ニューヨークの朝ごはん「食べ方は、生き方だ。」

時間とお金を節約して、いかに楽しく食べるか―食べ方は、生き方だ。04

ご飯の食べ方を聞いたら、その人の人生への向き合い方もなんとなく分かるもの。ニューヨークに住むミレニアル女性のある日の朝ごはんを通して、ニューヨークの文化や女性たちの生き方を見つめます。

●食べ方は、生き方だ。04 ーニューヨークの朝ごはんー

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  • 本日のあさごはん:カフェ風プレート/バンブーライス(竹から抽出された葉緑素入りライス)、豆腐、セロリ、マッシュルーム、ケール、ビーツ、アボカド

    リリー・リナエ(31)ビジュアル・アーティスト

「ベッドの中で、翌朝何を食べるか考えるのが好き」というリリー・リナエさん。冷蔵庫の中には、常時、惣菜が入った容器が、多いときは10個も並ぶ。朝起きると、そのときの気分と冷蔵庫の中の惣菜セレクションを見てメニューを決める。

気分によって和洋、中東風、がっつりステーキの朝も

洋食気分のときは、キヌア、野菜、サーモン、卵、シード類をひとつのプレートに。和食が食べたいときは、ご飯、味噌汁、納豆、キムチ、ふりかけ、タコワサが出てくることもあるし、フムス、タブーリサラダ、ラム肉、ヨーグルトが並ぶ中東風朝ごはんになることも。前日の残り物のケバブや、朝からステーキを焼いてがっつり食べるのもあり。

今日はカフェ風にしてみた。プレートに惣菜を少しずつ取り分けてきれいに盛りつけると、プレートとコーヒーを持って仕事部屋へ移動。パソコンの前に“立つ”と、スペインで撮影してきたドキュメンタリーフィルムの編集作業をしながら朝ごはんを食べ始めた。立ったままなのは、座りっぱなしの編集作業で腰を痛めたから。

「よくおかわりをするんです。1時間くらいして、またお腹が空いたなー。で、また食べ物を取りに行って食べる。大きめのブランチですね」
3日おきに惣菜をつくりおきして、食べ切ったらまた作る。大きなフライパンに野菜などを2、3種類分け入れて調理し、数種類の惣菜をいっぺんに作るようにしている。
「食材が混ざらないようにソテーするんですが、他の野菜の汁気が混ざってしまう。でも、それが相乗効果となっておいしくなるんです」

手間なく、無駄なく、家ではヘルシーにグルテンフリー

食材は無駄にせず、準備には手間をかけない……を追求して、現在の朝ごはんスタイルが確立した。ひとつのプレートに惣菜を盛るのも、見た目がカフェ風でオシャレというだけでなく、食器を洗う手間も省けるから。

もちろん、健康を考え、野菜をたくさんとるようにしている。また、お菓子やお酒が好きなので、家でとる食事はグルテンフリーが鉄則だ。
「レストランではパンとか、よくただで出てくるじゃないですか。そういうときは食べるし、ピザもおいしい。でも、自分で食事を作るときは、小麦粉は一切なしです」

リリーさんは日本で広告代理店に勤め、アナウンサーとして料理番組を担当したり、中国や台湾で映像制作に携わったりしていたが、3年前にニューヨークにやって来た。現在はニューヨーク、ブルックリンに住み、日本のテレビ番組制作や、自身のプロジェクトであるドキュメンタリー制作で多忙な日々を送る。

今日の午後は、現在制作中のドキュメンタリーフィルムの編集を担当してもらうエディター候補者と面接の予定。
「イタリア人とポーランド人のエディター。どちらもよくて、でも、今日中にどちらにするか返事をしないといけないんです」

スペイン在住のDJを追った、現在制作中のドキュメンタリー「Jon Sa Trinxa」は、日本、アメリカ、スペインで来年公開予定だ。

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  • 【NYの暮らしについて教えて!】
  • ◎日本での仕事を辞めてニューヨークに来ることに不安はなかった?
    不安はありました。でも、「このままずっと日本にいるの?」と思うことのほうが怖かった。「これをずっとやるの?結婚して、子どもを産んで、働いて、伊勢丹でたまにご飯とか買って帰ったりして……。え、これでいいの?」と。広告代理店で働いていて、生活は安定していました。贅沢なんですが、あの安定した暮らしがちょっと。人生は長いから、1度くらい自分がやりたいことを試してみたいと思いました。
  • ◎ニューヨークに来て大きく変わったことは?
    時間はもちろんですが、お金の節約をするようになりました。今、映画を制作しているんですが、これにたくさん自己資金をつぎ込んでいるので、自分の生活を切り詰めなきゃいけないんです。まずは外食をしないで食費を切り詰める。ニューヨークに来る前はアナウンサーの仕事もしていて、節約料理という番組をやっていました。だから、節約は得意です!男の人たちを見てると、1日に食費を30ドルとか40ドルとかかけてるんです。信じられなくて……。
ライター。東京での雑誌などの取材・インタビュー・原稿執筆などの仕事を経て、2000年に仕事と生活の場をニューヨークに移す。
食べ方は、生き方だ。