自分を変える、旅をしよう。

20代で就職、退職、結婚、離婚を経験。今の夫と出会って旅の本当の楽しさを知った。

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。9回目は、公務員として働いていても、夢や希望が持てなかった20代から、パートナーとの出会いをきっかけに、旅に目覚めた女性にお話を聞きました。

●自分を変える、旅をしよう。9・前編 いどきみこさん(37)

リーマントラベラーの東松寛文です!今回は、20代で結婚をして30歳で離婚、その後、今のパートナーと出会い、夫婦で型にはまらない海外旅行を楽しんでいる、いどきみこさんにインタビュー。もともと英語アレルギーだったのに、今ではすっかり旅好きになったのだそう。20代のころのもやもやから人生が変わるきっかけとなったパートナーとの出会いまで、お話を聞きました。

リーマントラベラー東松(以下、――):もともとは英語アレルギーだったそうですね。いどさんは、これまで何カ国に旅をされましたか?

いどきみこさん(以下、いど): 現在、17か国約40都市に行きましたが、旅が楽しくなったのは、学生時代バックパッカーをしていた夫と旅をするようになってからです。英語が話せなくても海外に行きまくっていた今の夫に出会って、これでいいんだと。夫と旅する前は、ザ・観光旅行を楽しんでいました。

――旅にハマる前は、どんな働き方や生き方、考え方をしていたのですか?

いど: 私は20代で就職、退職、結婚、離婚を経験しています。公務員として東京で4年ほど働いていました。公務員になったのは、親が安心するだろうし、安定しているから。仕事で何かを成し遂げたいという志は正直ありませんでした。当時はこれといった趣味もなくて、毎日淡々と過ごしていたと思います。だから何かのために、平日は仕事を頑張ろうというモチベーションもありません。本当にこの頃東松さんに会いたかったです。

――そうだったんですね!そういってもらえるのはうれしいな。でも、今の姿からは想像もつかないですね。

いど: そんな毎日だったので、何の未練もなく結婚を機に仕事を辞めてしまったんです。でも、結婚に対してもビジョンがなかったので、結婚したら何かが変わるかも、幸せにしてもらえるかもと他人任せなところがありました。

アメリカ・アリゾナ州でサボテンと

――周りからみたら、寿退社、幸せな結婚生活……その頃感じていた悩みはなんでしたか?

いど: 30歳を目前にして、夢ややりたいことがないという以前に、自分の足できちんと歩けていないという焦りがありました。周りの友人は、バリバリ働いていたり、育児をしていたり、それぞれ頑張っている。それなのに私は……そのどちらでもない。生温い環境にいる私自身やこの先も同じ生活を続けていくことに漠然とした不安が募っていたこともあり、離婚を決断しました。一人で歩きたい、失敗しても自分の決断で人生を決めたいと強く思ったんです。

――力強くかっこいい言葉! いどさんはいつから旅をしているのですか?

いど: いわゆる旅行ではなく“旅”を初めて経験したのは、今の夫が計画してくれたマレーシア・クアラルンプールです。羽田発クアラルンプール行の深夜便が格安で取れたので、行こうと誘ってもらいました。LCCに乗ったのも初めてで、それだけでワクワクしました。
空港からの足も自分たちで選んで行動する。食事もツアーでは行かないようなローカルなお店で食べるし、時間に縛られない。旅はこんなに自由でいいんだということが初めてわかりました。

――それまではツアー旅行が多かったんですよね。

いど: ツアー旅行って自由時間が多少あっても、基本的には日程が詰め込まれていて盛りだくさん。正直疲れることも多々ありました。バス移動は必ず睡眠時間になってしまい、風景を見ていないので、地理的なことも全く印象に残っていなかったり。でも、このクアラルンプールの旅の記憶は、電車に乗って、バトゥ洞窟行ったなぁとか、ブキッビンタンの屋台でご飯食べたなぁとかすごく鮮明に覚えているんです。特にトラブルもなく、すごく印象深いことがあったわけでもないのに、これからもっといろいろな国を見てみたいと思うきっかけを作ってくれた旅でした。

今だったらゼッタイに飲まない、ベトナム・ホイアンのフレッシュビア

――そういう経験って愛おしいですね。旅の魅力を教えてくれたのは今の旦那さんだったんですね!

いど: そうです、間違いなく今の夫です。パック旅行でしか海外に行ったことがなかった私に、夫は今までとは違う世界を見せてくれました。

――具体的にはどんなことですか?

いど: ベトナムのホイアンに行ったときは「フレッシュビアを飲みに行こう!」と言われたんですね。いかにも美味しそうに聞こえるじゃないですか。中心部からは少し離れた場所だったので、自転車を借りて、フレッシュビアを求めて、サイクリング。そして、目指すお店で、出てきたビール!それはまさかの、衛生的にどうなの?と思うような、ドラム缶から店主のおじちゃんが直接、コップですくってくれるビール……とりあえず、飲みました。お味は、微炭酸で常温、薄いビールでした。帰国日の前日だったのですが、私はその日の深夜から明け方まで、見事に腹痛。寝る間もなくトイレを往復しました。絶対、飛行機に乗って日本に帰ってやる~!という思いだけで乗り切りました。今思い出しても、辛かった(笑)!でも、楽しかった!

ラスベガスで出会った、友人の祖父母と

――それは辛そう!!それもかなりのインパクトですが、そのほかに印象に残っている旅先はありますか?

いど: 2015年のゴールデンウィークにアメリカのグランドサークル(グランドキャニオン、アンテロープキャニオン、セドナ)とラスベガス、アリゾナ州のツーソンという街を夫婦で旅をしました。ラスベガスに向かう途中、夫がハイウェイを運転中に、まるっとしたサボテンが風にあおられ突然飛んできて、車に衝突したときは驚きました!ケガもなかったので、笑い話になりましたが、ここはアメリカなんだなって実感しましたね。

――まさにハプニングもアメリカン!

いど: ラスベガスでは友人の祖父母の家を訪ねました。ギラギラとしたストリップストリートからさほど離れていないところに、トレーラーハウスがたくさん集まって、ひとつの街になっているところに住んでいました。日本にはない街のスタイル!友人のおじいちゃんは90歳を超えていたのですが、戦争で日本にいたことがあり、日本語も少し覚えていました。覚えている日本語を一生懸命話してくれたこと、昔ピアニストだったそうで、その演奏も聞かせてくれました。まさに今、ここでしかできない体験。戦争の時代を経て、孫の代で友人になり、結局は人と人なんだなぁとしみじみ感じました。

後編もお楽しみに!

平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
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