編集部コラム

苦手な人が、心を癒してくれる瞬間。誰かがそばにいるということ

telling,編集部のいぬい(35)です。生きてると理不尽なことたくさんありますよね。という話を先週のコラムで書きました。そんな時は、コラムに記したように信頼できる友人に話を聞いてもらうのもいいのですが、「誰か」が近くにいるだけで、すごく癒やされたりするものです。

●編集部コラム

昔働いていた会社で、苦手な年下の女の子がいた。

彼女は私から見ると完璧すぎた。仕事に対してすごく真剣に取り組んでいたし、成果も出していた。勉強熱心で、後輩への指導も丁寧で、責任感も強い。

入社してから、何も成果を出せていないと思っていた私は、彼女に強く負い目を感じていた。彼女も私のことが嫌いだったと思う。

苦手な人に、癒やされる

ある時、上司との面談でとても落ち込んだことがあった。

厳しく叱られたわけではなかったけど、私の欠点について核心をつく指摘を受け、ひどくショックだった。長い面談を終え、就業時間が過ぎた執務室に戻ると、ほとんど誰もいなかった。私が苦手な年下の彼女は、パソコンをかたづけ帰ろうとしているところだった。

彼女は、私が落ち込んだ様子を見て、ごく自然に「どうしたんですか?」と質問した。

あまりにも自然だったので、私は彼女への苦手意識を忘れ、涙ぐみながら「部長に的確だけど、ショックな事を言われたの……」と言った。

彼女は私の隣の椅子に座り「大丈夫ですよ。部長はいぬいさんのこと、いつもすごく心配してますよ」と言い、私が机の上に置いていた手にそっと彼女の手を重ねてくれた。

私は涙をこらえながらで何も言えなかったけど、心が少しずつ軽くなっていくのを感じた。

苦手な人が近くにいるのに、心が癒される。すごく不思議な体験だった。

「獣になれない私たち」ガッキーの名ゼリフ

昨年、放送されたドラマ「獣になれない私たち」(日本テレビ系)ですごく心を打たれたシーンがある。

ドラマも佳境の最終回の一つ前の回。彼氏と別れたガッキー演じる晶に、黒木華演じる朱里が「じゃあ、ずーっと一人で生きてくの?」と質問する。

ガッキーはこう答えていた。

「一人なのかな?

例えば今は二人。私と朱里さん。

さっきは三人でビールを飲んだ。お母さんじゃないけど、お母さんみたいな人と、また飲もうって約束した。

会社の同僚と仕事のことで一緒になって喜んで、女同士で1000回のハグ。

この前は飲み友達の部屋で夜通しゲームして、朝のコーヒーを飲んだ。

そういう、ひとつひとつを大事にしていったら生きていけるんじゃないかな。一人じゃない」

恋人がいなくても、親友がいなくても、生きていける

嫌なことが続く人生。それを成長の糧だと思い、乗り越えていける体力がある時は思いっきり頑張ればいい。

だけど、時に自分の限界を感じて力尽きてしまうことがある。

そんな時、親友や恋人・パートナー、両親、上司、メンター。そういう人がいるなら、その人にめいいっぱい甘えたらいい。

でも、別に甘える相手は一人でなくてもいい。親密な相手でなくてもいい。

バーで隣に座った人に話を聞いてもらうのもいいし、美容院で愚痴ったっていい。タクシーの運転手さんだっていいし、いつもはあまり話さない同僚だっていい。

自分が弱っている時は、いろんな人から少しずつ助けてもらえばいいんだと思う。

そうやって、助けてもらったら、自分が元気な時にちゃんと恩返しすればいい。

冒頭の苦手な彼女は、今でも正直、苦手なまま。転職後は連絡を取る手段もなく、もう二度と会うこともないだろう。でも、あの時声をかけてくれたこと、手を重ねてくれたこと、寄り添ってくれたことは忘れないし、もし彼女が何か困っていることがあれば、進んで助けに行きたい。

好き嫌いだけの感情では単純に片付けられない人間関係。

そういうのがあるから、生きてくのは楽しいなぁと思う。

1983年生まれ。社会人13年で転職4回。バツイチ。恋愛・結婚・女性性・人間関係・生き辛さなどの話題に興味があります。お笑い・現代アート・バームロールが好きです。

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