【グラデセダイ18 / かずえちゃん】マイノリティ(少数者)とマジョリティ(多数者)~グラデーションの世界に生きる~
●グラデセダイ18
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このコラムを読んでいるみなさんはご存知だと思うが、僕はゲイである。
「LGBTQ」性的少数者(セクシャルマイノリティ)だ。
先日ある映画のトークイベントに参加した。
ろう者(言語的少数者)とLGBTQ(性的少数者)のダブルマイノリティをテーマにした作品だった。
この映画を作った今井ミカ監督自身が「ろう者」であり「LGBTQ」である。
僕が彼女と出会ったのは、2年ほど前のイベントだった。
YouTuberと映画監督。
「映像」というツールは同じだけれど、僕らは「伝える」手段が少し違う。
僕は「声(音声言語)」を使い、彼女は「手話(視覚言語)」を使う。
(ろう者にとって手話が母語になるため日本語は第二言語になる)
マイノリティとマジョリティ
現在、日本の全人口に占めるろう者の割合は1,000人に3人とも5人とも言われている。
割合で言えば、ろう者である彼らは「マイノリティ」であり、聴者である僕は「マジョリティ」だろう。
聴覚障がいをもつ子どもの約90%は、聴者の親から生まれる。
そして聴覚障がいをもつ親からも聴者の子どもが生まれる。その子どもをコーダ(CODA, Children of Deaf Adults)と呼ぶ。
僕の家族は全員が聴者である。
彼女の家族は全員がろう者である。
あまり「普通」という言葉は使いたくないが、僕は「音のある世界」を普通に生きてきた。そして多分、彼女は「音のない世界」を普通に生きてきた。
家族のなかで「僕だけがろう者」だったら、その家族のなかでは「ろう者」である僕がマイノリティだろう。
しかし、家族のなかで「僕だけが聴者」だったら、その家族のなかでは「聴者」である僕がマイノリティだろう。
僕にとっての「星野」という名字
これもつい先日の話。
LGBTQの講演会があり、僕は群馬に向かった。
スタッフの「星野」さんが駅まで迎えに来てくれた。
僕の知っている星野さんと言えば
星野源さん
星野仙一監督
ほしのあきさん(漢字は不明だが)
くらいだ。
星野さんが運転してくれる車で、講演会場に向かっている最中にこんな会話があった。
星野「LGBTQの割合って8.9%(約11人に1人)くらいなんですよね?」
僕「そうです。日本に多い名字(佐藤・鈴木・高橋・田中)よりも多い割合でいるんですよ。あとAB型や左利きの割合と同じくらいとも言われています。」
星野「そうなんですね。でもあまりピンとこないんですよ。実は僕の生まれ育った群馬の片品村は、星野という名字がすごく多くてクラスの半分くらいは星野だったんですよ。だからみんな下の名前で呼ばれていました(笑)」
僕のクラスには「星野さん」は1人もいなかった。
だから僕にとって「星野」という名字はマイノリティだった。
しかし彼のクラスには「星野さん」が大勢いた。
彼にとって「星野」という名字はマジョリティだった。
自分の身の回りを意識してみる
実家に帰省した時のこと。
帰省すると必ず姪っ子や甥っ子と遊んだり、ご飯を食べたり、勉強したりと一緒の時間を過ごす。
今のところ僕には姪っ子が3人、甥っ子が1人いる。
4人中2人が「左利き」
4人中1人が「右利き」
4人中1人は0歳なのでまだわからない。
彼らのなかでは
「左利き」がマジョリティ
「右利き」がマイノリティになる。
しかし世の中では
「右利き」がマジョリティ
「左利き」がマイノリティになる。
今回「マジョリティとマイノリティ」について書こうと決めてから自分自身を含め、身の回りの「多数と少数」を意識してみた。
僕のセクシャリティは「マイノリティ」だ。
しかし僕のなかにも「マジョリティ」の部分はある。
「多数であること」が正しいこと。
「少数であること」は間違っていること。
「マジョリティ」が良いこと。
「マイノリティ」は悪いこと。
そんなことは絶対にない!
「多いか少ないか」ただそれだけ。
どんな人間にも「マイノリティとマジョリティ」の部分が必ずある。
そしてそれは「個性」として、あなたを「らしく」する。
自分と同じ部分ばかり探さなくていい。
自分と違う部分を怖がらなくていい。
相手の同じ部分に共感すればいい。
相手の違う部分を知ろうとすればいい。
世の中にはたくさんの人がいる。
あなた自身が「どこに身を置くか」によって「マジョリティとマイノリティ」が「白と黒」だけではないことを感じることができると思う。
僕らはみんなグラデーションな世界を生きている。
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