「LINE退会したフリ」をしたら本当に大切な人がわかった
「返さなきゃいけない」連絡が溜まってメンタル不調に
昔から「~すべき」という白黒思考が強く、メールやメッセージが溜まってくると「返さなければいけない」というプレッシャーにつぶれがちでした。仕事のメールやスカイプを常にチェックしていないと不安で、プライベートでもずっとSNSをチェック。
誰からも連絡が来ないのもさみしいけど、「今度ヒマな日いつ?」と同時に色んな人から聞かれると自分の自由にできる時間がどんどん奪われていくようで息苦しく感じました。あまり断り続けるとカンジ悪いかな……と、渋々遊ぶ約束をしては、直前で行きたくなくてブルーな気分に。私は一体誰の機嫌をとっているのだろう?誰となら遊びたいのだろう?誰からも嫌われたくなくて上辺だけの関係をたくさん作ったせいで、心の踊らない誘いばかり増え、それを消化するという不毛な時間を過ごしていました。
そしてSNSで死んだふりをすることにした
その日もお付き合いしている男性から「今度はいつ会える?」と連絡がきたかと思えば、飲み友達から「そろそろ飲もうぜ」と誘われ、学生時代の友人から「今度東京行くんだけど会えない?」と連絡が来ました。ちょうどメンタル的に不安定な時期だったこともあり、私のなかで何かがふっと切れてしまいました。しかし、LINEをアンインストールまでしてしまうと、体調が戻ってから後悔するのは目に見えています。全員と未来永劫関係を断ちたいわけではないのです。ただ、いまは返事ができない。できない理由をうまく説明できない。考えた結果、プロフィール画像を削除し、名前を「メンバーがいません」に変更しました。LINEを退会すると、相手にはそう表示されると知っていたからです。こうして「LINE退会したフリ」を行いました。
「会いたい人とだけ会う」でびっくりするほど生きやすくなった
「退会したフリ」の効果はてきめんで、パッタリ誰からも連絡が来なくなりました。相手は「ブロックされた」と思うのではなく「アカウントが消えちゃった」と思ってくれるのも八方美人の私には合っていました。「あなたを拒絶してます」という意思表示をせずして、いま連絡を取りたくない人を遮断できる。連絡を取りたい人には「こんな名前だけどLINEは使えるから」という説明をしておけばよいのです。すると自然に「これからも連絡を取りたい人」「連絡を取らなくてもいい人」の2つに知人を分類することができました。連絡を取りたい人とだけ取るという当たり前のことを、やや荒療治ではありますが、ようやくすることができるようになりました。
断つべきはSNSではなく、自分を惑わす人間関係だった
なかには「LINE消えてるよ?大丈夫?」と連絡をくれたり、「なんであんな名前にしているの?」とトリックに気づいて連絡をくれる知人もいました。普通に考えればまともな精神状態ではない私のことを心配して、別のSNSから連絡をくれたり、電話をくれたりした人のことはこれからも大切にしたいと思います。自分が思っている以上に、自分を気にかけてくれている人の存在にもこの時やっと気づけました。
よく「SNS断ち」という言葉を耳にしますが、本来断つべきはツールではなくて自分を苦しめる人間関係なんだと思います。誰とでもつながれる時代に、本当につながっていたい人は誰なのか。改めて考えてみるのも良いのではないでしょうか。
-
第149回「まだ結婚できない男」主人公、桑野にみる「ネオ・おひとり様人生」の魅力
-
第150回独身の女性上司に「結婚だけが幸せじゃない」と言えず悩んでいます
-
第151回「LINE退会したフリ」をしたら本当に大切な人がわかった
-
第152回ミレニアルと呼ばれる、わたしの同志のみなさんへ
-
第153回青山テルマさん取材後記。誰かの努力を知らないで、人に嫉妬するなかれ