いつかはしたい結婚や出産。ライフイベントをマネーから考えてみた
独身の今こそ「ライフプラン」で将来かかるお金を予測
――将来、結婚して子ども産みたいです。結婚や出産、育児ってどのくらいお金がかかるんですか?
女性の20代~30代は、結婚、妊娠、出産などライフステージの変化に直面する機会が増えるときです。ミレニアル世代の女性たちには、いまパートナーがいるかいないかに関わらず、大まかな人生設計を立ててみることをおすすめします。
そこで作ってみてほしいのが、「ライフプランシート」です。エクセルで自分やパートナー、産みたい子どもの年齢などを書き、やりたいこと(予算含む)、仕事の目標、「○歳までに第1子を生みたいから○歳までに結婚したい」といったプライベートの目標など、自分が思い描く「人生プラン」をざっくりと書きだしてみます。
そのためには来年あたりから婚活を始めよう、それにかける予算はこのくらい……と考えていくと、何歳までにどれくらいお金を貯めたいかが明確になってきます。もちろん、あくまでも未来の“趣味”レーション。想像でかまわないので書き出してみましょう。
ここで大切なのは、結婚費用も、結婚以外のさまざまな費用も、「いくらかかるか」ではなく「いくらかけたいか」と主体的に考えることです。
たとえば結婚式。公表されている「平均費用」を参考にするのではなく、親族だけの食事会、友人を集めて会費制のパーティー、二人だけで森の教会、式はしないで入籍だけ、などと自分らしい形を考え、それを実現するための費用を見積もってみましょう。
結婚資金のためには、いくらぐらい貯めたらいいの?
――「結婚資金」と聞いても何をどのくらい貯めたらいいのかわかりません。
結婚の希望があってもなくても、まずやるべきことは毎月きちんと貯金しておくこと。1人暮らしなら手取りの15%が目標、実家暮らしなら30%くらいは貯金できると思います。1人暮らしで毎月15%の貯金が難しい場合は、友達とルームシェアをして家賃を浮かせるなど工夫してみましょう。
就職したばかりの1人暮らしでお金に余裕がないというなら、貯金は手取りの10%でもいいでしょう。5年後には年収の半分が貯金できます。結婚式に使ってもいい額は2人の貯金の合計の30%まで。お互いに同額ずつ出すのが理想ですが、割合は話し合ってください。残り70%は新生活のための貯金。結婚は人生のゴールではなくスタートライン。十分な貯金ありで新生活を始めるか、貯金ゼロや借金ありで始めるかで、全く違ってきます。
健康保険組合や自治体、内閣府から結婚のお祝い金が出る場合も
――公的資金から結婚のお祝い金が出るという話を聞いたことがあります。
結婚すると健康保険組合や厚生年金基金からお祝い金が出ることがあります。ほかにも、加入している共済、生命保険、所属する自治体からお祝い金が出ることもあります。
また、「結婚新生活支援事業費補助金」として、自治体と国とで新婚世帯を応援する補助金を交付する制度もあります。夫婦ともに34歳までに結婚し、年間所得合計が340万円未満(年収にすると530万円)の世帯に最大30万円が交付されるというものです。この「34歳まで」というのが、ちょっと気にかかるところですが(笑)
住宅購入や引っ越し費用などを援助してくれる自治体もあります。自分の住んでいる自治体の制度で利用できるものがないか、ウェブサイトでチェックし、わかりにくければ電話してたずねましょう。
専業主婦か夫婦共働きか。事前に彼と話し合いを
――結婚後も仕事は続けるつもりですが、専業主婦にもちょっと憧れます。
彼との結婚を具体的に考え始めたら、今後の働き方についても話し合っておきましょう。妻が専業主婦になるか、夫婦二人で働き続けるかで、暮らしも今後のお金の貯まり具合も大きく異なってくるからです。住宅購入や余暇、子の教育費などにかけられるお金は共働きの方がだんぜん多くなります。
ファイナンシャルプランナーの立場からは、結婚後も働き続けることをお勧めします。親の世代は、会社員の夫と専業主婦の妻の組み合わせでも家計はなんとかまわってきましたが、今は違います。退職金も年金も親の時代より少なくなっています。住宅価格は上がり、子の教育にお金をかける人が増えています。ゆとりある生活をしたいなら迷わず共働きです。
また、結婚が生涯続くとは限りません。離婚しても生きていける自分を作ることはとても大切です。
「子どもが生まれたら、保育園などに預けず自分で育てたい」という人もいるでしょう。その場合は、いったん仕事を辞めて家庭に入っても、子の小学校入学、中学校進学などのタイミングで仕事に復帰できる準備をしておきたいですね。
出産一時金に児童手当。出産や育児にもらえるお金はいくら?
――出産費用についてはいくら貯めたらいいですか?
出産する際には健康保険から、出産育児一時金として子ども1人あたり42万円が支払われます(双子なら84万円)。自治体によっては、独自の助成をしているところも。たとえば東京都港区は、出産にかかった入院費用(上限額60万円)から、出産育児一時金(付加金含む)を差し引いた額を助成してくれます。
妊婦検診も14回分の自治体の助成があり、自己負担はほとんどありません。(妊娠届けを出したとき母子手帳と一緒に「助成票」を受け取ります) 出産費用は病院によってさまざま。ゴージャスな入院生活に100万円かけることもできれば、42万円以内に抑えることもできます。いろいろ調べてみましょう。
子育て費用も国のサポートがあります。児童手当が3歳までは1人につき月額1.5万円、3歳以降は月額1万円が18歳の3月まで支払われます。第3子は、小学校卒業まで月額1.5万円)です。2019年10月から就学前教育(幼稚園・保育園)の無償化が実施され、親の負担は以前より軽くなっています。
結婚や出産は未知の分野でイメージできないという人もいるかもしれません。大切なのは、結婚したい、産みたいという自分の気持ちに素直になること。
「お金がかかりそうだから諦める」はなし。お金はその気になれば、なんとかできます。わからないことがあったら、会社やコミュニティーの先輩に尋ねてみるのもいいし、私たちファイナンシャルプランナーに相談するのもいいでしょう。夢の実現のために一度、ライフプランシートをつくって、いつまでにどのくらい貯めたいか可視化してみることをおすすめします。
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