ミレニアル女子のための新しいお金との付き合い方 101のルール【特別編】

ZOZO前澤社長「1億円のお年玉」は「誰も損しない」巧妙な仕掛けだった

ZOZOTOWNの前澤友作社長が年明けに実施した「総額1億円のお年玉」キャンペーンは、世間をあっと驚かせました。「telling,」でマネー関連のコラムを連載する個人投資家の生方正さんが、賛否両論の前澤社長の行動を分析します。そこには、「誰も損をしない」巧妙に練り込まれた仕掛けが見いだせるとか……。

●ミレニアル女子のための新しいお金との付き合い方101のルール 【特別編】

実は、前澤社長は1円も損していない?

話題になっているキャンペーンは、前澤友作社長のTwitterアカウントをフォローして投稿をリツイートした人の中から、100名に100万円をプレゼントするという内容でした。

すでに当選者は発表されていて、100名に100万を配ることが決定しているので、前澤社長は総額1億円を出費することになります。「さすが総資産3300億円! 太っ腹すぎる」と思った方、本当にそうでしょうか?

このキャンペーンのおかげで前澤社長のフォロワーは一時的にせよ600万を超えたばかりか、リツイート数は550万回を超え世界新記録となりました。このことで前澤社長並びにZOZOTOWNは各種メディアに大きく取り上げられて知名度が高まったことを考えると、投下したコストに対するリターンはすでに十分回収したのではないでしょうか。

前澤社長・Twitter社・フォロワー。三者のメリットは

このキャンペーンに対しては、「フォロワーをお金で購入することに問題はなかったのか」「お金で人の心を釣るのは下品だ」などと、批判の声も上がっています。しかし、運営側のTwitter Japan(ツイッター社の日本法人)から「利用規約には違反していない」と回答があったので、大きな問題とはならないと思われます。

私はこの点、キャンペーンを打ち出す前に、前澤社長側とTwitter社側との間で十分なすり合わせが行われていたのではないかとすら推測します。Twitter社側からしても、未登録のユーザを取り込む良い機会になったはずですから。

フォロワー側からすれば、無料で100万円をもらえるかもしれないチャンスがある。一部の違法なギャンブルのように、反社会的勢力等に加担することにもならない。しかも、100万円を手にするために実施しなければならない作業は、Twitterアカウントがあれば1分。なくても5、6分のスマホ操作で完結できるほど簡単です。

年末ジャンボ宝くじの当選確率と比べてみると

ここで宝くじの当選確率について考えてみましょう。年末ジャンボ宝くじで100万円が当たる確率が10万分の1といわれています。前澤社長のツイッターが550万回以上リツイートされたことを考えると、100万円の当選確率は100件を550万で割って、およそ5万5000分の1。つまり、宝くじで100万円が当選する確率より高いのです。

しかも、宝くじを手に入れるためには1枚300円支払う必要がありますが、その料金さえかからない。そのことで迷惑を被る人もいません。こうして考えると、前澤社長、Twitter社、フォロワーともに誰も損をしていない。「三方よし」のプロジェクトだったわけです。

100万円当選したら、贈与税はかかるの?

ところで、一つ心配なことがあるとすれば、当選者に贈与税がかかるのかということ。こちらは1年間(1/1~12/31)の合計が110万円を超えた場合に受けとった側が申告する必要がありますが、今回は1人100万円なので問題ありません。

お年玉狙いでフォローしてキャンペーン終了後にすぐ解除する人もいたとは思いますが、前澤社長はそれも想定済みでしょう。第2弾を実施するとのウワサもあるので、あくまで個人の考え方次第ですが、今回エントリーできなかった方は次回、挑戦してみるのもいいかもしれませんね。

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明治大学サービス創新研究所客員研究員。就職当時から節約生活を送り投資で財を築く。早期退職した現在は海外の別荘と日本を行き来する日々。著書に「高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法」
明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
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