自分を変える、旅をしよう。

ネガティブ女子が奇祭ハンターになれたワケ。魔法の言葉は「なんで?」「どうして?」

学生時代はトイレに行くのにも女友達と一緒に行っていた平船智世子さん(33)を変えたのは、旅でした。そんな平松さんがtelling,で「自分を変える、旅をしよう。」を連載するリーマントラベラーの東松寛文さんと出会ったのは、インスタグラム。東松さんが「リートラTシャツ」を着て世界中でジャンプする企画に、「おもしろそう〜!私も力になれるかも!」と参加したのがきっかけでした。今では「奇祭ハンター」を自称する平船さんが旅に出ても変わらないことは?
地球1周のきっかけは仕事と恋人からの逃避行「現地の人と同じ格好で時間共有」が旅の薬 20代で就職、退職、結婚、離婚を経験。今の夫と出会って旅の本当の楽しさを知った。

●自分を変える、旅をしよう。#8 平船智世子さん(33)後編

リーマントラベラーの東松寛文です! 地球3周して自分が変わったという平船智世子さん(33)を深掘りしていくと、なんと旅を重ねるごとに「私は人を疑うようになった」と言います。ネガティブからポジティブに変わっただけではない、旅の“魔力”とも言える魅力について聞いてきました。

リーマントラベラー東松(以下、――): 「リーマントラベラー」って、いつ、どんな感じで知りました?

平船さん(以下、平船): インスタグラムで某雑誌の女優さんの真似をしている写真を投稿しているのを見かけて笑いのツボにハマりました。(笑)

気になって他の投稿を見てみると、リートラTシャツを着て世界中でジャンプする企画を見つけて、「おもしろそう〜!私も力になれるかも!」と思って参加したんです。

――リーマントラベラーを知って、旅のスタイル変わりましたか?

平船: “世界一周”の概念を覆したのは東松さんだと思っています。それまでは、世界を旅する日本人はいましたが、誰も日本がトランジットなんて発想はなかった!

国数の数え方も何をもって世界一周なのかも、人それぞれ自由でいいし、楽しんだ者勝ちだよね、という気持ちが強くなりました。

仕事を辞めなくても世界一周に行ける時代(休み方改革)を発信してくれてありがとう!(笑)

人懐こい西アフリカ・ベナンの子どもたち(平船さん提供)

――旅に出るようになって変わったことは?

平船: 私は人を疑うようになりました。と言うとネガティブで結構だまされてきたんだなぁと思われるかもしれませんが(いや、騙されてもきたけれど)。これは決して人間不信になったからではなく、私にとって相手を知ろうとする行為なんです。

旅に出る前の自分は、意見を聞かれても「なんでもいいよ」というタイプでした。こだわりとかもなく、旅に出発した最初のころは、現地の人の言うことや提案することを素直に「じゃぁ、それで」と受け入れていました。

相手の言うことを信じることって、語学もできない人にとって楽で簡単だけど、相手のことまったく知ろうとしていない行為なんですよね。

今では「どうしてその案なの?」「なんでこの道なの?」と何でも理由を聞き返すようになりました。相手を知ろうと「なんで?」「どうして?」を繰り返すことは目の前の人と向き合うことだと思うし、旅に出るようになって人は信じるよりも疑うことこそがコミュニケーションの一歩なんだと自分の中に追加されました。

――旅に出ても自分の中で変わらなかったことはありますか?

平船さん: 価値観……かな。

国によって物価も違えば信仰する宗教も、生まれ育った環境も違います。例えば、貧しい国に行ったとして、そこでは剛に入れば郷に従えで同じように住民が日常的に使うバスに乗ったり、食堂でご飯を食べたりして過ごしています。お金の価値よりも牛やラクダのほうが価値のある考え方に触れたりもします。そうやって、旅をしているときは、目の前の相手の生活に歩み寄りますが、日本に帰国すると元の生活に戻ってしまうんですよね。

価値観は刺激を受けたり理解したりすることはできるけど、自分のものにはならないのかなぁ、と思っています。

ブルキナファソの小学生とジャンプ!(平船さん提供)

――あなたにとって旅とは?

平船: 自分の中にある差別をなくすこと。

怖いイメージの国だって絶対に親切な人はいます。観光客がたくさん訪れる人気の国だって絶対悪い人はいるんですよね。

インドのヒンドゥー教の伝統的なお祭りでは、地元の人が「元々はヒンドゥー教のお祭りだけど、仏教もキリスト教もイスラム教も関係ない! 祭りというのはピースフルなんだ! だからお前も真ん中で踊れ!」って言ってくれたのがとてもうれしかったです。

インド『プリカリ』でのタイガーダンス(平船さん提供)

国のイメージは、その国で信仰している宗教のイメージが強いと思います。
でも、信じる神さまやモノがいろいろあっても、祈っていることはきっと同じなんだなと感じたし、個人と個人が繋がれば、世界平和がどんどん広がっていくというイメージが旅する度にできました。イメージできることは実現できると言いますよね。いろいろな国に訪問して、現地の方と触れ合うたびに、世界平和を切に願うようになったし、その国に対する偏見を少しでもなくしたいと思い発信するようになりました。

これからも自分の中にある無意識の差別と向き合って、たくさんの友人を作り、私の中だけでも世界平和を作れたらな、と思っています。

――これから行きたい旅先はありますか?

平船: 中東周遊やアフリカ縦断をしたいと思っています。濃厚な旅にしていきたいので、いまは宗教の勉強をしたり、アフリカ布ブランドで服を作ってもらったりしています。形からも楽しむために準備万全です!(笑)

――最後に、これからの目標を教えてください。

平船: 2020年中に「100ヵ国、100祭り」の達成を目指します! 旅は数字ではないことはわかっていますが、やっぱり、キリがいいと気持ちがいいので!(笑)

地球1周のきっかけは仕事と恋人からの逃避行「現地の人と同じ格好で時間共有」が旅の薬 20代で就職、退職、結婚、離婚を経験。今の夫と出会って旅の本当の楽しさを知った。
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー