LGBTQ支援ブランド「snails」始動。デザイナーが届けたいものって?
LGBTQを支援する「snails」プロジェクトとは?
「わたしはわたしでいい。あなたはあなたでいい。」をコンセプトに、ファッションを通して、ありのままの個性を社会が受け入れてくれる世の中に近づけていきたいと考えたのがデザイナーの安達功さん。安達さんは、JUNKO SHIMADA、CHINTHIA ROWLYなどの名だたるブランドにおいてデザイナーやマーケットディレクターを経験し、昨年からLGBTQとそれを支援する人たちに向けたプロジェクト型ブランドとして「snails」を始動しました。
数々のアパレルブランドをもつ株式会社ワールドがプロジェクトに賛同し、活動をサポートします。
展開する製品の第一弾は、Tシャツ(白・黒)とスウェット(チャコールグレー・トップグレー)とスカーフの3点。どれもワンサイズのユニセックスで、男女の区別なく着られるデザインになっています。このプロジェクトを始動するにあたりクラウドファンディングで資金を集め、それぞれの支援者の手にアイテムを届けました。
「snails」という名前に込められた意味
snails=カタツムリは、出会った相手に合わせてメスにもオスにもなれる性質を持っている生き物。そんなカタツムリは昔から恋愛成就や幸福をもたらす縁起のよい生き物とされてきました。そのイメージからブランド名を「snails」に決定し、ブランド名の中心である「a」からロゴを制作。
「ものごとを別角度から見る」という思いを込めてaを90度傾けて、そこに人が集うかたちを示した可愛いカタツムリのようなロゴになりました。
デザイナーの安達功さんが語る「snails」プロジェクト
イベントでは、プロダクトのデザインを手がけた安達功さん(写真中央)と、今回のプロジェクトを支援する歌手の野宮真貴さん(写真右)、スタイリストの飯嶋久美子さん(写真左)の2名をゲストとして迎えてのトークセッションが行われました。
自身もLGBTQの一人である安達さんは、「ファッション業界で働き出してから20年の節目に新しいことをしたい」と思ったのだそう。「ユニセックスのブランドというとサイズ展開が豊富と思われるかもしれませんが、すべてワンサイズというのをポリシーとしています」と語られるTシャツやスウェットは、少し大きめに作られていて着る人によって違った表情を引き出します。そんな美しい製品を作ったのは日本の職人の方々。
「華美で美しいランウェイを見ていて、この裏側にはたくさんの人が関わっていることを知ってほしいと思ったし、もっと日本の素晴らしい作り手や産地を知ってもらいたいという思いがあって」と言う安達さんは、大事に長く着られる製品を作るために、全国の腕のいい作り手さんに製作をお願いしたそうです。
「たとえばスカーフは、シルクでできていて柔らかく包まれるような触り心地なんですが、スカーフの縁をルロタージュと呼ばれる方法で手縫いしているんです。日本に数人しかいない、職人さんの業です」
そんな思いの詰まったプロダクトに対してスタイリストの飯嶋さんは「安達さんの服はシンプルで質がよくて、一見地味なようだけど地場産業を応援していたりとか、大切なポイントを忘れないところがすごい」と熱弁。「私は18歳の頃からスタイリストのアシスタントになって、ゲイの方とたくさんお会いしました。私の中でLGBTQの方は、才能にあふれていて、ファッショナブルというイメージです」とお話ししました。
元ピチカート・ファイヴで歌手の野宮真貴さんはグリーンの素敵なドレス姿で登場。「昔から、ヘアメイクさんやスタイリストさんなどLGBTQの方が周りにたくさんいて、支えてもらってきました。彼、彼女たちは美に対して意識が高く、どう見せたら魅力的に見えるかを熟知していて教わることも多かった」という野宮さんは身の回りの約8割がLGBTQの方だそう。「いくつになってもおしゃれ心を忘れず、あるものを最大限に生かして今を楽しみましょう」と活動を支援しました。
「LGBTQの人たちが生活しやすい世の中にしたい」、「作り手の思いがつまった製品を届けたい」という2つの想いが形になった今回のプロジェクト。これからも様々な業界で、ありのままの個性が受け入れられることを望む動きがでてくるのだろうな、と思いました。
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