Ruru Ruriko「ピンク」

秋に観る、世界を広げるおすすめ映画

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今週は、映画好きでもあるRuru Rurikoさんに、秋の夜長におすすめしたい、映画を紹介してもらいました。

●Ruru Ruriko「ピンク」15

こんにちは、少し肌寒くなってきましたね。

私は映画が好きなのですが、そこからインスパイアされたり、なるほど〜と勉強になったりと映画には私の知らない世界を見せてくれる大きな力があります。そこで今日は、私が影響を受けた映画を皆さんとシェアしたいなと思います。

まず初めは以前にもちらっと名前を出したことがある私が大好きな映画『アデル、ブルーは熱い色』。なんだか物足りない気分の日々を過ごしていた高校生のアデルが、ある日出会ったのはブルーの髪の毛の大学生エマ。2人はすぐに激しい恋に落ちていきます。共感できすぎて、何度見ても泣けるフランス映画。すべてが美しくて本当に大好きです。

最近見た映画では、『ビックシック』とNetflixオリジナル映画『好きだった君へのラブレター』がよかった。『ビックシック』ではパキスタン系移民の男性と白人女性のカップルの実話を映画化。同じパキスタン系の女性と結婚してほしい家族からのプレッシャーと、恋に落ちた白人女性との間で悩む彼と周りの人々を、コミカルに描いています。『好きだった君へのラブレター』は韓国系アメリカ人の主人公が繰り広げる高校生のラブコメディです。

グローバル化が進むと言ってもアメリカ映画は白人のキャストと想像してはいませんか? 実際にハ
リウッドでアジア系などの有色人種がメインキャストになることはほとんどありません。異人種間の恋愛を見ることも稀です。未見ですが、現在公開中で、アメリカで大ヒットした映画『クレイジーリッチ!』ではキャスト全員がアジア系ということで話題を集めました。主要キャストをアジア系が占めるのは1993年以来初だそうです。そう言ったことに注目して見ると、今までのアメリカ映画ではアジア人は「真面目」「地味」「オタク」のようにしか描かれていないことが多いので、今後変わっていったらいいなと思います。

ドラマシリーズの、『ケーブルガールズ』も大好きな作品! 1920年代のスペイン、マドリードを舞台に電話会社で働く5人の女性の物語。ハラハラドキドキのストーリーと素敵な1920年代の衣装にはハマってしまうこと間違いなしですが、同性愛やセクシュアリティ、女性の権利などもカバーされているのでフェミニズムに興味がある方にもオススメです。

セクシュアリティというと、『わたしはロランス』が必見。カナダ、モントリオールにすむ幸せなカップルが主人公ですが、ある日彼が「実は女性になりたい」と告白してからの2人の愛の物語。アーティスティックな映像や隅々までおしゃれなセットや衣装も見応えあり。世界で初めて性転換手術を受けた男性の物語、『リリーのすべて』もチェックして見てください。

歴史ものだと、1910年代のイギリスで女性参政権獲得に立ち上がったグループ、サフラジェットの姿を描いた映画『未来を花束にして』。イギリス小説の名作シャーロット・ブロンテによる『ジェーン・エア』、そして妹のエミリーによる『嵐が丘』は名前を知っている方も多いのではないでしょうか? 姉妹の人生を描いた映画『トゥ・ウォーク・インビジブル』も最近のおすすめ。映画では、シャーロットが「女性だと真剣に取り合ってもらえない」と女性でいることへの窮屈さを漏らすシーンも。実際に彼女たちは男性の名前で本を出版し、ベストセラーになりました。

さらに今年12月には『メアリーの総て』で、世界的に有名なフランケンシュタインの原作者であるイギリス人作家、メアリー・シェリーについての映画が公開されます。わたしは、この映画を知るまでフランケンシュタインの作家が女性だとは知らず、勝手に男性だと思っており、自分の中にまだ偏見があるなと思わされました。予告編ではメアリーが男性から「若い女性が書く内容ではないのでは?」と言われ、「これは私の物語なのよ」と反論するシーンも。『未来を花束にして』もそうなのですが『メアリーの総て』も、欧米版ポスターは力強い女性が描かれているのに反し、日本版はフェミニンで可愛らしい雰囲気になっていて残念です。(フェミニンが悪いわけではありませんが、戦う女性像を出してほしかった)。

このように、欧米でセクシュアリティや女性、人種に関して進んだ映画が出てきているのは、それらのトピックが注目を集めてきている証拠だと思います。気になるものがあれば是非チェックして見てくださいね。

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  • 只今ブロガーMariaと私RuruでSEX×ARTイベント/ジンを計画中です。皆に関わる身体の問題なのにタブー視され話される事が少ない性の話。ジェンダー、トイ、性教育、文化の違いなど気になるけれど人には聞けない性の話や、相談できずにいる悩みを共有し話し合える場を作りたいと思いっています。
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18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。