「捨てる」という行為が、これほどまでに労力のいるものだとは思わなかった。
そして改めて「捨てる=もったいない」と感じた。
だから今後は「買う」にもっとこだわろうと思った。

「捨てるときに悩むなら、買うときに悩むべき」

そして「部屋の乱れは、心の乱れ」という言葉があるように
モノが減り、部屋のなかが整理整頓されてくると
なんだか気持ちまでスッキリし、心が整っていく感覚があった。
そして「いつか使うだろう」「いつか着るだろう」と
長年、出番待ちをしていたモノたちは、悲しいかな捨ててしまえば思い出すことさえもなくなっていた。

こうして僕は「モノを捨てられない人間」から「モノを持たない人間」そして「モノをあまり増やさない(買わない)人間」になっていった。
そして、モノ(物質的)は減ったけれども、それ以上に多くのモノ(物質的ではない)を得ることができた気がする。

①時間
「モノ」に費やしていた時間が「モノ」を持たないことで余白の時間ができた。

②感謝
1つ1つの「モノ」を大事にするようになり、いい意味で「モノ」に執着する(こだわりを持つ)ようになった。

③執着
「モノ」に捉われなくなった。
そして本当に必要なモノって、実は意外と少ないんだなって感じた。

2020年3月。
僕は家を持たない生活を始めて1年が過ぎた。
この1年を通して感じたことは「必要なモノって、実はそんなに多くなかった」ということ。
そして、それ以上に学んだことは「あれもこれもと持ちすぎると、大切なモノがわからなくなる」ということだ。

熊本県「熊本城」の桜

2020年4月。
現在、僕たちは新型コロナウイルスにより先行きの見えない不安な日々を送っている。
マスクや消毒液がなくなり、卒業式がなくなり、新学期のスタートも延期、入学式も入社式も、オリンピックも春祭りも、本当に多くのモノが奪われてしまった。
当たり前にあると思っていた「モノ」、当たり前にくると思っていた「明日」、当たり前にいると思っていた「命」さえも、今は当たり前ではなくなっている。

最後にあなたに聞きたい……

「あなたにとって本当に大切な【モノ】って何ですか?」

今回の写真はすべて去年、旅先で撮影した桜です。
山桜の花言葉は「あなたに微笑む」です。
来年はみんなが笑顔で桜が見られますように……

タイトルイラスト:オザキエミ

1982年福井県生まれ。高校卒業後、ウエディングプランナーとして働く。その後24歳で転職。仕事の休みを利用しながら色々な国へ。「いつか海外で生活したい」という思いから、30歳でカナダへ語学留学。同性婚が認められているカナダで約3年間生活した。「LGBTQがもっと暮らしやすい日本にしたい」という思いから、帰国後2016年からYouTubeで動画配信を始める。現在アドレスホッパーとして生活中。 Youtubeチャンネル登録者数7.8万人(2019.9月現在)
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