働く女子のお金のトリセツ

歓送迎会でお財布がピンチ!「節約項目」と「ぜいたく項目」で乗り切ろう

春は歓送迎会のシーズン。お世話になった先輩の異動や新人たちとの挨拶の席がたくさんあって、出費がかさむ時期ですね。ついつい「節約しなくちゃ」「お金がたりなくなるかも」と、お金に振り回されてしまいがち。こんなときはお金の使い方を見直すチャンス。ミレニアル女子に賢い知恵を授けてくれる、ファイナンシャルプランナーの中村芳子さんに、お話を伺いました。

――来週から歓送迎会ラッシュ。このままだと“節約生活”へまっしぐらです……。

中村さん(以下、中村) お財布がピンチなのは困りますね。でもこんなときこそ、お金の使い方を見直すチャンスです。お金は使える額が決まっています。その中で自分の満足度を最高にするためには、メリハリのある使い方が大事です。まずは限られた収入のなかで何にお金をかけるのか、かけないのかをはっきりさせましょう。

――「メリハリのあるお金の使い方」をするためには、どんなことから始めたらいいですか?

中村:「お金をかけない節約項目」と「お金をかけるぜいたく項目」を決めるということです。たとえば化粧品代。安くあげようと思えばいくらでも方法はあります。たとえば、天然素材にこだわって化粧品やクリームを手作りすると、ブランド化粧品よりもずっと安く、自分の肌に合うやさしいものをつくれます。私は、モロッコ人の旦那さんを持つ友人が、モロッコから直輸入しているアルガンオイルを分けてもらっています。品質が良くて化粧水とこれだけで用が足りるので、かなり安くすんでます。

ファッションもファストファッション、メルカリ、USED、‟シェアークロゼット“などいろんな選択が。ヘアもカラリングしないロングヘアならカット代は安くすみますね。海外旅行はオフシーズンに行く、国内旅行はバスでなど、工夫の余地はいくらでもあります。

「食費を減らす」はゲーム感覚で楽しむのがコツ。ランチは週に何回か弁当を持参する。友達との食事も、レストランばかりに行かないで、自宅に料理を持ち寄ってワインパーティはいかが。YouTube には世界中の料理動画がアップされていて、安くてヘルシーなレシピがいっぱい。英語動画なら英語の勉強にもなって一石二鳥以上です。

週1回断食は、食費節約に意外に効果があります。私は週1回、3食抜き断食を続けていますが、まる1日分の食費とおやつ代が浮くし、デトックスにもなって快調、快腸。節約のために始めたのではないけど、食費が月に5000円減りました(ただし体重は減りません。念のため)。

お金をかけても満足感がえられないものはどんどん削っていきましょう。流行やマーケティング、見栄の出費はどれだけお金を使っても満足できません。衝動的に買ってしまうネットショッピングには特に注意を。買う決断をする前に、「本当にこれ、自分がほしいものかな」とじっくり考える時間をとりましょう。義理の出費、たとえば気が進まない○○会なんかも勇気を出して断れば、お金も時間も節約もデキるし、心にゆとりが生まれます。

なににお金をかける?「ぜいたく項目」を決めよう

――「お金をかけるぜいたく項目」とはなんですか?

中村 どこにお金を使いたいかということです。今回は「歓送迎会で出費が多くなるから節約したい」ということなので、支出を減らすことがメインですが、3~4月を超えたら、自分の「心が潤う(満たされる)使い方」をしたほうがいいと思うんです。

たとえば、食費を減らすといっても、減らしてばかりだと気持ちが落ち込みます。そんなときは、「月に1回、お気に入りのレストランで食事をする」と決めておくのもいいですよ。

体を動かすためにジムに通ったり、外国語や楽器を習ったり、音楽やスポーツのサークルで活動するのも素敵。体を動かせば体も頭もすっきりして、仕事にも恋にもプラス。語学をマスターすることで仕事の幅や行動の範囲が広がります。私は20代からずっとフィットネスクラブに通ってます。当時の収入で会費を払うのは大変だったけど、おかげで健康でフィットな体型を維持しててます。語学の勉強はいまも、毎日30分くらい続けてます。

私の長年の「ぜいたく項目」は掃除代。自宅の掃除サービスを子どもが生まれてすぐ頼んだので、もう20年以上です。これをやめれば、月数万円を食事や旅行やファッションに使えますが、これで自分の時間、家族との時間を買う、ゆとりを手にいれるのが私のぜいたくです。

100万円貯めて半年間オーストラリア留学へ。旅が変えた自分の生き方

――節約ってどうしても貧乏くさく思えちゃうんです。

中村 節約は「がまんしてお金を貯める」のではなく「ムダなところにお金をかけない」ということが大切です。ゲーム感覚で楽しみましょう。

29歳のとき、節約して貯めたお金100万円を使って半年間オーストラリアに遊学しました。3か所にホームステイして英語を勉強したり観光したり。そこで気がついたのは、オーストラリアの人たちは住まいと暮らしにお金をかけていること。それは自分や家族の時間と空間を大切にすることでした。気軽に友人を家に招き、一緒にバーベキューを楽しんでいました。さほどお金をかけずに、人生を楽しむ生き方を学びました。

もし私が29歳までに100万円貯めていなかったら、オーストラリアには行けなかったし、帰国後に、ファイナンシャルプランナーとして起業することもなかったでしょう。お金の貯め方、使い方が人生を変えるんです。

ただ「お金を貯める」ことを目的に節約していたら、ワクワクしません。「お金を使うと罪悪感を感じる」モードになって心がすさんでしまったり、節約すること自体が目的になってしまったりする人もいます。そうではなくて、節約は、将来やりたいことをやるためのお金を貯める手段。そして、貯金は将来の自分へのプレゼントです。

そのために、節約するところ、ぜいたくするところを自分の中ではっきりと決める。「節約項目」と「ぜいたく項目」を決めることは、自分の価値観や、これからどう生きたいかに向き合うことです。

近い将来、本当にやりたいことにたっぷりとお金と時間をかけられるように、節約項目を決めて、メリハリあるお金の使い方を、実行してください。優雅に行きましょ!

ファイナンシャルプランナー。東京・下北沢のオフィスで多くの人のお金の相談にのり、人生の悩み解決のお手伝いをしている。早稲田大学商学部卒。メーカー勤務を経て1985年に独立系ファイナンシャルプランニング会社に転職、女性FP第1号に。91年に友人と「アルファアンドアソシエイツ」を設立。『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)『いま、働く女子がやっておくべきお金のこと』(青春出版社)など著書多数。
明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
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